素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

ダンケルク /この船(本作)に乗れなかったフランス兵のような方々は、こちらへ。 


ダンケルク
 ダンケルク
 (2017年 アメリカ映画)  79/100点


これから書くことは、あくまで個人的な感想です。


<もう、ネタバレもしてしまいます!>


『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』のクリストファー・ノーランの新作です。
世間では、大絶賛の嵐。
私も随分期待していました。これが、今年の№1映画なんだ。きっと、凄まじい映画体験が待っているんだろう。…どれほどの期待をしていたことか。

しかし…、体調が悪かったのかなあ…。

ひとっつも楽しめなかった。
普通の映画よりも楽しめなかった。悲しかった。残念だった。そりゃあもう、びっくりした。嘘だろー、と思ったもの。突然わたし、映画への不感症を患ってしまったのかと不安になるくらい、まるで心が動かなかった。

このノーラ――――ン!! ち が う だ ろ おぉ…。
違うだろ―――――――――!!!

って叫びたくなるくらいでした。
こんなにも、期待値との落差を感じ、頭を抱えてしまったのは初めてです。

ダンケルク6


何度も言いますが、世間では絶賛です。
人それぞれ感じ方は違いますが、なぜ、こんなに世間の評判と違ってしまったのか。

絶賛の方々の言葉によると。
「映像の迫力!」
「音響の凄さ!」
「時間軸の巧みな操作!」
「戦場に放り込まれたような臨場感!」
 

その点の評価が、すごく高いようなのです。

「映像の迫力!」   
そもそも「IMAX」推奨だなんて言うんです。いや…、私は通常劇場版で観ましたよ…。ダメなの? 通常の劇場で観たから、こんなにもつまらなく感じたの? 映像の迫力をほとんど感じられませんでしたよ。話題の空中戦の映像さえも、目新しく感じなかった。『紅の豚』の方がいいような気さえした…。何、それ? IMAX専用映画なんて聞いてませんよ。IMAXって、お高いんでしょ。高い方観ないと負け犬なんですか。通常劇場の利用者を差別するんですか。国民を分断するような、トランプみたいなことするんですか! IMAXで観なかった者たちは、邪険にされたフランス兵か!

「音響の凄さ!」   
これも…乗れなかった。こんなこと言ったら、本当に怒られそうですけど、
音がうるさい。
いやいや、劇場の音の凄さを、私はいつも期待していますし、それを楽しむこその劇場だと思っていますよ。…だけど、本作の音は、耳にやたら響くんです。銃声や弾がはじける音程が、すごく高くて。それが怖くて気にかかりすぎて。肝心の映画の内容に集中できないという体たらく。

ダンケルク2


「時間軸の巧みな操作!」   
ノーラン節炸裂! と、これも本作の大きな特徴です。
陸上の兵士、1週間
救出に向かう船、1日
同じく助っ人に向かう戦闘機、1時間

<1週間><1日><1時間>
それぞれ異なる時間軸の話を、並行して描写します。全く同時進行ではないわけです。だから、場面が変わるごとに昼だったり夜だったり、時間が巻き戻ったり…。それが、映画の終盤、ピタッと同じ時間に重なるという巧みな演出! …とは、私は感じられなかった。
これが完全に映画への没入感を削いだのだから、さあ大変。
いつ、どこで、誰が、何のために、何をしようとしているのか…全く分からんちん。いや、理屈では分かりますよ。だけど、この3つに繋がりを感じられず、早く助けに行ってやれー! という風に思わないのです。なんか違う場所で、バラバラの目的に奔走しているような…、脳が勝手に、変な誤解をするのです。

アイディア自体はすごく面白いのに、それが、一体どういう効果があるのかが分かりません。マイナスイオンみたいなもんじゃないですか。凄そうなんだけど…、で、何? っていう…。

「戦場に放り込まれたような臨場感!」   
冒頭の始まり方は好きです。もうそこは、戦場です。ドイツ兵が巻いたチラシが舞い落ちるカットには、ワクワクしました。
すぐさま銃撃が始まります。追い詰められたイギリス兵とフランス兵のいる砂浜へ、ドイツ戦闘機からの容赦ない爆撃が降り注ぎます。まるで自分がそこにいるかのような…臨、場…感…、
を感じない。

なぜだ…。『レヴェナント』での、インディアンに襲撃されている場面の方が、よほど体が硬くなるほどの臨場感がありました。…本作は、カット割りが多過ぎるのでは? 視点が兵士でもないし。あくまで、外側から眺めているだけのような視野。

ダンケルク1


さて。

他にも気になる点はあります。

本作が、人物を描かなかったことは、あえての「試み」なのだと思います。
それが、何度も同じことを言いますが、何の効果があるというのか?

人物を描かないから、人物に感情移入が出来ませんでした。だから、生き残って欲しいという願望も生まれませんでした。だから、誰かに死の危機が迫っても、誰かが窮地に陥っても、全く緊張しないのです。そう、ちっとも緊張しないんです。

戦闘機からの攻撃が止むなり、また元のように整列する兵士たち。転がる仲間の遺体に見向きもしません。
ものすごく無機質。
良く言えば、どんな時でも規律がしっかりしている…? 初めは、そんな描写に、面白いなあという感覚でしたけど、そんな描写が続いて、次第にいらだってきました。この砂浜に、「戦争の地獄」が感じられないんです。
そうだ、『プライベート・ライアン』の冒頭。ノルマンディー上陸作戦の描写は、圧倒的でした。銃撃の雨の中、生きようともがきながらも、前進しようとする兵士たちの躍動が、恐怖と興奮を見事に煽っていたのです。
本作には、それがない。
別にグロテスクな描写など望んでいませんよ。だけど、実際の現場は酷なわけでしょう? もっと、狂気と狂乱があったのでは?

大多数の兵士はまるでモブキャラのように、何を考えているかさえ、分からない。主な人物にいたっても、名前があるのかないのかさえ、希薄です。しかしその為に、湯婆婆に名前を取り上げられて、人形にされたかのように、彼らに、人の息吹を感じない。

gta
ゲームのモブキャラが吹き飛ぶ様子と変わらないような…。

ついでに言うと、あそこに40万人もいましたっけ? 京都に集まった修学旅行生くらいの人数しか、感じませんでした…。だから、途方もない人数が生み出すであろう、濃い熱量もなくて。

うむむ。

おまけに、人物を描写しないとしておきながら、急に誰かがヒーローのように活躍したり、カッコイイ姿を披露したりします。余りに急で、アンバランスだから、トム・ハーディの無駄に匂い立つ色気と、「ワタシは残る…」とドヤ顔するケネス・ブラナーが、かえってシャクなんです。

船の中で亡くなった少年は気の毒ですけど、彼も英雄だ、などという描写も、全く意味が分かりません。だったら、別の場所でシンガリを務めて犠牲になったイギリス兵士たちを、一切描かない理由がわからんです。撤退作戦の重要な要じゃないの…? あの砂浜での出来事だけを描くんだ、他の部分はカットだ…としておきながら、ほとんど不慮の事故だったあの少年の死を描かれても…。

本当に不思議なんですよ。『新感染』だって、人物説明はすごく短いのに、とても巧く感情移入させ、感傷的にさせました。どうして、本作には全く感情が揺れ動かないのか…。映画が説明しない部分を、脳内補完すらできない。史実である「ダンケルクでの闘い」の知識がないからかもしれませんが。

ダンケルク3


急といえば、終盤で多くの民間船が助けにやってきたのも、あまりに急でビックリしました。しかも、30万人が助かりそうなほどの船団でしたか…? はい、30万人助かったよ…って、一番大事な部分を言葉で説明しているだけ。…置いてけぼり感が半端ないです。
ひょっとして、私は途中で気を失っていたのか…?

ああ、もう、逆恨みのように、悪い意見がポンポン出てきます。

本作では、終始、時計の秒針のような音がずうううっと鳴っています。これも、試みとしてはすごく面白いのに、次第に、「耳障りだなあ…」という嫌悪感を生んでしまいました。
終盤でついに音が止む瞬間があります。そこは、良かった。ここでやっと、兵士たちに心からの平穏が訪れたのだという描写。
その喜びとともに、やっと静かになったよ…、という安堵もあったり…。

ああ! 勢いあまって、悪いことばかり書いてしまった。
絶賛している人たちから、追い詰められそうな気が。

ダンケルク4


どうして、こうも悪い印象が残ったのでしょうか。こうしてる間にも、本作に感動している人が増えているかと思うと、尋常ならざる疎外感に襲われます。
なぜ、なぜ、楽しめなかったのか。
そうこう悩んでいるうちに、ふと頭をかすめて思わずツイートしてしまったことを、下記に記してお開きにいたします。
ほんの一瞬、あ…もしかしたら…、と頭によぎった小ネタですけど。





   

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Posted on 2017/09/13 Wed. 21:11 [edit]

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コメント

 

貼り付けてしまった後で、コメントとは本当に
失礼で申し訳ないです。
         
映画村で、記事を知り読ませて頂き(何度も)
その度にニヤついております。
どうしても、私のブログでも紹介させて頂きたかったのですが
勝手な事をしてすみません。
           
ダメと言われればスグに消しますので…。

URL | hiropoo #- | 2017/09/18 01:02 | edit

hiropoo 様 

とんでもない!
有難いですよ。
そして、嬉しいです。
記事を褒めてくださっていることも、
この過酷な『ダンケルク絶賛』の嵐の中、同志がいてくれて!

URL | タイチ #- | 2017/09/18 09:32 | edit

 

こんにちは。
今更ですけど劇場で見て同じくのれませんでした…。
以下ネタバレ含むコメントなので問題あったら消してください。


自分的にのれなかった理由としては

・船で死んだ少年の必要性がわからなかった点
あれはそこまで重要なのか?とか思ってしまいましたし、
正直拾った兵隊が悪いやつだっただけなのでは・・・?なんでいい話になるのこれ・・・とかも思いました。

・登場人物の見分けがつかない
台詞が少なく、キャラの見分けがつきにくかったです。
正直主人公的な一般兵の人と、ずっと一緒に行動してる人がどっちがどっちかわからなくなりました。西洋人には見分けがつくんですかねあれは…。

・助かったのか助かってないのかよくわからない
最後の漁船の集団が来るところなんですが、正直時間軸がずれてるのもあって、助けに来た漁船なのか、それともそれ以前に一回来てたけど助からなかったのか(うまくせつめいできなくてすいません)よくわからず
電車のシーンになってからようやく「あ、たすかったのかー」って思いました。

というか漁船ってずっと一隻しかいなかったのにいつの間にあんなにたくさんになったんですか・・・??



よかったのはきれいな海に飛行機が沈んでいくシーンで、きれいな景色と死が近づいてくる感じのギャップとかですかね。
世間で絶賛されてるのはわかりませんねえ…。

URL | みどり #- | 2017/09/26 15:40 | edit

みどり 様 

コメントありがとうございます。

おお! 同志よ!

…すみません、世間では絶賛なもので、同じお考えの人がいて、嬉しいです。
いわば、我々は影のレジスタンスみたいなものですな。

・船で死んだ少年の必要性がわからなかった点
私もきょとんとしました。余計な事を削ぎ落す作風なら、あれは余計だと思います。
明らかに兵士の重過失ですしね…


・登場人物の見分けがつかない
これは、映画通の人でも見分けが難しいと聞きました。
私も、誰が誰やらよく分からず、余計に感情移入できなかったものです。

・助かったのか助かってないのかよくわからない
船団がやってきた時、正直失笑しました。
唐突過ぎるんですもの。
船団を確保したり現地に向かったりする困難もなく、あっさりしたものです。史実通りだから仕方ないとはいえ。

思うに、映画にするには、史実にあまりに映画的要素がないのではないでしょうか。
けれど、今回のノーラン監督の方針が、「過剰な味付けはしない」というものだから、あえて物語性の乏しい「ダンケルクの闘い」を選んだのかもしれません。


飛行機は、確かに戦闘シーン以外が印象的でした。私は、プロペラを回さずに滑空する場面が、美しいと思いました。すーっと飛んでいく紙飛行機を見ているような気持ち良さと言いますか…

ただ。

みどりさんは、どのバージョンでご覧になったのかは分かりませんが、IMAXで観たら、面白いのかもしれませんよ。
私は、ケチって、通常劇場で観た者だから。

URL | タイチ #- | 2017/09/26 20:56 | edit

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