素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

青天の霹靂/劇団おおいずみよう。 


 seitenno hekireki
 青天の霹靂
 (2014年 日本映画)  
 85/100点



これまた…、面白かった。
というか、泣くでしょ、こんなの。

そういう要素で固めた砂糖細工のような映画です。
だから、冷静に考えてみると、「あざとい」のかもしれません。
思いついた「泣きスストーリー」をとにかく見せたい、の一点張りで小ネタっぽい気もします。

けれど、「劇団ひとり」の初監督作品にして、このクオリティは凄い。

晴天の


そして。

もう相変わらずですが、大泉洋の存在感がでかい。
冒頭でマジックを披露するのは、大泉洋自身。長回しで多様なマジックを見せます。
NG連発で、80テイク以上かけたシーンだそうですが、そうは思えないくらい、さらさらっとやっているように見える不思議。それこそマジックですよ。

そして冒頭の泣き芝居…。「生きてくってのは、大変だなあ」
「うだつの上がらない」とか、「報われない」とか、そういう不遇なキャラクターの演じ方でいえば、彼の右に出る者はいません。

本来、「大泉洋」って…、そういう星の人じゃないだろうか。
それが、何の間違いか、た ま た ま 強運や稀有な才能に恵まれたから救われたような。たぶん彼は、与えられた仕事でヤレと言われるがままやっていたら、いつの間にか登り詰めてた…、という感覚じゃないだろうか。

だから、大泉洋が漂わす陽気の裏には、「暗み」があるんです。 それが最近、役に滲み、とても濃い味を出しています。
先日放送されたドラマ『黒井戸殺し』でも、終盤に見せた「影のある顔つき」が、ドキリとするほど切なかったものです。

晴天の3


それと。

監督「劇団ひとり」の演出も素晴らしいです。腕はいいのに「売れないマジシャン」の描き方が、芸人監督だからこそリアルなんです。
主人公は斜に構え、何も気にしていないようなフリをし、心の中ではやさぐれ放題。
少々才能があったって売れるとは限らない、芸事の世界の厳しさ・恐ろしさを垣間見せます。

で。

本作の要は、物語ですよ。
あらすじは、「春夫(大泉洋)はうだつの上がらないマジシャンの青年。母親は幼い頃に蒸発。父親も行方知れずであった。ある日、父親が亡くなったという知らせを受ける。そして、哀しみに暮れる春夫の頭上に、雷鳴が響く。その瞬間、春夫は過去にタイムスリップしていた。そこで出会うのは、若い頃の父親(劇団ひとり)と、母親(柴崎コウ)であった…。」というお話。


<ほとんどネタバレします>


過去の両親に会う展開が、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に似てます。
だけど決定的に違うのは、「歴史を変えない」というところ。
「自分の出生の秘密を知るだけ」、というのがいいです。それを知って、主人公の人生が変わるわけです。

「人生は、気持ちの持ちよう次第」というのは、日本人的というか、仏教的です。とても好感の持てるストーリーです。
正直これと比べたら、過去を変えて未来を良くしちゃう『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が、ひどく俗っぽく感じるほどですよ。




晴天の2


で。

「母親が自分を生むために命を賭けていた」という出生の秘密を知った春夫の衝撃。
「帳尻が合わねえ」と憤るのは、「ロクデモナイ(と思い込んでいた)親」を、自分が人生を諦める理由にしていたからです。

春夫は、「言い訳」を失って狼狽したのです。

至極当然のことで。
「誰かのせい」にする人生は、決してうまくいきません。成長しないから。
逆に、「不遇は自己責任だ」と考えられる人は、成長しようとするから、いつかは光明(スポットライト)も当たります。

本作に、そんな人生訓を感じたのでした。

しかし。

難点を言うと。
劇団ひとりの芝居に慣れるのに時間がかかった。
そもそも「マジ芝居」が彼のネタなんだから、その「マジ芝居」をマジにやられても、コントみたいで感情移入しにくかったことといったら。泣きそうな芝居とか、そのまんまだもの。

また、上映時間が短いので描写が薄いかな、と思う点もちらほら。
命を賭けて「子を産む」妻に対し、夫が少しも反対しない点とか。
逆に反対する春夫に、自分が消える覚悟があったのか分からない点など。

あと、春夫と父親の名コンビで快進撃を続けていたのに、最後のオーディションで春夫が普通にマジックを披露するのが、…これでいいのか…? という気はしました。あれでは、恐らくオーディションには受からないでしょうねえ。
ただ、「春夫が、自分の人生に自信を取り戻した」という描写なのかもしれませんが。

まー、なんだかんだ言っても、泣けたけどねー。

初めて、柴崎コウに魅力を感じました。優しそうな笑顔が印象に残ります。
現在に戻る瞬間と、マジックを重ねる演出が見事。
ラストシーンのカメラワークも鳥肌でした。
しっかり映画になってるもん…。

晴天の4


けど。
本作の展開は、最近の世の中の思想的にNGかもしれません。
『「女」は、命を賭けてでも「子を産むものだ」』というステレオタイプの母親像を押し付けていることになりかねない…。
ちょっと、そんな気はしました。
でも映画の世界って、そんなもんです。
逆に、『「男」は、命を賭けてでも「女を守らねば」』という思想があるもんね。

話が逸れた…

とにかく、哀しくも…美しい話でした。

ちょっとだけ思い出したのは、漫画『ハロー張りネズミ』23巻のエピソード。
主人公がやはり過去に戻り、相棒グレさんの母親に出会う話。ラストだけ似た印象があります。…まあ、哀しい話です…。

と。

本作の素晴らしさは、もう一つ、宣伝活動の面白さ。
映画の宣伝で放送された「劇団ひとり・大泉洋のオールナイトニッポン」が面白くて。
劇団ひとりいわく、大泉洋は、「最優秀映画宣伝賞」とのこと。




ともかく、いろんな才能に恵まれた大泉洋だということでした。


 
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Posted on 2018/05/05 Sat. 11:22 [edit]

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