素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

素晴らしき哉、人生! /情けは人の為ならず。 


素晴らしきかな

 素晴らしき哉、人生!
 (1946年 アメリカ映画)  90/100点


<結末まで、ネタバレしています。>


「大学受験まで、あと数か月しかないのに、やらなければならないテキストをまだ1ページも勉強していない。」

という夢を定期的に見ます。
めちゃくちゃ焦って、どうしよう、どうしよう…と頭を抱えた時に目が覚めると、普段は決して満足していないのに、とっくに大学を卒業し就職している現状に、脱力するくらいホっとしてしまうのです。

本作は、いわばそういうお話。

素晴らしきかな1


とても昔の映画です。無論、白黒です。定番中の定番として君臨する名作映画。語られるテーマには、まるで寓話のように「教訓」が込められています。しかも、それはとてもシンプルな道徳です。
けれど、さすがエンタメ帝国・アメリカ。
アップテンポかつ、テンション高めの展開で、ちっとも退屈しないどころか、きっちり感動させます。

終盤で畳み掛けるようにファンタジーが炸裂しますが、それまでは丁寧に伏線を張りながら、主人公・ジョージベイリーの生涯が描かれていきます。
ジョージはとても有能で野心家ですが、自分の都合よりも、他人の為に動くタイプの人間でした。
町を出ようと考えていましたが、父親の急死のために住宅ローン会社を継ぎ、貧しい人々に低金利で家を持たせます。
しかし、とある悪人の罠にかかり、無一文となって自暴自棄となるのです。

窮地に陥る主人公の姿はとても痛々しいものでした。
蒼白なジョージが家に帰ると、妻と子供たち5人が、幸せそうにクリスマスの飾り付けをしたりしているのです。明日をも知れない事態に陥った旦那の気持ちたるや、容易に想像できて苦しくなります。
普段でさえ、家族の幸せそうな様子を見れば、夫という生き物は重責を感じ、やや心が沈むものなのだから。

素晴らしきかな


で。

そこからいよいよ、「世にも奇妙」な出来事が巻き起こります。

ジョージは人の為に不運を背負い込む人生に、「こんなはずじゃなかった」という苦しみを抱えていたのだと思います。
その感情がついに爆発し、身を投げようとしたその時、「2級の守護天使」と称するジジイが現れるのです。
天使は、生まれてくるべきではなかったと落ち込む主人公に、北方謙三をも凌駕する素晴らしいカウンセリング能力を発揮します。
「ソープへ行け!」…ではなく、「もしジョージが生まれていなかったら」というifの世界を見せるのです。

その世界では、悪い銀行家の思うままとなり、街は乱れ、人の心はすさんでいました。主人公に助けられていた人々は、不幸の道を辿っていました。
当然、愛する妻と子どもはいません。
ボロ家を改築した我が家は、元のボロ家のままなのです。思わずジョージは取り乱し、元の世界に戻りたい! と渇望します。

そうして。
元の世界に戻るや、「素晴らしいボロ家だ!」と歓喜し、一目散に家族と抱き合います。そして、彼の窮地を助けようとする人々が、次々に現れるのです。
ジョージは、自分がいかに素晴らしい人生を手にしていたのかを悟るのでした。

その奇跡まで、およそ上映時間、1時間半。

かなり長い前フリのような気もしましたが、次々と伏線が回収されるとともに、素晴らしい展開が一気に加速していくので、見ていてとても気持ちが良かったです。
前述のように、危機に面したジョージの気持ちがよぉく分かって気の毒だっただけに、晴れやかな面々が次々と登場するどんでん返しに、主人公同様、素直に感激いたしました。
彼を捕まえに来た当局さえ、令状を破り捨てて帰っていくのもまた小気味いいね!

まさに、情けは人の為ならず。

「人に優しくしていると、自分にもいつかその優しさが還ってくる」という物語。
一片の曇りもない、どストレートな人生訓ですが、一切ひねくれた気持ちにはなりませんでしたよ。

素晴らしきかな2


グウの音も出ない傑作だと思います。

強いて言えば、「私は、お前の守護天使だ」とジジイが言った時、ジョージが「二次元萌え」の男だったら、
断じてお前なんかとちゃうわ!
と拒絶したろうなー、…くらい。


  

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Posted on 2017/05/13 Sat. 18:50 [edit]

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コメント

 

こんにちは,グッドウィルハンティングでコメントしたmasaです

この作品も思い入れがあったのでコメントします


思春期の頃、学校のフォークダンスの練習を参加せずに

遠目で見ていたことを思い出しました

本当は、練習したかった、好きな子の手に触れたかった

それを思い出すとまっすぐ素直な気持ちに

なれなかったことを今は後悔しています


ボクも本や、映画のレビューを書いています

そしてこの映画のレビューも書きました

その時は素直に感動しベタ褒めのレビューを書いたことを思い出しました

人生の教訓めいた作品を

素直に受け入れられる心を持てたことを、今は誇らしく思います


この作品を見て、どれだけ感動できるかは、

どれだけ素直に見れるかだと思います

ひねくれた物の見方をせず、オレの人生も捨てたものではない

と感じることができれば、この映画を見たことを生涯心に残すことができると思います

タイチさんも、純粋に見ることができたみたいで 

とても喜ばしいことだと思いました

きっとこの作品は、生涯心に残ることだと思います


*この映画をモチーフにして作った、ボクの大好きな作品があります

ニコラス・ケイジの

「天使のくれた時間」 原題:The Family Man

という作品です

この作品も、もしあの時違った人生を送ったらという話ですが

素晴らしき哉~と違うところは、元の世界に戻りたくなるというところです

ただ、何気ない人生の喜びを教えてくれるのは同じです

黒人の天使も出てきますよ(笑)

機会があったら是非見てください

masa

URL | masa #- | 2017/05/31 17:36 | edit

masa様 

コメントを頂戴し、ありがとうございます。

珍しく、本作は素直に観る事ができました。普段は、素敵な物語に噛みつきたくなるんですけど、あそこまでラストでみんなが笑っていたら、こちらも笑うしかないじゃありませんか。
それに、次々と、見事に伏線が回収されていく様子に、粗を探すヒマもなく、感心していたのです。

長年語り継がれる名作は、やはり只物ではないのです。

そうそう。

オススメ頂いている『天使のくれた時間』は観たことがあります。
だいぶ昔かなあ。

とても素敵な話だったのを覚えていますよ。
金持ちの実業家が、もし、普通の家庭人だったら…という世界を見せられる話でしたよね。

なんたって、ティア・レオーニが可愛くて…。

URL | タイチ #- | 2017/05/31 20:44 | edit

 

やはり名作は名作たるゆえんがあるのでしょうね・・・

作品の細かい疑問や、おかしいところより

それを忘れさせるほどの強くて熱いメッセージが

見ているほうの心を打つのだと思います

妻メアリーの健気さにも涙しました

そして、天使の言葉

「友のあるものは敗残者ではない」

この言葉にも心を打たれました

名作と言えば、フェリーニの「道」も

ボクにとって心に残る作品でした

あのトランペットが奏でる名曲と、

ジェルソミーナの笑顔はいつまでもボクの心の中に残っています

名作とはそんなもんだと思います

*確かに!ティア・レオー二が妻なら、誰しもが帰りたくなくなります(笑)

それほど素敵でした・・・

masa

URL | masa #- | 2017/06/01 12:46 | edit

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