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踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! ヤツら(実は2名)を解放せよ! 


踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! スタンダード・エディション [DVD]
  踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!
 (2010年 日本映画)65/100点


現在、シリーズ第4弾「踊る大捜査線 FINAL 新たなる希望」が絶賛公開中です。今回は、「踊る大捜査線シリーズ」第3作目に手を出しました。
各ブログや各映画評を読む限り、まあ、当然予想通りですが、酷評の嵐です。
今やフジテレビや他のテレビ局が映画を制作する度に、「日本映画没落の元凶」とまでこきおろされています。
 
では実際のところ、本作は映画の質としてどうなのでしょうか。
私自身、悪口はもう読み飽きたので、今回は極力良いところを褒めていけたらなあと思います。

踊る大捜査線の映画シリーズは、良くも悪くも「お祭り映画」なのです。
だから、映画の質うんぬんを問うても意味がないと思うのです。
今回の物語は、湾岸署から新湾岸署への「お引っ越し」という大イベントを軸に展開されます。
そこで、主人公の青島(織田裕二)が、引っ越し責任者として指揮をとるわけです。
「係長に昇進したのに、引っ越しの指揮に頑張らされる青島」という設定が、何とも低いハードルの期待値に見事に添ったレベルでよく考えられてるじゃありませんか。
いやいや、決して嫌味ではありません。観客の期待を大きく超えた設定なんて、もう「踊る」にはいらないのです。
青島が目を覚ますと、見知らぬ砂漠のど真ん中で記憶喪失になっていた。とか、
青島がマル暴に配属され、新たな職場、新たな仲間とともに暴力団組織と対決する。とか、
青島が離島へ勤務することになり、島のジジ・ババ達のひた隠す秘密を暴く。とか、
突拍子もない設定は必要ないのです。
いつものメンツ、いつものストーリー、いつもの対立、いつもの青島がいれば、いつもの「踊る」が出来上がって、いつものように稼げるのさ!

ん? 今、何かにがにがしい黒いものが口から…

とにかく、ファンにはとても安心の設定で物語は始まります。
確かに「引っ越し」の様子はにぎやかです。
画面のすみずみまで、職員や引っ越し業者がひっちゃかめっちゃかに動き回ってます。
「踊る」の特徴はこの「人海戦術」ですね。よくある刑事ドラマの少人数オフィスではありません。
このお祭り騒ぎの湾岸署内を、ワンカットで流していく画面作りが面白く、なかなか臨場感があります。ここは、マジで良いです。
確かに良いところもあるんですよね「踊る」は。
キャラ設定もそれぞれ主役級の方々が、それぞれに役が立ってるし、演出もワクワクさせることが出来てるし、BGMもかなり好きです。
そもそも「踊る」のコンセプトは、「有給休暇をほしがる刑事」というもので、ヒーローではない生身のサラリーマンのような刑事というものなので、とても斬新なのです。(アニメ「パトレイバー」を参考にしたのは、有名ですが) 
だから、本来はこんなに酷評される映画になるはずがありません。
「キャラがしっかりすれば、ストーリーなんかあとでついてくる」って、昔読んだ「シナリオ」って月刊誌に書いてあったもの!(マニアックだが)

映画
(にぎやかな職場。人海戦術の楽しさは間違いない)


映画
(新キャラの小栗旬演じる管理官も存在感あります…けど、パーソナルスペース侵し過ぎ)


では、なぜ「踊る」は映画の質がいつまでも向上しないのか。
最大の原因は「脚本」です、たぶん。
湾岸署の楽しいひとときについては、全然いいんです。面白いです。しかし、いかんせん事件が始まると途端にダメ。
これは、テレビシリーズの時からです。
事件が始まってからの流れは、ご都合主義で幼稚で、信じられないほど単純です。
意図的なのか技量の問題なのか…。
それなのに、無理して複雑な事件を扱おうとするから、全然上手に筋を通した流れにできていないのです。
「ま、『踊る』はこんなものだよね。楽しいから、そこはいいや」、という観客の「寛容さ」に甘えきった着地の仕方。
大体、日本のドラマ全体の悪い癖だと思いますけど、物語を「説得」で終わらせる展開はもうやめませんか。
こないだ放映されていたテレビスペシャルでも、つたない「説得」で犯人を投降させていました。本作も、小泉今日子演じる日向真奈美を「説得」しますが、なんとも…。天才的なはずの小向が、単純極まりない青島の「よいしょ」にいとも簡単に乗っかり、つらつらと犯行内容を吐露って、ねえ、あんた。
もう、これはね、我々観客を「バカ」と見下して舐めきった制作姿勢だと言わざるをえんよ!
 
ん? 今、何かちらちらとした炎のようなものが口から…

ま、まあ、まあ…。
今回も名物スリーアミーゴーズは、いい具合に物語に緩急を与えてくれています。
ここは、待ってましたの楽しさですね。
突如、青島が「癌」だという設定が始まりますが、実はレントゲンの診断ミス(!?)でした。
それを知ったスリーアミーゴーズは、青島が元気なのは厄介だから、落ち込ませておくため黙っていよう(!?)と示し合せます。 
この楽しい設定を、いったいどんなオチに使うのかなあ。ドカンと大きな笑いに落とすんだろうなあと思ったら、さらりと暴露(!!??)
特にリアクションなし。
な、なんのための設定だったの…?
スミレ(深津絵里)でさえも青島のガンに対し、「どうせ死ぬなら、頑張ってから死ね」とツンデレの域を超えて、もはや性格異常を疑われる鬼畜さ。
それに対し青島は、「うん、死ぬ気になったら頑張れそうだ」と、もはやマゾを通り越して、ただのヤケ。
だーかーらー、上手に着地させたり活かしたりする気のない設定なら、初めからやめておけばいいじゃない! こっちだって、いつまでも黙ってねーぞ!

ん? 今、エクトプラズマのようなものが口から… 
 
さて、さて、ラストは旧湾岸署での日向と青島の対決となります。
日向は、ここで死ぬことで、彼女を敬愛する信者たちにとっての「神の存在」になることを望んでいました。
そこで、青島はまた語りだす(うへー)のです。
「お前を逮捕するのが、おれたちの誇りだ」などなど。
最後はなんで助かったのか、なんで日向は抵抗しないのか、もう、一切わからないまま、「これ以上、上映時間は長引かせられない!」という大人の事情なのか、さらりと青島は日向の自害を阻止し、大団円…
…いや、もう怒鳴りません。
どうでもいいや。
これは、これで良いのかも…

無題
(いまやスタッフばかりか、観客をも緊張させる犬猿の二人のシーンもあります!)


とにかく本作は、惜しいというわけでもないけれど、これだけ面白くなりそうな予感をいっぱい含んでいるのに、つたない事件と解決方法で台無しにしている、もったいない映画なんですよね。
批判している方々が、なぜスルーせずに見続け、あえて批判しているのかというと、「もったいない」と気づいているからです。
高級素材は集まっているんです。料理人も悪くない。けど、レシピが…と。

ところで…。

本作のプロデューサー・フジテレビ亀山千広氏は、本作のテーマについて、「生と死」「命を大事に」というテーマを含んだと言っていました。
……本気で?
どこに?
ガンのとこ?
まさかね?
……
……しっらじらしー!
だからさあ! 大風呂敷を広げたふりして! 実際は、半紙をつなげただけのおっきな紙切れにすぎなくて! それじゃあ、たためないじゃん! 最初からたたむ気ないじゃん!って展開はもうそろそろやめたらどうかねー!?

…とまあ、楽しく突っ込める「踊る」シリーズは、深く考えずに観れば、にぎやかなお祭り気分を味わえる日本映画なのでありました。
踊るアホウに見るアホウ、同じアホなら、楽しまにゃソンソン…ってことで。


  

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Posted on 2012/09/21 Fri. 18:55 [edit]

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