素人目線の映画感想ブログ

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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

ゲット・アウト/ 黒人は、いつの時代だって安心できない。 


 ゲットアウト
 ゲット・アウト
 (2017年 アメリカ映画)  
 90/100点



傑作のサイコホラーでした。このジャンルでは、もしかしたら『羊たちの沈黙』以来の衝撃だったかも。

個人的には評判ほどじゃなかった『イット・フォローズ』『ドント・ブリーズ』の系譜のように紹介されていたので、大きくは期待してなかったんですけど、これは群を抜いて面白かった。




あらすじは、「黒人青年のクリスは、白人の恋人ローズの実家に赴くことに。差別されないか気にするクリスだったが、家族は温かく迎えてくれる。ある日、実家でパーティが開かれるが、参加者のほとんどは白人で…」という物語。

ゲットアウト1


「黒人差別」が根底にあるテーマです。
本作の序盤で、主人公が彼女の家に行くことを不安に思う様子が、今さらながらショックです。
「彼女の両親が、黒人嫌いだったらどうしよう…」

この現代においてもなお、黒人の人たちは、そんなことを気にしないといけない。
アメリカには、結局黒人差別が根強くあるんだと思わせます。

西部劇『ヘイトフル・エイト』に登場する黒人(サミュエル・L・ジャクソン)が言っていた、「黒人は、常に白人に撃たれないか気が気でない」というセリフを思い出しました。その時代から、アメリカって大して変わっていないのかな。




アメリカは差別に敏感だ、人権先進国だなんて言ってるけれど、実は「強烈な差別」があるからこそ、反対の力が強く作用しているだけなんですよ。

日本の「ブラックフェイス問題」が話題になったけど、「日本の人権意識が低い」というより、逆に「黒人への差別意識が低い」から気づけない、という理由もあるんです。

本作を観ておののきました。今だに黒人の人たちは、こんなに息苦しく生活しないといけないのか。

ついでに言うと、アメリカには二枚舌の面もあるんです。
『テルマ&ルイーズ』で、30年も前に女性の人権をしっかり描いておきながら、裏ではセクハラ三昧のプロデューサーを見て見ぬふりしてきたわけだから。


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ゲットアウト2


さて。

本作は後半から早々に真相が浮かび上がってくるので、ネタバレしないように感想を書くのは難しいですが…

本作の優れた点は、「伏線」の巧さ。あらゆる所に張り巡らされています。
特に序盤のセリフに注目です。後半でセリフの意味が大きく変わる展開が面白い。

黒人の家政婦や使用人の不気味な空気感…

どこか古めかしいパーティーの雰囲気。

紳士的だが、今一つ感情が見えない謎の黒人青年…

闇が、クリスを飲み込もうと密かに近付いてきます。

昔のサスペンスを思い起こさせる古典調なBGMも印象的で、本作の特異な空気感を濃くします。


ゲットアウト3


途中、「催眠術」とか出てくるので、ちょっと期待値が失速したのは事実です。現実感のある物語に、非現実的な設定はイージーな気がして。『クリ―ピー』の注射器くらい野暮な気はしたんですけど、それを覆す衝撃の展開だったので、まあ、いいか。

その催眠術の際の「音」と、心の奥底に沈められる状態の「視覚化」は、とても面白かったです。

で。

主人公クリスの白人の彼女ローズは優しく、純粋性に溢れています。黒人への差別意識を持った者を嫌悪します。れっきとした素敵な女性です。ほんと、可愛い感じ。
白人だらけの環境で、不安に駆られている主人公の唯一の救い…。理解者…。伴侶…。

ええい!
最大のネタバレなので反転しますが、「そのローズが敵側だったのが最大にショックだったものです。まさに白人の二枚舌を表していると思いました。あの写真の衝撃は、『オールド・ボーイ』を思い出す。ローズの正体が判明してから、彼女のオールバックにした冷徹な表情が忘れられないくらいツラい。何気に凄い演じ分けですよ。まいったねえ…。反転だからついでに言うと、黒人家政婦と使用人に隠されていた秘密もびっくりだよ。で、ローズがその二人に、おばあちゃん頼むわ! 次、おじいちゃん! …って言うのが面白い。しもべに命じるバビル2世か」

ゲットアウト4


ネタバレで書いたら、あースッキリした。
それだけ、本作の結末の衝撃は、凄いものがあります。
前述したように、真相は早々に明かされるけど、そこから単純に「黒人差別」だけで終わらない捻りがあって斬新です。

ホラーといっても、残虐な場面とか(一部除いて)ないから、苦手な人でも大丈夫。
もういっちょ反転で、「このジャンルにありがちな、後味の悪い終わり方をしない点も素晴らしい!」

ただ…、黒人を救うのは、やはり黒人だけなのでしょうか。
『アナ雪』が男を捨てたように、そこに「諦めの境地」があるような気がして、妙な気分にもなります。

とはいえ!
このジャンルでは久しぶりに、自信を持ってオススメ!!


 
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Posted on 2018/05/13 Sun. 09:50 [edit]

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