素人目線の映画感想ブログ

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スノーピアサー /僕のかんがえた せいかつ列車でGO! 


 スノーピアサー
 スノーピアサー
 (2013年 アメリカ映画)  
 80/100点



『100かいだてのいえ』っていう絵本がありまして。100の部屋があって、それぞれの様子がイマジネーション豊かに描かれているんですが、そういうのってワクワクします。

本作は、そんな素敵な絵本を基にしたような、階級闘争の話。しかも、陰惨。




『第72回カンヌ国際映画祭』でパルムドールを獲ったポン・ジュノ監督の新作『パラサイト 半地下の家族』(また変な邦題付けたな…)も楽しみです。その前に、まだ観てなかった監督作を観ていこうかと。

『殺人の追憶』とか『母なる証明』とか、めちゃくちゃスゴい傑作を撮るポン・ジュノ監督が、ハリウッドに進出して撮ったのが本作です。

温暖化防止の薬剤を地球に撒いたら、なんと氷河期レベルまで地球が冷えちゃった! っというオッチョコチョイな人類。吹雪の終わらない極寒の世界になってしまいました。これは…、ポン・ジュノ版『天気の子』!(ではない)

「生き残りの人類は、永久機関で走り続ける列車に移り住んだ。前方の車両には『金持ち』、後続の車両には『貧乏人』が住む。不遇な扱いに耐えかねた者たちが、先頭車両に居座っているであろう『支配者』に立ち向かうべく、先を目指す!」という物語。

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車両が、いろんな部屋になっているんです。住居や食料製造工場、植物栽培所、水槽、学校の教室、美容室、寿司屋などなど。かなりのバリエーションで、なんとディスコまで! その発想はまさに「絵本の世界」みたいでワクワクしますね! が、圧倒的に現実味はない!

そう。

こんな部屋もあるんかい! とツッコミたくなるネタっぽささえあります。それに、描写が省かれているだけかもしれませんが、前方車両の住人の人数分、住居スぺ―スがあるとは思えない。まるでRPGの町みたいな印象です(町人と家の数が合ってない)。

時折、前方車両のお偉いさんが最後尾の「貧乏人」の車両までやってくるんですけど、毎回「寿司屋」とか「ディスコ」の車両とかを通ってきてんのかなと思うと、なかなかオモロイ道程だなーとか気になっちゃったり。

根本は「階級闘争の寓話」なんだから、ツッコミは野暮なんでしょうけど。

スノーピアサー4


とはいえ。

見応えはあります。ハリウッドで撮ると、大抵、その監督の個性って埋没しがちですけど、ポン・ジュノらしさは所々で健在。

例えば、「酷」なエッセンスがふんだんです。極寒の外に手だけ出させて拷問したりとか、貧困層の謎の食料の正体が〇〇〇〇とか(とても書けない)、全て無にするような皮肉な真相も、ポン・ジュノらしいなあ。

また、彼らしいとぼけた風味も出てきます。のんきに小学生が勉強してたりとか、寿司屋でぼおっと満喫している面々とか。緊迫した事態の最中に、抜けた空気感を入れ込む遊び心が絶妙です。ちなみに、「寿司屋」ってのは、同じディストピア映画として『ブレードランナー』のオマージュなのかな?

ポンジュノ・ファミリーのソン・ガンホも、薬物中毒の危なっかしいエンジニアとして存在感を発揮。汚れた役柄でも気にせずこなしまっせ、なんせ逆にカッコ良くなるもんで、というワザが一流だなコノ。

エンタメとしての腕力もなかなかで。線路のカーブを利用して前方車両にいる敵を銃撃するってアイディア、何気に斬新でない? こういうの痺れます。

ということで。

あとは個人的には、総理役のティルダ・スウィントンが出オチなメイクで印象的でした。久本雅美ばりの前歯をむき出し、支配者側の都合をキーキー喚くんだけど、なんか憎めない。もともと透明感の強い女優さんだけど、見事な化けっぷりです。

スノーピアサー


彼女のおかげで、「支配層側の悲哀」もあって、物語に深みが出てました。敵側の兵士たちしかり。主人公たちに銃を向ける度、ハラハラしてたんだろーなーと思うと気の毒なような…、笑えるような。

ただ正直言うと。

他のポン・ジュノ作品に比べると、本作はやはり無難なラインにとどまっている気はします。(他が凄すぎるのだけど)。

この事態の真相は、ひねってはいるけど目新しくはなくて。

この世界の今後に「希望」を残すんだけど…
「(ネタバレなんで、反転で)ハッキリした描写はないけど、あの二人以外死んじゃったってことなの? いや、救われないなー。それはイヤだよ」

というわけで。

ポン・ジュノによる「僕のかんがえた せいかつ列車」 絵本のような気持ちで観ると、次はどんなお部屋かな~と楽しいですよ。ただし食料は、黒くって○○○○だけど! ひぇー(((( ;゚Д゚)))! しばらくブラックサンダー食えないよ。


 

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Posted on 2019/08/10 Sat. 16:48 [edit]

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