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シチズンフォー スノーデンの暴露 /「安全」と「自由」の天秤 


 シチズン2
 シチズンフォー スノーデンの暴露
 (2014年 アメリカ映画)  80/100点


まるでサスペンス映画のようなドキュメンタリーです。それが分かっていても、本当にドラマのような展開と演出で、ときおりフィクションのような錯覚を起こすほど。

本作は、2013年に世間を騒がせた『スノーデン事件』の発端と顛末を映し出します。スノーデン事件とは、「元・NSA(アメリカ国家安全保障局)の職員であったスノーデンが、内部情報を持ち出し、アメリカ政府がアメリカ国民のみならず全世界の通信を盗聴していたことを大暴露した事件」です。

この映画が、スノーデン事件の発端そのものです。スノーデンは、本作の監督である ローラ・ポイトラスにコンタクトしてきました。そこからめくるめく、上記の国家機密が明かされていきます。

2スノ


さて。

スノーデンが話すNSAの活動の実態は衝撃です。まるで、スパイ映画そのもので信じがたいほどです。「IP電話は受話器が置かれていても、盗聴器として遠隔操作できる」とか、「大手通信会社から、膨大な量の通話記録を入手し、さらに重要ワードを検索している」とか。…さすがに、「殺人兵器としてスパイを養成している」「記憶喪失の男を追っている」という情報まではなかったですが。

スノーデンは、そういった国家による犯罪的な行為に対し義憤にかられ、リークすることを決意したのだと言います。
そのスノーデン、もう知っている方も多いと思いますが、どんな奴かといいますと…

スノ 
オカシーダロ!


テンションが下がりきった厚切りジェイソンではありません。
まだ29歳の青年です。NSA時代には、年収にして2,000万円以上を得ていたという超エリート技術者なのです。けれど、物腰は柔らかく、華奢なイメージです。思いのほか、よく喋るしよく笑います。齢30にも達していないのだから当然ですが、「精神的な若さ」を存分に感じます。とはいえ、彼は自分がやっていることの大きさは十分に知っているし、その後の行動は完璧に計算されていたわけですから、途方もない天才であることは間違いないと思います。

スノーデンは、法律上は国家機密を漏洩させた犯罪者です。亡命先であるロシアからアメリカに戻されれば、終身刑か死刑とも言われています。そこまで負ってまで、彼はなぜこんな行動に出たのか。
「正義漢100%」だったのかもしれません。あるいは、彼の言葉や所作が、時折芝居がかって見える時もあるから、もしかすると「功名心」もあったのかもしれません。本作が、前述している通り、ドラマのような演出や画面作りに溢れているから、というのも原因ですが。ただ、彼自身が言っているように、問題はスノーデンの人格ではなく、スノーデンが暴露した「事実」についてなのです。

無論、アメリカ政府は説明します。「テロ防止の為だ」と。9.11の事件より、一層アメリカはテロ防止を優先するようになったのです。

「安全」を優先するか。「プライバシー」を優先するか。

私なんかは、別に大した生活をしているわけでも、大きな思想を持っているわけでもありませんので、テロが一つでもなくなるならば、構いません。「そうぞどうぞ」ご自由にお聞きくださいご苦労様、という立場です。もちろん、覗かれたことで取られた情報が悪用されないという大大大前提があるならば。…逆に、みんなそんなに覗かれたら困る生活してるのかなと不思議に思うくらいです。

けど。

もちろん、問題の本質はもっと根深いのです。アメリカは結局、「テロ防止の為」と言いながら、日本を含む友好国の宰相にまでその盗聴範囲を広げていました。とんでもない裏切り行為です。結局、こういった技術的には優れているシステムは、「人の悪用」に飛び火するんですね…。また、時の政権の意向に反する、正当な主張をする人間までをも容易に取り締まることが出来る、という問題点もあるようです。

21スノ


本作は、時折不安な雰囲気を醸しながら、スノーデンの行動を追います。途中、スノデーンと監督が、パソコンのメールでしか連絡が出来なくなる時期が続きます。暗いパソコン画面に、無音で文字列が並ぶ場面が不気味です。暗闇で、追手に見つからないようにコソコソ話しているような緊張を感じました。

もちろん。

ドキュメンタリーは、一方的な主張である場合が多いです。悪妙高き『ザ・コーブ』しかり。作りが巧ければ巧いほど、その映像の主張が100%正義と思わされますが、あくまでフラットな気持ちで観ないといけないと思います。中には、「テロを減らすためなら、少々のことはいーんじゃね?」という意見があってもおかしくないと思うのです。「完璧な自由」より、「命」を最優先に取る人だっているでしょう。もしかしたら、この盗聴システムが止めたテロ事件があり、救われた命があったのかも、…しれません。将来的にも、あるのかも。(本作では、このシステムに一定の成果があったのかなかったのか、一切出てきません)

日本人は、どちらかというと、国家による国民の管理に対し、他の先進国の人より寛容であると聞いたことがあります。だからなのか、今回のスノーデン事件に対し、日本政府や日本国民の反応は薄いです。「どこの国でも、多かれ少なかれやってることだし…」と理解を示す人さえいます。

ホントは、こんなことではいけないのかもしれません。スノーデンに怒られるかも。

jyeison.jpg
ホワァイ! ジャパニーズピーポー!って。


 

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Posted on 2017/04/01 Sat. 19:46 [edit]

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