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清州会議 コメディでない「清州会議(三谷映画)」が観たい。 


 清州会議
 清州会議
 (2013年 日本映画)  80/100点


『シックス・センス』のシャラマン監督が、大どんでん返しを期待され過ぎて映画がおかしくなったように、三谷幸喜にこびり付いた「コメディ(おまけに群像劇の)」というイメージは、どうも彼の映画をズレさせているのではないかと思い始めた今日この頃。だからこそ、(観ていないけど)壮絶に最新作『ギャラクシー街道』はコケてしまったのではないか。三谷幸喜は、ひょっとしてそのイメージを払しょくすべく、あえて自爆したのではないだろうか…? とさえ思うのです。

そう思わせるほど、本作はあまり笑えません。

本作で、小ネタのように挟まれるコメディシーンが、総じて小ネタ過ぎて笑えません。『マジックアワー』での、同じことを一人で繰り返す佐藤浩一や、『素敵な金縛り』での、見えないフリを続ける中井貴一はまだ声を出して笑えたものの、本作では、そういう爆笑シーンはほぼ皆無。途中で挟まれる「旗取り運動会」なんて、あまりに笑えるシーンがないものだから、何かが起きるようにとにかく笑えそうなシーンを書いてみました…というくらい、余計なシーンの上に、ほぼ笑えなかったものです。無理して笑いを取ろうとするほど、寒いものはないのです。よく分かります。このブログでもそういうことがしょっちゅう。

とにかく。
三谷幸喜に、コメディ映画を期待し過ぎるのは、もういいのではないでしょうか。

そう思うのです。

なぜならば。

コメディシーンではない、終盤でのドラマがすこぶる面白かったからです。

物語は、「本能寺の変にて信長が亡くなった。その後継を決めるべく、清州で会議が開かれる。羽柴秀吉(大泉洋)は信雄を、柴田勝家(役所広司)は信孝をそれぞれ擁立し、対立する。ここに、一滴の血も流れない権力争いの会議が幕を開けるのだ。」というお話。

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<完全にネタバレしています。>


正直、前半は退屈そのものでした。本来ならオープニングの掴みである本能寺の変も、余計な小ネタで見応えなく、信長亡き後の後継を決める会議・清州会議が始まるまで、下準備段階での秀吉と勝家の動きにも、特にワクワクすることはなく…。途中何となくドタバタが挟まれたり、お市との三角関係みたいなものが描かれたりしますが…特に目を引くこともありません。うーん。不安な観賞が続いたものです。
けれど。
ようやく清州会議(信長亡き後の後継者決め)が始まるや…いや、正確には、会議が終わってからが抜群に面白かったのです。


・友である勝家を裏切る丹羽長秀(小日向文世)の苦渋。
私利ではなく、本当に織田家の行く末を考えたからこその決断だから、かえって哀しい選択だったことでしょう。思えば、丹羽に恋愛相談を持ちかけるほど色にボケた勝家が、先に彼をがっかりさせてしまったのです。だからこそ、最終的には「裏切り」を呑み込まざるをえなかった勝家の、バカだけど実直な性格もいいです。「年下女房は年上のように。年上女房は年下のように扱う事」と、最後に勝家にアドバイスして去る丹羽がニクい。

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・信長の後継となる三法師の母親・松姫(剛力彩芽)の独白。
様々な画策がなされる清州会議ですが、実は彼女もまた仕組んでいたのだ、という捻りが面白かったものです。決して演技が巧いとはいえない剛力彩芽ですが、お歯黒に眉のない、いわゆる時代劇メイクでニヤリと笑う表情に、見事に狂気が透けていました。これは、三谷監督の手腕です。

・秀吉の狡い思惑。
さて、実は本作最大の功労者は、秀吉を演じた大泉洋だと断言します。でっかい耳のメイクによって、初登場時は出オチキャラのように誤解していましたが、退屈な前半も、大泉洋がかろうじて面白くしていたと思います。見事な名古屋弁で愛嬌をふりまき、人をたらしこみ、裏で画策する狡猾な秀吉は、何だか大泉洋そのもの(推測)。
思い通りにことを運ぶためならば、泥だらけになって土下座もし、相手を安心させ油断させ、そして虎視眈々と狩る気満々でいるのだから、本来なら、これほど恐ろしい奴はいません。それでも、百姓からのし上がろうとするがゆえの泥臭い、憎めない人間味を、大泉洋が見事に体現しているのです。想いを寄せるお市の方と距離を縮める勝家に向けた、彼の嫉妬深い表情も印象的です。役所広司も佐藤浩一も巧いですが、大泉洋が完全に喰っていて、見事に本作を引っ張っています。

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本作で、唯一、唯一笑えたのは、「お市の方との結婚が決まった勝家が、急にため口になり、ショックを受けまくっている秀吉に、『あ、聞いた?』と軽口をたたく場面」 会議に負けたのも束の間、別に秀吉に一杯喰わせようと思ったわけでもないバカで実直な勝家がおかしかった。
けど。
コメディとして見ると、本作には物足りなさを感じるのは前述の通りです。
しかし。
普通に戦国のドラマとして見ると、歴史に興味が湧いてくるほど、興味深い映画でもあります。
だから。
今後は三谷映画は、コメディとして作らない方がいいと思うのです。
その方が、ハードルも下がるし、ドラマをじっくり描けるし、うまくいくと思いますけどねえ…。

そうそう。

三谷幸喜に「笑い」を求めるならば、正直、本編よりも映画の宣伝の方が笑えます。
本作に限らず、いつも映画本編よりも記者会見に期待しています。
大泉洋のラジオ『サンサンサンデー』に、本作の宣伝の一環で出演した三谷幸喜が、もう笑える笑える。お暇がある時にでも、youtubeなどで聞かれてみては? 笑えるから。


映画よりも、監督自身の方が断然笑えるんだから、もうしょうがないのです。


 

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Posted on 2016/11/06 Sun. 23:10 [edit]

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