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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

マンチェスター・バイ・ザ・シー /人生は、「傷だらけ」 


 マンチェスター・バイ・ザ・シー
 マンチェスター・バイ・ザ・シー
 (2017年 アメリカ映画)  
 85/100点



<珍しく、ネタバレしてません>


とても面白かった。
物静かなのに、目が離せなくなる傑作の人間ドラマでした。

主人公・リー(ケイシー・アフレック)は、集合住宅の設備トラブルに対処する便利屋です。
あまりやる気や誠意の感じられない仕事ぶりです。
おまけに短気で、すぐに人に食って掛かります。

彼は、どうも過去のトラウマを抱えているようなのです。本作中盤まで、それが何かは分かりません。
しかし、彼の自暴自棄な様子から、それが尋常ではないことだけは分かりました。

所々で過去がフラッシュバックし、真相にじわじわと近づく予感に緊張しました。

バイザシー4


それにしても、ケイシー・アフレックのやさぐれ感が堂に入って素晴らしいです。
ほんまもん…? の彼のうつろな目。無気力な空気。静かにたたえてる狂気…
まあ…、ケイシーは兄貴のベン以上に、セクハラ問題抱えてますしねえ…。

で。

リーに降りかかった悲惨な出来事は、ネタバレしたくないので、ここでは書きません。
けれど、書かないと、ちょっと感想は難しい。

ひとつだけ。
人生は、ほんのちょっとした油断で、「一寸先は闇」に堕ちます。
リーの人生に起きたそれは、はるかに想像を超えていました。

確かに、彼の過失が原因です。

だけど、生きていく中で、人は多かれ少なかれ「過失」を繰り返すものです。
誰にも有り得るちょっとしたミスが、時に悪魔のピタゴラスイッチにつながって、予想もしない惨事に到達するという残酷。

私は心から震えたのです。恐ろしい…。他人事のように思えませんよ。
だから、リーを責めることなど出来るものじゃない。

すごく印象的だったのは、そのリーの「過失」を責めていた妻の終盤の態度。
妻役ミシェル・ウィリアムズが、素晴らしい芝居で魅せます。

彼女も、ある「後悔」を抱え、いつまでも苦しめられていたのです。
彼女の後悔の気持ちもまた、大なり小なり、誰もが経験したことのある普遍的なものです。けれど、やはり時にそれは、いつまでも抜けない「棘」となってしまうのです。

バイザシー3


人生は「夢だらけ」というCMがありますが、違いますよね。
人生は「傷だらけ」です。

そして。

無理してその傷に立ち向かわなくていい。
負けちゃだめだ。こうでなくちゃ。そんな上っ面なんてどうでもいいから、…まあ、生きていこう。
本作の展開に、そんな…「傷ついた者」への優しいメッセージを感じます。

単純な心の再生を描かないところが、本作の素晴らしいところだと思います。

また。

リーの対比のような、リーの兄の息子・パトリックの「浅はかな若さ」も、皮肉っぽくて印象的でした。

「若さ」ゆえに、パトリックはまだ「怖さ」を知りません。複数の同級生の女の子と関係する「恐れ知らず」の軽薄さや、どう聞いても「ヘタクソ全開」のバンド活動。「自分本位なお願いをする」遠慮のない身勝手さ。
「普通に生きる困難さ」すら知らない彼のことを、リーは苦虫を噛みしめながら見ていたことでしょう。

というか。

特権のように、「瑞々しさと、脆弱さを兼ねた若さ」を発揮するパトリックの様子は、全ての羽がもぎ取られたリーには、ツラく見えたのかもしれません。

そういった、様々なメッセージが読み取れる、面白しんみりとした逸品なのです。

バイザシー2


ところで。

本作は、風景が素晴らしく美しいです。
目の覚めるような白い雪の街並み。見惚れるようでした。

それから。

リーが、バーで喧嘩を売るシーンが二度も出てきますが、「やけっぱち」の表現としては、ステレオタイプな気がして古臭く感じました。

そうそう。

同じ過ちを繰り返しそうになる場面が、ドキリと胸に刺さりました。
意外に、あれが、最後のリーの選択の決め手だと思うなあ。
そういう辛辣さを、さらっと描くのも本作の良さです。

それにしても。

パトリックよ。

「若さ」にかまけて好き放題やってるけどなあ、人生はいろんなところに落とし穴があるんだぞ。
調子こいてると、アフレック兄弟みたいに、セクハラ問題で窮地に立つことになりかねないんだから。

…。

気を付けろ!


 

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Posted on 2018/01/28 Sun. 13:30 [edit]

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