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ワンピース お祭り男爵と秘密の島 「細田守」という才能が、開花しかけた快作。 


ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 [DVD]
  ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島
 (2005年 日本映画)75/100点


昨日に引き続いて、細田守監督作品の感想を書きます。

普段、ワンピースはあまり見ないのですが(子供が見ている後ろから眺める程度)、このワンピース映画のDVDパッケージを見たら、「ん? なんか他と違うぞ」と明らかに感じたわけです。キャラデザインとかが全然違うのです。
それで、なんとなく気になってたのですが、後になって「サマーウォーズ」の「細田守」の監督作だと知って、早速見てみたのであります。

正直言って、今までにワンピースの映画を幾つか見ましたけど、面白いと思ったことはありません。
まあ、良くて「普通のアニメだなあ」ぐらいにしか感じませんでした。
しかし、「お祭り男爵と秘密の島」は、これまでのワンピース映画とはひと味違っていたのです。 

キャラデザイン、テンポ、演出、映像のどれを見ても、「細田守」の作家性が発揮され、ワンピースのいつものクオリティを超えていたと思います。

ワンピース
(美麗な映像。なにげに構図もいい!)


ストーリーは、「麦わら海賊団は、上陸した島に巣食っているお祭り男爵とその一味に、いろいろな勝負を挑まれる。金魚すくいやら、レースやら、鉄板焼きやら。麦わら海賊団は、勝負を進めるうちに、お祭り男爵の恐ろしい秘密に気付く」というもの。
 
褒めたところですが、正直に言うと脚本があまり良くないです。

実は、シナリオ制作の段階では、細田監督はまだ参加していませんでした。
「これで作って」とシナリオを渡された時、細田監督は、「なんじゃ、こりゃ?」と思ったそうです。
単に麦わら一味が幾つかの勝負をするだけの、何の面白味もない脚本だったそうです。
急きょ手直しをし、「深み」や「暗み」を付け加えたそうですが、惜しいことにどこか中途半端な感じが否めません。
シナリオ初期の段階から細田監督が携わっていたら、もっと傑作になっていたかもしれませんね。

やはり、原作のある映画(TVシリーズ)でも、監督独自の「作家性」は必要だと思います。

宮崎駿の「カリオストロの城」(ルパン)
押井守の「ビューティフルドリーマー」(うる星やつら)や「パトレイバー」
山本紗与の「峰不二子という女」(ルパン)(こちらは賛否両論ですが、野心作)

原作者やファンから「原作汚しだ」とののしられようとも、監督独自の作家性を発揮することで、類まれな傑作が生まれることがあります。
原作の暗黙のルールに縛られていたのでは、決して観客の期待を上回る作品はできないと思います。(例えば、ルパンの過去のTVシリーズでは、必ず毎回主要キャラ5人を登場させねばならないというルールがあったとか)

私は、だから個人的には、ワンピースの原作者が全面的に協力し、ファンから評価の高いと言われる「ストロングワールド」は、まったく良いと思っていません。なぜなら、原作者が関わっているからこそ、内容はいつもの「ワンピース」でしかなく、原作の魅力を超えることができていないからです。
TVシリーズならいざしらず、「ストロングワールド」には、「映画」という大舞台での特別さがあまり感じられなかったのです。いつものことをやっているだけ。(それは、ナミが豪邸のプールで泳いでいるという、陳腐でありきたりなオープニングからもうかがい知れます。)

前述したように、細田監督はシナリオ作成に途中参加ということもあり、残念ながら本作は傑作にはなっていません。それでも、「いつものワンピースと違うぞ」という特別感を散りばめているので、見ていてワクワクします。

圧倒的な映像の迫力。細かな動き。漫才のようにアップテンポに連なるセリフに見応えがあります。声優陣の見事なキャスティング。こうでなくっちゃと思わせる老舗声優のオンパレード。
楽しげなお祭りの雰囲気から、徐々に明らかになっていくお祭り男爵の策略と、その内に秘めた切ない秘密。


そう、敵のボスに切ない秘密があるなんて。
なんとか「傑作映画」に仕上げようとした細田守のあがきが、随所に見られるのです。
く~、もっかいワンピース作ってくれ。ついでにいうと、ルパンを作ってくれ!

ワンピース2
(お祭り男爵の悲しい過去とは…?)


終盤がホラーかと思うぐらいに「暗い」のもまた魅力です。
そして、やはり細田守監督の根底のテーマはいつも「絆」ですね。(むろん、ワンピースのテーマでもあるけれど)
ここでも、「サマーウォーズ」のように家族や仲間の「絆」が表現されていました。
 
最後のボスのやっつけ方は…まー、いつもの力任せでしたけど、ここはまあ、いいとして…
強くオススメ! とは言いませんが、なかなか見応えのある快作だと思います。



 
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Posted on 2012/09/14 Fri. 11:14 [edit]

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コメント

 

最近見ましたが自分は作家性は感じませんでした
少なくともワンピースを作る才能は皆無です
他作品なら化ける可能性ありますが相性最悪です。

まずキャラクターが別人すぎて違和感が半端ない。
キャラクター性を損なっておりうまく調理できていません。
続いて強引に仲違いさせる無理やり感。
説得力が無い喧嘩を出すくらいならそういう能力者がいたとか花の花粉にそういう効果があるとか
やりようはいくらでもあったはずです。もはや別物ですね。

例に上がっていた方たちについて。
宮崎駿さん&山本紗与さんは世界観を独自に展開し、前者は子供向けに後者は大人向けに展開、
独特の雰囲気の中にキャラクターらしさをしっかりと演出しています。
押井守さんは残念ながら見たことありません。
彼ら(押井さん除く)は共にオリジナル作品を別の角度から描き出しているのに対し
細田守さんは自分の自己紹介を映画でやっちゃっています。

宮崎ルパンと細田ワンピースは共に原作者から否定され嫌われているようです。
その違いは結構あります
宮崎ルパンはルパンの毒を抜いて子供向けのコミカルな改変を施します
ちゃんと見る対象に合わせつつ自分の持ち味を入れています。
当然今までの毒のあるクールなルパンとは違うため賛否両論があります。

一方細田ワンピースは、原作のメインテーマをガン無視して監督の心情を描いているにすぎず、
それを見るだろう相手(子供たち)を全く配慮にいれていません。
彼の持ち味はドロドロした気持ち悪い彼自身の心情をキャラを通して吐露するものでしょう
リアルな人間味とその何とも言えない生々しい心情の移り変わりは才能あります
しかしワンピースには合わない。そしてワンピースに合わせられなかった程度の技量とみなします。

別作品ならば良かったけど残念だなぁと

URL |  #- | 2016/08/04 01:49 | edit

 

コメントを頂戴し、ありがとうございます。

原作ものの映画化は、観客の方が世界観やキャラクターを理解していることが多々あり、
思い入れのない監督が作ったところ、
全くファンや原作者の意に沿っていないものが出来上がることはよくあるようです。

ただ、ファンには失礼ながら、「普段と全くの別物を見たい」という欲求もあります。
「うる星やつら」を改変して作った押井守の「ビューティフル・ドリーマー」は、
原作の名を借りて、思いっきり「自分の思想」だけで作られ、ファンや原作者からの
怒りをかいました…が、映画的には相当な傑作になっています。
「見る対象を意識しない」作家性が、逆に傑作を生みだすこともあるのだと思います。
マーケティング的には最悪なのでしょうけれど…。

私は逆に、世間から評判の高い近年のワンピース映画には、不満があります。
原作者が思い切り関わっているからこそ、「いつもの」ままだと感じるからです。
私の勝手な考えですが、「映画は特別」、という意識があります。
だからこそ、「別物」を見たいのです。「新しい発見」をしたいのです。
なんなら、パラレルワールドにして、何人か殉職するぐらいのハードな物語でもいいとさえ、
思います。その時のルフィが、どのように変貌するのか。作品がどのように変質するのか。
それは、原作ではできない「冒険」であり、「実験」でもあるのです。

そうそう。現在公開中の「シン・ゴジラ」は、今までの良さを踏襲しつつも、
「別物」の要素もふんだんに取り込み、見たことのない傑作に仕上がりました。

すみません。ファンからすると噴飯ものですよね…。

ただ、細田ワンピースが傑作とは思いません。
また、ご指摘のことは、その通りとも思います。確かに、「細田守品評会」のようなものだったかもしれませんね。

URL | タイチ #- | 2016/08/04 13:32 | edit

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