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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 押井守の「好き放題」 


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 うる星やつら2 ビューティフルドリーマー
 (1984年 日本映画) 85/100点


本作を見た当時、実は「うる星やつら」には興味がなく、どうしてこの映画を観賞するに至ったのかは思い出せませんが、とにかく衝撃的に面白かったのです。リアルタイムの鑑賞ではありませんが、本作が初めて見た押井守監督作品なのであります。個人的に、アニメ映画の中ではトップ3に入る面白さだと思っていますし、一般的な人気投票でも、必ず上位にランキングされる大傑作です。
本作公開年は「風の谷のナウシカ」と同年。
宮崎駿の息子、宮崎五郎は公開当時、(反抗期もあってか)「ナウシカ」よりも「ビューティフル・ドリーマー」の方が面白いと発言し、駿を憤慨させたことがあるそうです。
確かに、甲乙つけがたいのではないかと思うほど、本作には優れた演出と深みのあるテーマがあります。はっきり言って、押井守の才能が爆発しているのです。

本来はドタバタラブコメディである原作・高橋留美子の大ヒットマンガ「うる星やつら」
明石屋さんまが、意中の人は「ラムちゃーん」と言っていた「うる星やつら」
そんなポピュラーな「うる星やつら」の劇場版でのテーマが、「時間」と「空間」だとは、人のふんどしで哲学語り過ぎです。

そもそも、本作の前半の主人公は、「アタルとラムちゃん」ではありません。
保健室の先生で、霊能者でもある「サクラさん」の視点で物語は進んでいくのです。

あらすじは、
学園祭の前日、その準備のための狂騒に包まれた友引高校。永遠に続いてほしいほどの楽しいひと時が過ぎようとする中、保健室のマドンナであるサクラは、一人の教師から、ある驚愕の事実を知らされる。学園祭前日という同じ1日が、誰も気づかない内に、何度も繰り返されているというのだ…」というお話。

本作には「浦島太郎伝説」や「孔子の夢(ここは果たして私の夢の中なのか、それとも蝶の夢の中に私がいるのか)」というお話がベースになっています。
 
物語は、序盤こそいつものコメディの雰囲気ですが、徐々にトワイライトゾーン的に変化していきます。それを、妖しくも緊張感のある演出で描いていくのです。

絶品のセリフ回しが楽しめる給湯室のシーンや、カメラをくるくると回転させた喫茶店のシーン。妖しいタクシー運転手とサクラの対決シーンなど…珠玉の名シーンがいっぱいの映画です。

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(「明日は学園祭の初日じゃからな」……繰り返されるその一言)


ちょっとワンシーンだけ再現してみましょう。
世界の異変に気付き始めたサクラと、深夜に乗り込んだタクシー運転手との不可解な会話。
サクラ
「運転手、急いでくれと言ったはずだが。まだ着かんのか?」
運転手
「はい、はい、すぐです」
サクラ
「表通りから友引高校まで車でたかだか2,3分のはず。やけにかかるではないか」
運転手
「お客さん、みなさん、同じことをおっしゃいますなあ。タクシーに乗ると、時間が伸びるんですかねえ。…お客さん、亀に乗って竜宮城に行く話、ご存知です?」
サクラ
「今、その気分を味わっとる」 
運転手
「亀に乗ってたのが、太郎だけでなく、村人全員だったら、どうだったでしょうねえ」 
サクラ
「…?」
運転手
「全員が竜宮城に行って、そして揃って村へ帰ってきたとしたら、それでもやっぱり数百年の歳月が経ってたことになるんでしょうかねえ? 村人が誰一人気付かなかったとしても…」
サクラ
「何の話をしとる…?」
運転手
「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかい、ややこしいことになるんちゃいまっかあ? 帯に短し、末尾に長し言いますやろがな。時間なんちゅうもんは、あんた、人間の自分の意識の産物や思うたらええのや。世界中に人間が一人もおらなんだら、時計やカレンダーに何の意味があるっちゅうねん。過去から未来へきちんと行儀よお流れとる時間なんて、初めからないのんちゃいまっかいなあ、お客さん。人間それ自体がええ加減なもんなんやから、時間がええ加減なんも当たり前や。きっちりしとったらそれこそ異常でっせ。確かなんは、こうして流れとる現在だけ。そう思たらええのんちゃいまっかあ」
サクラ
「……面白い。これは、本当に亀に乗ったのかもしれんなあ」
運転手
「このまま竜宮城まで行きまっか。お安うしときまっせえ」


ほら…。これが「うる星やつら」のセリフの掛け合いだと思いますか。
名優・藤岡琢也と鷲尾真知子のケレンミたっぷりの芝居が大変気持ちいいです。
押井守は、本作のひとつ前、「うる星やつら オンリーユー」という映画では、まったく好きに作れなかった恨みがあり、今回はプロデューサーをだましにだまし、作り上げたといいます。確かに、通常ではありえないほど、「うる星やつら」をダシに、思う存分の思想を盛り込んでいるのです。

無題2
(後半から、なぜか世界は終末の様相に。これは現実…?)


後半から、物語がやや破綻していくのは確かですが、押井守節がイヤというほど堪能できる本作。
今や、力尽き始めた感のある押井守ですが、この頃は才能がギラギラと輝いていましたね。

繰り返す一日という設定は、「いつも同じドタバタを繰り返している」という原作への批判的な気持ちが含まれているとも言われています。そのためか、「うる星やつら」ファンから「原作汚し」と酷評されることもある本作ですが、物凄い一品であることは間違いありません。

ある地上波のアニメ特番で、爆笑問題の太田光が、この作品がすごいんだと熱弁し、周りが誰も本作を知らなくてシーンとなったこともありました。この作品を全く知らないという方には、ぜひ一度、だまされたと思って観賞してほしい傑作です。


 

 
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Posted on 2012/09/26 Wed. 21:09 [edit]

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コメント

ひとつ質問 

「お安うしときまっせ」ってどういう意味でしょうか?ゲームなどにたまに見ましたが、ヨーロッパ人として分かりにくいだから。

URL | アンネシュ #- | 2012/12/27 07:36 | edit

Re: ひとつ質問 

アンネシュ様

Thank you for the comment.
A meaning means "Making the taxi fare cheap."
There is so deep no meaning.

URL | タイチ #- | 2012/12/27 19:02 | edit

 

お返事してくれましたありがとう

URL | アンネシュ #- | 2013/01/23 08:29 | edit

Re: タイトルなし 

アンネシュ様

My pleasure.

URL | タイチ #- | 2013/01/23 13:10 | edit

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