素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

静かなる叫び /「不条理」という、地獄。 


 静かなる叫び
 静かなる叫び
 (2009年 カナダ映画)  
 80/100点



<やや、ネタバレしています>


『メッセージ』『ブレードランナー2049』など、話題作を次々に手掛けるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の日本未公開作品です。

低予算で作られている様子ですが、監督の非凡な才能がうかがえます。
モノクロで描写される陰鬱とした雰囲気の中、登場人物たちの押し込められた感情が、少しずつ滲み出るような演出が特徴的です。

本作は、実際に起きた「モントリオール理工科大学虐殺事件」を元にしています。
反フェミニズムの学生が、ライフルを乱射し、女学生ばかり14人を射殺した凄惨な事件です。

なぜ「学校」という場所が、よく銃乱射事件の舞台になるのでしょうか。(日本では、「附属池田小事件」しか思いつきませんが)

「コロンバイン高校銃乱射事件」「オイコス大学銃乱射事件」「バージニア工科大学銃乱射事」など…。
他にも、とても多いです。⇒wiki「学校内における無差別殺傷事件」

静かなる叫び1


社会へ踏み出す一歩手前で、その「学生」は何に遭遇し、何に怒りをたぎらせ、なぜ同じく前途ある「学生」を狙うのか。
人によっては、思慮のまだ浅い時期です。もう数年経てば、「青かったなー」と赤面するような思想に、なぜその時突き動かされてしまったのか。

本作の乱射事件の犯人は、「女性」を敵視していました。女性の為に、自分が不利益を被ったというのです。

女性への恨みなんて…、いつしか、絶好の「自虐ネタ」ですよ。あんまし茶化せる事じゃないけど、所詮どぶろっくのネタになる程度の話だったかもしれませんよ。

それに。

本作で被害に遭う女学生は、「女」であることから就職差別を受けていました。女性が不当に得をしているという犯人の認識は、圧倒的に間違っているわけです。

それなのに、なぜ、凶行に走らねばならなかったのか。なぜ、早まったのか。

と思うものの。

…彼の虚無的な目つきには、一般社会との大幅な溝を感じます。色の付いていないモノクロの映像が、解答が得られることばかりではない、おぼろげな世界を表しているようでした。

だから、被害者が受ける衝撃は計り知れません。
そこに、人間の意識では到底理解できない「不条理」があるからです。

静かなる叫び3


本作では、被害者の内、生き延びた「二人」に焦点が当てられています。
二人の「事件後」が、叙情的に描かれるのです。ここは、「コロンバイン高校銃乱射事件」を扱った映画『エレファント』とは大きく異なります。

ちなみに。

その銃撃の場面は、あまりに暴力的です。『エレファント』もそうでしたが、余計なくらい、リアルに描かれます。その分、荒唐無稽な『悪の教典』よりも、底冷えする恐怖を感じます。

正直、見ていられません。

本作は、時間軸がバラバラに並ぶ演出がされていますが、最も凄惨な事件現場の場面が途中カットされたので、「見せない演出かー」と安心していたら、後半戻ってくるから驚いた! 

えー!? ってなりましたよ。恐ろしいやり口です。さすが、本来の容赦ないドゥニ節が発揮されております。

そこで被害に遭った学生たちの内、多くが心に深い傷を残しました。
史実でも、その心的外傷に苦しみ、自殺をした者もいたといいます。

しかし、本作で描かれる「二人」の行く末は対照的でした。

一人は「希望」を手にし、一人は「絶望」に打ちひしがれます。

これほどの地獄に遭遇し、トラウマを抱えながらも、「希望」を見出すには何が必要なのでしょうか。
…またまた、あまり茶化せる話じゃないんですけど、「イケメン彼氏」が必要とかじゃないですよね。
そう思ってしまったのは、理解の果てにいる犯人に対し、「希望」を持った側の独白が、ちょっとありふれていたように思ったからです。

静かなる叫び2


ただ…、それを含めて考えてみると。

過去を振り返らない。
未来を憂いない。
ただ、与えられた「今」を精一杯に生きる。


本作は、意外にも、そうしたシンプルな答えを示している気もするのです。


 

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったら、クリック1票お願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
<スポンサードリンク>


Posted on 2017/12/28 Thu. 21:11 [edit]

TB: 0    CM: 0

28

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/373-cde44cac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list