素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

500日のサマー さては、フラれた腹いせで作ったな。 


 無題
 500日のサマー
 (2009年 アメリカ映画)90/100点


傑作の「恋愛」映画です。
冒頭のナレーションでは、「この映画はラブストーリーではない」と語られますが、れっきとしたフラレ男の物語です。いわゆる「気まぐれ系女子に振り回される男子」の普遍的な失恋物語。
主人公・トムは「運命の恋」を信じ、ヒロイン・サマーは、「真実の愛」なんてあるわけないと考えています。その二人の溝が埋まりつつ、埋まりきれない苦々しさを、極めてリアルに描いているのです。
今や米国の離婚率は50%、日本でも40%に迫る勢いですから、サマーの考えは決して間違ってはいません。
サマーはワガママキャラのように捉えられがちですが、実はデータに裏付けされた現実主義者であり、一番真実味のある考えの持ち主と言えるかもしれません。
しかしトムは違います。典型的な思い込み型の男子ですから、サマーとガッチリ合う趣味や相性などから、すぐに(勝手に)「運命」を感じて盛り上がります。
うーん、誰にも思い当たる節のありそうな展開に、胸がちくちくと痛みます。
 
主人公のトムを演じるのは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのジョセフ・ゴードン・レビット。
草食系俳優かと思いきや、「ダークナイト ライジング」では屈強な警官を演じたりと幅広く、おそらく数年後には「記憶をなくしたスパイ」的な役でアクション俳優として活躍しそうな、今が旬の男優です。
サマーを演じるのは、ズーイー・デシャネル。ちょっとよく知らない人ですが、まさに普通の女の子です(そこが危険!)。幼いような大人のような、小悪魔的な雰囲気で、完璧ボディでも家庭的でも全くないけれど、なぜか「モテる」タイプの「ほっておけない」女子なのです。

この映画の特徴は、トムとサマーの出会いから別れまでの「500日」を時系列バラバラに進めていくところです。
そんなわけで、わかりやすいように時系列をきちんと並べ直し、下記に記しました。
そんなら映画も最初から時系列通りにやったらいいのに、と思われるかもしれませんが、そこがこの映画のうまいところ。
うまくいっている時とダメになりかけている時を交互に並べることで、恋の苦みを存分に皮肉って引き出すことに成功しています。
付き合い始めは「少年のようにステキ」と感じていた長所が、終わりかけの頃は「子供っぽくてイヤ」と評価が変わる、あの不条理な苦みです。

(今回、おもいっきしネタバレしてます)


1日目
出会いは1月8日。トムはグリーティングカードの文面を考えるライターです。
トムの会社に、サマーが社長秘書として入社してきます。
 
3日目  
サマーについて、高慢ちきな女だと男子たちが噂してます。
トムも「そんなやつ、相手にしなければいいんだ」とまだ余裕。
     
4日目  
トムが、ヘッドホンで音楽を聴きながらエレベーターに乗っていると、サマーが乗り込んできます。あろうことか、「『ザ・スミス』聴くんだ?」とトムに声をかけるサマー。いかんよ。純粋なトムは、すでにそれだけで「惚れてまうやろー!」状態に。

8日目  
会社のパーティーでサマーに声をかけるトム。会話が弾みます。

11日目 
サマーとは話が合うんだよ、最高なんだよねーと妹に打ち明けるトム。
妹(クロエ・グレース・モレッツ)は兄に、冷静になれと諭します。妹の方が大人なのです。

22日目 
サマーが自分に全く興味がないように思えて勝手にへこむトム。
すでに術中です。くわばら、くわばら。

27日目 
会社のパーティーが開かれるとのこと。

28日目 
パーティー当日。カラオケバーで、サマーは懐メロ「シュガータウン(1960年代)」を歌います。「あどけない」イメージを振りまく絶妙の選曲。こやつ、心得とる。
さてこの席上にて、「真実の愛なんてない」というサマーの考えが披露されます。
対して、「運命の恋はある」とトムは反論します。
その後、友達の余計なひと言で自分の想いがサマーにバレそうになるトムは、慌てて否定します。
そんなトムに向かって、サマーはさらりと「あなたと友達になりたい」と言ってのけやがります。

恋の時限爆弾のセット完了でござる。

31日目 
会社のコピー機の並ぶ部屋で、サマーはトムにいきなりのキス(!)
      
34日目 
イケアで夫婦ごっこ。そこでサマーは、「自分は真剣な付き合いができない人なの」と言い放ちます。
戸惑いを隠しつつ、ポーカーフェイスで了承するトム。ああ、無情。
しかしその後、手をつないでトムの部屋にて結ばれる二人。
   
35日目 
朝、世界のすべてが祝福してくれているように思い、まさに天にも昇る気持ちのトム。高く上がれば上がるほど、落ちた時の痛みが激しいものだとも知らず…。

45日目 
社内にて、こっそりと携帯電話で楽しく会話しているトムとサマー。
秘密の社内恋愛は、さぞ盛りあがることでしょーねえ。あーあ。

87日目 
一緒にアダルトビデオを鑑賞。まさに普遍的な展開!

95日目 
トムが一番好きな場所である、眺めの良い公園のベンチでサマーとデート。
すべてがうまくいっている充実の「時」。まさに至上の喜びの「ひととき」。…いや、「一瞬」かな。

109日目 
初めてサマーの家に上がるトム。
サマーはトムに「夢の話」をします。
空を飛ぶ夢…自分は自由で安全だけど、気が付くと一人ぼっちなの…と秘密めいた心境を吐露。
トムは、自分だけがサマーの心を開くことができたのだという達成感・独占欲に浸ってしまいます。危険な兆候ですなあ。

118日目 
またもや妹に相談。
「恋人」などというラベルは必要ないと言いながらも、実はサマーとの関係をはっきりさせたいという心の内をあっさりと妹に見透かされるトム。
「傷が深くなる前に、早くはっきりさせろ」と妹。大人過ぎです。
 
154日目 
もうどうしようもなくサマーが好きだと友達に発表。
       
167日目 
仕事がサイコーに順調です。

259日目 
バーで男に絡まれ、トムは喧嘩をします。
そのことで、サマーはトムに対して「ダサい」とキレます。
トムは逆ギレの勢いで、「俺たちは恋人同士だろ!」 …と、ついにサマーにとって一番重たい一言を言い放ちます。
しかし、この時はまだ何とか仲直りしますが、いよいよ火種がチラチラしてきましたな。

266日目 
まだ映画館で楽しく過ごしてます。

282日目 
再びイケヤ。「夫婦ごっこ」をしようとするトムに、サマー、シカト。トム、マッサカサマー。

290日目 
映画「卒業」を見て、やはり真実の愛はないと落ち込むサマー。
そして、ついに愛想笑いやら気のない返事やらが始まります。ふむふむ、よくわかるよその状況。
そして唐突の別れ話。ごねるトムに、「私たち親友でしょ」の強烈なボディブローを放つハードパンチャー・サマー。
その夜、妹や友人になぐさめてもらうパンチドランカー・トム。

303日目 
サマー、会社を辞める。

314日目 
一人で映画を見るトム。

321日目 
仕事が手につかないトム。

322日目 
サマーに憎しみを覚えるトム。

345日目 
他の女の子とデートしてみるが、浮かないトム。

402日目 
同僚の結婚式へ。そこで、サマーと偶然出会う。
気まずいながらも、やはり話が盛り上がってしまう二人。
サマーはトムを自宅のパーティに誘う。(何やってんの?)

もしかしてヨリが戻るかも? と思わせておいて、そのパーティーで知らされる「サマー結婚 (^┰^)ゞ テヘヘ。」というサプライズ! 
(どなたかトムに介錯を! 介錯をー!)

440日目
トム、ふて寝。

441日目
トム、ふて寝。

441日目午後 
いったん起き上がるも…トム、ふて寝。

442日目 
トム、仕事を辞める。

450日目 
かわいいイラストを描いてみるも、「ナイフを持っている少女」という怖い絵に。

456日目~476日目 
トム、ようやく再起動。建築の勉強をしたり、就職活動したり。

488日目 
公園のベンチで、トムとサマーは再会する。
サマーは結婚に至った経緯をトムに話す。あろうことか、「運命を感じたのよ」とさらりと言ってのけるサマー。
納得いかない様子のトムですが…もう、いいやーという感じに。

そして、本当のお別れ。

500日目 
トムの就職面接試験日。同じく面接を受けにきていた一人の女性と会話。
…何となく気が合いそうな雰囲気。
トムは思い切って、女性をお茶に誘う。

新たな1日目が始まるのでした。

さて…どうですか、このサマーの奔放ぶり。
トムと別れてから100日くらいにして他の男と結婚を決めているとは!
大抵の男子は、トムのように顔で笑って心で憎んでいることでしょう。
しかし、サマーに罪はない…と思います。単にその場その場の気持ちに従って生きているだけなのです。
あれだけ「運命はない」と言っておいて、次の瞬間には「あるかも~」という生き物なわけです。「こないだ言ってたことと全然違うやんかー」などと男は突っ込みますが、サマーのようなタイプの女性に「理屈」で問い詰めても、全くもって不毛なのは世の常でしょう?
だったら男は、ただ笑ってあげるしかないのでしょう。心では、憎んで。

つまりサマーは「点」の生き方なんです。会っている時、その場その場では気持ちが盛りあがるんだけれど、その場から離れると途端に冷めてしまうというか、興味を持ち続けられないというか。
「点」がすぐに「線」になるトムとは温度差は明らかで、要は最初から明白なまでに「性格の不一致」だったのです。運命の人だなんて、とんでもない勘違い。

一つ驚いたのは、途中で挟まれる映画「卒業」のラストシーン。
「結婚式当日に、男(ダスティン・ホフマン)が花嫁を奪う」有名なシーンです。これ実はハッピーエンドではなかったというのです。式場から逃げた男と花嫁が乗り込んだバスの車内で、二人は初めこそニコニコしているのですが、だんだんと笑顔が消えていきます。二人がもうすでに未来への不安を感じ始めているということ。ハッピーエンドではなかったのです。
サマーはそのラストシーンを改めて見て、「やはり永遠の愛はない」と泣くのでした。

感心なことに、本作のラストは爽やかに終わります。
決して誰かが死ぬとか、廃人になるとか、泥沼とか、そんな重たい結末ではありません。
「運命の人なんかいないんだ」とトムが気づき、とっとと次の女性を探し始めるというラストカットはとても好感が持てます。
本作は、そーそーそんなもんだよね、と誰もが経験する失恋話を、とにかく普通に描いて見せた傑作。

まー、原作者はこれを書いて、さぞかしスッキリしたことでしょう。


↓こちらは、女性目線からの感想で、とても面白いです。
ブログ:すきなものだけでいいです。『(500)日のサマー』




 

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Posted on 2012/09/30 Sun. 19:59 [edit]

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 |  # | 2014/05/01 21:06 | edit

メイプル 様 

コメントありがとうございます。

リンクぜひぜひお願いします。
いつも自分で自分の文章を読み返しながら、なんか読みにくくね…?と
不安におののいているので、褒めていただくと、すごく嬉しいです。
本当にありがとうございます。

見るジャンルは特に決めてません。
良い、という評判があれば、何でも見ます。
一貫性はないですが。

今後ともよろしくお願いします!

URL | タイチ #- | 2014/05/01 22:48 | edit

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