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ヤング≒アダルト それでも皆、シャーリーズセロンになりたい。 


 無題2
 ヤング≒アダルト
 (2011年 アメリカ映画)70/100点


ちょっと前に、ダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで」の企画で、浜田雅功による「何やねん? 50人斬り」というものがありました。
浜ちゃんの、「何やねん?」という恫喝まがいの言葉に、次々に人が失神するというミニコントみたいなやつです。
それと同じく、本作のシャーリーズセロンのまなざしには、まさに背筋を凍らせる「何やねん?」を感じたのでした。

「あたしに向かって何やねん?」「何が悪いねん?」「いてこましたろか!」
 
とにかくシャーリーズセロン演じる主人公・37歳(未婚)のメイヴィスが怖い。
どうしようもない「自信家」なために、人が自分に逆らうなどとは思いもよりません。ましてや、自分の誘いを断るなんてありえないと思っているキャラクターですから、敵対する者への睨みつけが、まさに「何やねん?」なわけです。
想像してください。例えば「神田うの」から、「あんた何?」と一瞥された時のことを。
自分は捕食される側だ、ということに否応なく気づかされることでしょう。

無題2
(ゴーゴンレベルの「おまえ、何やねん?」)


本作は、邪悪な女王から殺人鬼まで幅広く演じるシャーリーズセロンが、大人になりきれない女性・メイヴィスを演じます。
「イケてる高校生グループ」だったメイヴィスは、現在は都会ミネアポリスで、ヤングアダルト小説(ライトノベルのような小説)のゴーストライターをしています。
まあまあ有名人で、それなりに裕福で、おまけに誰もが憧れる超絶美人という、まさにリア充街道を猛進する女性のはずなのですが…。
 
あらすじは、「メイヴィスは、ある日高校時代の元カレから、赤ちゃんの誕生会の誘いのメールを受け取ります。どういうわけか、これは自分との復縁の誘いだと思い込んだメイヴィスは、懐かしの故郷へ車をかっ飛ばすのです…」というイターイ話。


<完全ネタバレしています。>


最近よくあるアラフォーのあるある話かと思っていましたが、本作は、ちょっとリアリティに欠ける展開です。
元カレからの「赤ちゃんの誕生会」への誘いを、どうして「復縁の誘い」だと思い込めるのか?
不倫狙いだとしても、最悪のタイミングでしょうに。
だって元カレは、メイヴィスと電話で話しながら、せっせと赤ん坊のミルク作りにいそしんでいるのですから。これでは、石田純一でも 誰でも、不倫するどころではありませんよ。

特上のメイクアップを施し、元カレとの再会を果たすメイヴィスですが、案の定思い通りに誘いに乗ってこない元カレ。
そりゃそうでしょう。だって赤ちゃんが生まれたばかりだもの。
これでは、塩谷瞬でも 誰でも、二股状態を望むはずもありません。
おまけにこの元カレ、なかなか良きパパとして、人並み以上に育児に家事に一生懸命なのです。
自分の思い通りに行かない状態が続き、次第に、メイヴィスは精神不安定に陥っていきます。何をしでかすかわからない怖い状態になっていくのです…。こ、こわい…。

ただ、メイヴィスは作家です。かつて人気だった「花のハイスクール」シリーズの最終話の執筆が、物語と同時に進められていきます。メイヴィスは、自身の心境と小説の主人公のそれを重ね、投影させていくのです。 
そのため、メイヴィスは冷静に自己分析ができるから、かろうじて精神のバランスを取っていると思います。反対に、この執筆活動がなかったら、おそらくこの映画は、血みどろストーカー映画と化し、「危険な情事」の様相となっていたことでしょう。

無題3
(意中の人の前では、見事に「何やねん」ビームは閉じられます)
 

とはいうものの、どう考えても平和に暮らしている元カレとその奥さんを目の前にして、ぎらぎらと闘志を燃やすメイヴィスは、ちょっと異常です。
あろうことか、「赤ちゃん命名パーティー」の場で、元カレにキスを迫る始末。
その場で誘いに応じるなど、巨人の二岡でも細野豪志でも石田純一(2回目)でも 誰でもあり得ません。
しかし、拒絶されることに「信じられない」という表情を見せるメイヴィス。
その直後、元カレの奥さんや他の親族や同級生の前で、ブチ切れた姿を見せてしまいます。
うーん、さすがにこれはちょっとあり得ないかなあ。この場面の途中、メイヴィスが「冗談よ」なんて言うものだから、ドッキリのイタズラだったことにしてその場を取り繕うのかと安心したら、やっぱり最後はブチ切れて去っていくのです。これは、あまりにリアル感がないかなあ。
正直、メイヴィスがそこまで常軌を逸したキャラクターには見えないんですが。

無題3
(出てます、貞子レベルでビームが…)

 
挙句の果てに、その後憔悴しきったメイヴィスは、同じく高校時代の同級生で、昔から蔑んでいた「デブでオタク」の男と、なんだか心が通じ合ったように抱き合います。うーん…、これこそ、絶対にあり得ないと思う! 「イケてない男子」が「クラスのマドンナ」の相談相手になっている内に…という「男の願望」を、さてはサービスで入れ込んだなと白けたものです。

ところが。

物語は終盤になると、途端にリアリズムを取り戻します。
 
メイヴィスは、はたと気づくのです。
「こんな田舎、つまらない」と。
悪いのは、自分じゃない。悪いのは、自分と合わない「彼ら」なのだと。
彼らは、私のような都会生活にはなじまず、大きな成功を望んでいるわけでもない。彼らは、地味に小さくまとまっちゃった「かわいそうな人達」なんだと。
素晴らしいじゃないか!
人間的な成長もへったくれもないリアルなエンディング。
私は、メイヴィスはそれでいいのだと思います。
彼女には、彼女に一番適した生き方があるのだと思います。
彼女の幸せとは、決して結婚でもなく、子どもを産むことでもないのです。
メイヴィスは、そうして「デブでオタクの男」もすっぱり断ち切って、意気揚々と都会へ帰っていくのでした。拍手!

(ただ、メイヴィスが流産していたという設定には驚きました。ちょっと安易で、あまり良い設定とは思えません。)

余談ですが、この元カレは、もしかしたら数年後には後悔するかもしれません。
メイヴィスに冷たくせず、仲よくしたまま帰しておけばよかったって。
あの場での不倫はあり得なくても、この先はわかりませんよ。
数年後、元カレはメイヴィスに連絡をする可能性は高いと思います。(今回、元カレは酩酊状態だったとはいえ、1回はメイヴィスとキスしていることだし)
その時、メイヴィスの天下がまた舞い戻ってくるのです。 
その時はぜひ! メイヴィスには元カレに向かって、フリーザレベルで「何やねん?」をぶっつけてほしいなあ!
 

こちらの感想もどうぞご覧ください!

青春の終わりはいつ?ジェイソン・ライトマンとディアブロ・コディという、2007年のヒット作「JUNO/ジュノ」の監督・脚本家コンビによる、青春の思い出から逃れられない中年女性の、二十年目の“卒業”を描いた、ほろ苦い味わいの佳作。憧れの大都市に住み、作家(ゴーストライターだけど)として成功しながら、とっくの昔に捨てたはずの故郷からの一通のメールに心動かされ、十代の精神状態に戻ってしまうイタタな主人公、メイビスを...ヤング≒アダルト・・・・・評価額1550円




  

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Posted on 2012/09/27 Thu. 22:57 [edit]

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日本語の起源

言霊百神

kototama 100 deities

URL | 辻 #- | 2014/07/01 23:41 | edit

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