素人目線の映画感想ブログ

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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

テルマ&ルイーズ /突きつけられたのは、三行半の結末。 


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 テルマ&ルイーズ
 (1991年 アメリカ映画)  
 80/100点



上に表示したポスターのキャッチコピーが時代を表してますよね…。
「男たちよ、ホールドアップ! すべてが快感! 女たちのルネッサンス!」 
…髭男爵やないかーい。

はい。

ということで、1990年台のバブル末期の日本っぽいセンスです。
だっさい…、というより、本作が意図するテーマを、どこか小馬鹿にしているように感じるのは、私だけでしょうか。

まあ…、所詮、本来の「ジェンダーフリー」的な発想が全く根付いていない時代だから、仕方ないでしょうね。本作が実は内包していた重たいテーマなんて、微塵も理解しない・興味もなかったのだと思います。

本作の物語は、キャッチコピーのような、女性が調子に乗って男を手玉にとって、拳銃バカバカぶっぱなしてお気楽にバカンスするようなバカ映画ではありません。
女性にとって、何一つ快感な映画ではありません。

ましてや、ルネッサーンス(チンッ!)でも、断じてありません。

あらすじは、「姉御肌のルイーズ(スーザン・サランドン)と、浮気性の亭主を持つテルマ(ジーナ・デイヴィス)は、二人で息抜きの旅行に出る。途中立ち寄ったバーで出会った男に襲われたテルマを助ける為に、ルイーズは男に銃を向ける。脅しのつもりだったが、男のひどい言動に怒ったルイーズは、男を射殺してしまう…」という物語。

これは、行き場を失った女性たちの、やけっぱちのような悲劇です。

テルマ_com


<結末以外、ほとんどネタバレします>


監督リドリー・スコットは、徹底して男を下劣に描いています。

男が観てもうんざりするぐらい、極端にひどい男どもです。自分の都合のいいように女性を支配しようとする奴らばかり。

そんな男たちから逃れるように、テルマ&ルイーズは逃避行を続けるのでした。

途中で出会うブラット・ピットが、猛烈にピチピチしてます。
息詰まる彼女らの前に、天使のように舞い降りてきた…ジョーブラックならぬ、悪魔。

面白いのは、ブラット・ピット様でさえ、本作では最低男となっているところであります。素晴らしい。
「BARの男には拒否ったのに、ブラピならいいのか!!」と、ちょっとやっかんでいたものだから、これは…、正直いい気味であった。

それにしても。
ブラピの美貌にうつつを抜かしたテルマは、彼からさえも、ひどい目に遭わされるのだから、もはやこの世に信頼できる男などいないのでした。出会う男出会う男が、みんなしてテルマを傷付けるわけです。

彼女の最終的な絶望は、ブラピがとどめだった気がしますな。

テルマ_com-2


もちろん、テルマの浅はかさも目に余ります。
BARで手ひどい目にあった次の瞬間には、もう別の男に目を奪われているもの。

束縛夫に放り込まれていた檻から解放され、自由な大空に羽ばたいているつもりでしょうが、空には獰猛なカラスやらワシやらが飛び交っているわけで。

それに、顔つきと一緒で、あんたは所詮「ヒヨコ」なんです(『トム&ジェリー』に出てくるヒヨコそっくり)。

さらに。

好き放題にちょろちょろと動き回り、なんやかやとルイーズの足を引っ張るばかり。
あんたの歌のタイトルをさ、「ここにいろよ」に変えた方がいいよ! それは青山テルマ!

で。

反対にルイーズは、しっかり者です。
過去に男からひどい目に遭っている経験もあり、テルマより断然慎重で警戒心が強いです。
その悲劇は詳細には語られませんが、彼女の言葉の端々で察せられます。

本来思慮深いはずの彼女が、衝動で男を撃ってしまった時、「ん? 動機が弱すぎない?」と疑問でした。警察から逃げ回るのも、「自首した方が良くないか?」と首をかしげましたが、男も警察も信用できないほど、彼女にはトラウマがあったのです。

姉御気質で頼もしい彼女ですが、そのせいで損な役回りが多いような気がします。

彼女の彼氏(マイケル・マドセン)も甘え切っていて、彼女がいつも我慢の側だったような様子です。
松山千春の「男はいつも待たせるだけで。女はいつも待ちくたびれて」(『恋』)が浮かびます。

だからこそ、終盤近くで、絶望に打ちひしがれた彼女の涙に、ドキリとしたものです。

テルマ_com-0


ちなみに、本作ですごく面白かったのは、テルマの旦那と刑事たちの絡み。

自宅に張り込む刑事と迷惑そうな旦那のやり取りが楽しい。勝手なばかりでひどい旦那ですけど、いい味だしてますぜ。

特に。
刑事が張ってる自宅にかかったテルマからの電話に、夫が親しそうな声色で出た瞬間、ブツリと切られるくだりが最高です。
丸わかりで不自然なんだよってこと。
「『やあ…!』って言っただけなんだけど…。」と刑事たちに言い訳する旦那、絶妙。

さて。

そんな楽しい場面とか、派手な石油トラック大爆破シーンとか、見所の多い本作です。
が。
物語は、袋小路の結末に向かっていきます。

彼女らに唯一理解を示していたのが、ハーヴェイ・カイテル演じる刑事でした。
「彼女たちは傷付いてきたんだ」と、最後まで彼女たちの味方をします。
けれど、その声はもう彼女たちの耳に入っていかないほど、二人の女性は追い詰められ…、いや、吹っ切れてしまっていたのです。

テルマがついに覚醒し、急に強盗やったり警官に銃を突きつけたり、頼もしい相棒に成長するのは、『アナと雪の女王』でも表現された、男の手から離れた途端に浮かび上がる女性の真の強さかもしれません。

けど…、一方ではやはり、二人はもはや、正気ではなくなっていた、とも思います。

そう思えるほど、とても「苦い」ラストだったのです。

この結末は、要するに、「こんなバカな男たちが支配した世界になんていられないわ」という、世界中の男への三行半に等しいわけだから。

なんか…、哀しいし、悔しい結末ですよ。

テルマ_com-3


それにしても。

30年近くも前に、女性蔑視の問題を主張するほど前衛的なくせして、つい最近までワインスタインのセクハラが続いていたっていう、ハリウッドの二面性が恐ろしいです。

奇遇にも、その問題で最大の美談を披露したのが、やっぱりブラッド・ピットだったというのも恐ろしいですけど。(いや…、やっかみですけど)

これに反省し、今こそ「リメイク」を作るべきです。ただし、本作のように男にそっぽを向く結末は求めません。
タランティーノばりに、「差別主義者の男」たちを容赦なく抹殺していく結末で! 

それこそ、ワインスタインをラスボスにしてメッタメタにしてさ!

そう。
本当に必要なのは、表向きだけ持ち上げたようなルネッサーンス(チンッ!)じゃなくて。

根深い女性蔑視の空気を一変させる、強烈な樋口カッターの方だから!


 

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Posted on 2017/12/20 Wed. 23:36 [edit]

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