素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

リトルミスサンシャイン /笑って泣けるの真骨頂。 


 リトル・ミス・サンシャイン [DVD]
 リトル・ミス・サンシャイン
 (2006年 アメリカ映画)
 90/100点



公開年度№1のインディーズ映画と称された、壊れかけ家族の再生の物語です。
と言っても、陰鬱とした映画ではありません。説教臭くもなく、ひたすらコメディチックに、皮肉でピリッと味付けされた、まさに傑作!

しかしまあ、アメリカの家族映画って、大抵まともでない人たちばかり出てきます。
本作でもまさに、変人奇人のオンパレード。それでいて、みんな自分だけはまともだと思っているんだから、しょーがねーなー。

本作は、オリーブという少女が奇跡的な巡り合わせで、ミスコンの出場権を得るところから始まります。
会場までの距離は1,287キロ。気持ちバラバラの家族全員で、黄色のバンに乗って目的地を目指すロードムービーです。

 映画


さて、登場人物のご紹介。 

・料理は毎日簡単なフライドチキン。デザートだと言いながら棒アイスをふるまう、ちょっと主婦業に疲れ気味の母親。

・勝ち組になることに異様にこだわり、子どもたちに説教するが、肝心の自分は勝ち組から遠ざかっている自己啓発が大好きな父親。

・おじいちゃん(父親方)は、ヘロイン中毒で口の減らないエロじじい。15歳の孫に向かって「たくさんの女とやっとけ!」とのたまう変人。

・親戚のおじちゃん(母親の兄)は、フラれたショックで自殺願望を抱えたゲイ。大作家マルセル・ブルーストの一番の研究家。(自称)

・兄貴は空軍パイロットを目指し、日々体を鍛えているという、引きこもり。ニーチェの影響(人の最も偉大な経験とは、沈黙である)で、口をきかないことを誓う、俗に言う「イケてないグループの中学生」

・そしてオリーブ自身は、ミスコンにあこがれる小デブちゃんな女の子。メガネ属性ですが。

 

まあ、とにかくよく喋る家族です。
みな、自分勝手に持論を展開しています。特に父親は、「成功への9段階メソッド」なるものを開発し、出版にこぎつけたい思惑にかられ、常にテンションMAXで鬱陶しさはピカイチです。

おじいちゃんも、孫娘にヘッドホンで音楽を聞かせながら、エロ話に夢中です。 

兄貴の性格的なゆがみはよく分かります。彼は、家族のことで悩むのに疲れています。心の内では、みんな仲良しであってほしいと願っているのです。だからこそ、両親の夫婦喧嘩に心を傷つけてしまっているのでした。

だからこそ彼は、そんなことに参っている弱い自分を許せず、体を鍛えたり、ニーチェに傾倒してみたり、パイロットになりたいだのと無理っぽい夢を持ちます。…いわゆる青春のあがきですね。

ゲイのおじさんは…すみません、よくわかりません。
エロジジイにエロ本を買いに行かされた際に、大好きだった男に声をかけられ、女性のヌード雑誌の表紙を見られてしまい、死にたい気持ちをさらに加速させます。

さて。

そんな一同のバラバラな心を一つにするには、共通の目的を持つことが効果的です。

「ミスコンの会場に行く」という目標に加えてもう一つ、乗っている黄色のバンの故障から共同作業が生まれます。クラッチの故障で初速が出ないので、ある程度のスピードが出るまで人手でバンを押すことになるのです。

DVDのパッケージにもなっている、「家族全員で車を押す」名場面。
何度も何度も出てくる印象的なシーンです。
このシーンがあるだけでも、この映画の大半は成功だと思います。

この作業を一瞬にして一致団結して出来るのだから、この家族は本当はバラバラではなく、それぞれが生活に余裕がないために、バラバラな方向を向いていただけなのです。

車を押すために同じ方を向いたら、ほら、もう家族の絆が首をもたげているもの。
 
 映画2


いくつかの波乱に次ぐ波乱の後に、ようやくミスコン会場に到着します。
もうひと波乱が巻き起こりますが、それはまた、最大級に一致団結する好機なのです。

それにしても。

オリーブがミスコンのためにじじいと猛特訓したというダンス。じじい! 孫に何を教えてんだ! 
抱腹絶倒・まさに必見のそのダンスで、家族の絆が最高潮に結実した時、笑いながらにして泣けました。

 映画3


本作は、第79回アカデミー賞にノミネートされましたが、惜しくも賞を逃しました。
しかし、はっきり言って、賞を獲得したリメイク版の『ディパーテッド』よりも、こっちの方が断然ベストワンだと思いますけどね!

オリーブがミスコンの司会者に、「ダンスを教えてくれたおじいちゃんはどこに?」と聞かれた時の答えが最高です。

本当に、素晴らしい映画ですよ。


 

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Posted on 2012/08/29 Wed. 23:24 [edit]

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コメント

 

大好きな映画です。
あのダンスを教えたおじいちゃんは、自分の
やり方で、幼い子にべったべたの化粧をさせる
きもちわるいミスコン主催者たちへの
軽蔑を表しているのかと思いました。

でもそうだとすると、オリーブちゃんはミスコンに
憧れていたのでカワイソウですね。まぁ
本気ならお化粧もしなさいと言いたいですが。

鬱陶しいお父さん役グレッグ・キニアがホントに
鬱陶しくて素晴らしいです。
「恋愛小説家」の演技もとても好きなので
未見でしたらご覧になってください。

URL | もん坊 #- | 2017/07/07 13:49 | edit

もん坊 様 

みんな個性的で、いろいろ問題抱えてて、
ちょっとハラハラさせる家族ですけど、
徐々にまとまっていく感じ…、とても感動的でした。

おじいちゃんが道中、あっさり亡くなるという衝撃と、
残したものが、あのダンス…というのが、不謹慎だけどおかしくって。

オリーブちゃんみたいな子が、本来、本当の子どもの可愛さなんですよね。
兄貴に寄り添う姿の愛らしさといったら。

ちょっとバラバラだったけど、本当に素晴らしい家族です。

「恋愛小説家」は観たけど、気づきませんでした。

URL | タイチ #- | 2017/07/10 22:57 | edit

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