素人目線の映画感想ブログ

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ルパン三世 ルパンVS複製人間 ここ最近のは、足元にも及ばないから。 


 無題
 ルパン三世 ルパンVS複製人間 
 (1978年 日本映画)85/100点


誰もが知っている「ルパン三世」の劇場版第1作目です。古い映画だなあ。公開当時2歳ですよ。
歴史のあるアニメなんですなあ、と改めて。
『ルパン三世』シリーズは、最近では声優さんも変わり、年に1度のテレビスペシャルばかりです。
断言しますが、おおよそ十数年前から、特に見るべきルパン作品は作られておりません。
お宝と悪の組織とゲストヒロインが毎回変わるだけの、いつものようなストーリーをいつものような感じで作ればいいんでしょ、という作品になっております。

さて、「大切なあなたの時間を盗んでいく」最近のルパンとは違って、懐古主義というわけではなく、本作「ルパンVS複製人間(タイトルはカッコ悪いけど)」は、実は『カリオストロの城』以上に、マイフェイバリットな劇場用ルパン作品です。

優れた映画は、そのプロットだけでワクワクさせるもの。
ルパンが絞首刑にされる。ルパンの死を納得できぬ銭形は遺体を調査するが、実はルパンは生きていた。では殺されたルパンとはいったい…。」  
どうですか、この特別感! しかもオープニングがルパンの処刑シーンから始まるなんて!
死刑台へ上がる13階段の表現が、これまたスタイリッシュでいて!

現在、年1回のスペシャルを作ってるスタッフの方々だって、多分分かってるはずなんだよなあ。
今のままで本当にいいんだろうかって。良いもの作りたいよって…。
どうせ上層部が「いつものでいいよ、いつもので」って抑えてるんだろうなあ。
テレビ版第2シリーズでも、「毎回主要キャラを5人全員出さねばならぬ」みたいな裏ルールがあったと聞きます。予定調和をありがたがる視聴者の問題でもあるんだけど…もったいないなあ、こんな財産を…いや、財産だからこそ、ヘタに冒険できないのかなあ…。
と、最近のルパン作品についてグチグチ言いたくなるほど、本作は傑作なのです!

さすがに、本作の絵柄には古さを感じますが、それを凌駕する構図のパワーや深みのあるストーリー、アメリカへの風刺、気の利いたセリフ、さらにはルパン役の山田康雄やマモー役の西村晃(我々の世代の水戸黄門の人)の抜群のセリフ回しなど、魅力が満載です。
ただ、原点回帰を狙って、かなりハードボイルドですので、私が幼き日に初めて見た時には違和感はありました。
「こんなの…何か違う…。何? このしわっしわの敵。気持ちわる…。五右衛門が妙に黒いし。不二子がいやらしいし。ルパンが変に頑固だし。みんな仲悪いし…やっぱ五右衛門が黒いし。話が難しくてわからんし。絵が古くさいし。…なにより五右衛門が黒いし」
などと戸惑ったものです。
私自身、マニアにとって悪名高い「TV版第2シリーズ」のふぬけた作りに毒されておったわけですな。

  無題1
  (不二子の密告でアジトが破壊される。ハードボイルドな展開…)

 
また、本作はどことなくアダルトテイストです。『カリオストロの城』の優しい空気感とはまるで違います。
ルパンはまさに、「男そのもの」 下劣な笑みを浮かべ、平然と女(不二子)を襲ったりしますから。
とはいえ、結構何度も金曜ロードショーで放映されてますから、意外にも一般的に評価されているルパン映画なんですよね。
やっぱり良い作品は、しっかりと認められるのだと安心します。

とにかくかっこいい名場面が多い本作。
個人的にベスト3を選ぶとするならば。
 
第3位・次元とアメリカ合衆国大統領特別補佐官とのやりとり。
次元のセリフや、その言い回しがかっこいい。
大平透(渋い!)が演じる補佐官スタッキーの怪しさも、うまいこと出ています。次元いわく、「世の中で一番偉いヤツを操ってるオッサン」です。
本作では、世界の支配者として君臨する、またそうであるように目論むアメリカの怖さを風刺として描いています。一説には、ルパンやマモーでさえ叶わない凶悪な敵という描き方がされているといいます。
アメリカのリアルと、次元・五右衛門という非リアルなキャラクターを対峙させる面白さ。
次元いわく、「非現実的なのは、おれたちの方かもな」…その通りです。
 
この場面、次元の印象的な台詞が続きます。
そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞお。なげえこと、モンローとハンフリーボガードのファンだったが…今日限りだい!
それから。
五右衛門「次元…水だ」
次元「カリブ・・・? カリブ海か」

これだけのセリフでも、なんでこんなにカッコよく印象的なんだろう。

第2位・ルパンたちが、マモーによってマモーの歴史を見せられる場面。
鳥肌が立つほどに荘厳な演出です。BGMの良さもあって、感動的でさえあります。
西村晃の名演技に聞き惚れること間違いなしです。

マモー「宇宙の神秘なる力に目覚め、不死を得た私。自らを生み、自らを育んだ私。永遠とも呼べる時の流れの中で、私は星の数ほどの賢者たちと会い、地上最高の叡智を得るにいたった。そして次第に、人間の世界に干渉する楽しみを覚えた。そう…私は気の向くままに、新たなる知恵と、発明を、欲望を、憎しみを、飢餓を…戦争を、与えてやった。歴史はたえなる私の干渉によって作られた。わかったか。クローンは、神に至る道だったのだ」

第1位・単独でマモーとの戦いに挑むルパンを次元が引き止める場面
もう、わかっていらっしゃる方はわかっている、ルパン史上最高レベルの名場面。  
懐かしのアニメ特集の番組なんかでは、ルパンの名場面といえば必ず「カリオストロの城」の銭形のセリフ、「やつはとんでもなものを盗んでいきました」ばっかりで辟易します。断然こちらの方が上です。ええ、ええ、断言しますとも。

あまりにも得体のしれない敵のために、次元は闘うことを拒否。
単独で最終決戦に出かけようとするルパンを、次元は引き止めます。
次元に威嚇射撃され、はっとなるルパンと、その後に次元に向けるほがらかなルパンの顔。そのメリハリがすごくいいです。

次元「行くなあ! ルパン!」
ルパン「…おれは、夢を盗まれちまったからな。取り返しにいかにゃ」
次元「夢ってのは、女のことか」
ルパン「実際クラシックだよ、お前ってやつは」


様々に解釈できる会話ですが、何とも印象深く、ぐっときます。
こんな会話が今のルパンにあるかい? ないよなあ!

 
本作で面白いのは、ルパンを「超合理的かつ超現実的な性格」として描いているところです。
神と思えるほどのマモーの術の数々に対し、ルパンは、仲間もあきれるほど頑固に、トリックだと主張します。
マモーはマモーで、ルパンの「夢を見ない」体質に不気味さを感じているようです。
ルパンの知られざる一面…、それも深い部分を描くというのは相当な冒険です。これもまた、今のルパンにはない描写です。

   無題1
  (しかし、黒いんです)

先ほども述べたように、本作は多少絵柄は古いですが、演出と技術と、なにより声優の素晴らしい芝居がそれを感じさせません。
EDテーマである三波春夫の「ルパン音頭」も私は好きですよ。大団円って感じで、見事なオチだと思います。
何度も言いますけど、今のルパンの100倍は力を入れて作ってますからね!
ええ、ええ、もう何度でも断言しますとも!


 

 
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Posted on 2012/10/21 Sun. 05:16 [edit]

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コメント

激しく同意 

まさに私の心の声そのものです。(笑)

ありがとうございます。

URL | おさる #- | 2016/10/14 21:37 | edit

おさる 様 

なんか来週テレビ放映だそうですね。
この時代のアニメがゴールデンで放送されるのって、本作ぐらいでしょうねえ。
一般的にも、本作がきちんと評価されているのが嬉しい所です。

URL | タイチ #- | 2016/10/14 23:40 | edit

複製人間マモー 

初めましてU・Mと申します
先程久し振りに複製人間見ました!(先週のカリスロも)
カリスロは割と何回か見てるのですが、複製人間は・・・
何年ぶり?と言うくらいです。
所が久し振りに見てビックリ!
「複製人間てこんなに面白かったんだ・・・」
が正直な感想でした。
宮崎テイストのヒロインが全く出ない、アダルトな雰囲気
永遠の若さを求めると言う崇高なストーリー。何よりマモー
と言うキャラも単なる悪役では無く、不思議な魅力とどこか
悲しげな感じがするキャラでしたね。
思えば最初に複製人間を見たのはまだ子供の頃で、話が
一寸難しく感じたのかも知れませんね。

URL | U・M #- | 2016/10/21 23:32 | edit

U・M 様 

コメントを頂戴し、ありがとうございます!

私も、本作を見たのはまだ学生の頃でして、あまりの大人テイストに食傷気味でした。
大人になって、改めて見て、私もビックリした派です。

今のアニメの絵は綺麗なんですけど、
この頃の絵の持ち味、構図のパワー、演出のかっこよさは群を抜いてます。
もちろん、ストーリーも仰る通り「崇高」ですよね。
なにより、印象的なセリフがごろごろ。
ラストの「ルパン音頭」も大団円で、「映画を見たぞ」という気にさせます。

それに。

宮崎駿でもないアニメで、しかも1970年代のアニメをゴールデンタイムで放映するなんて、本作くらいですね。

URL | タイチ #- | 2016/10/22 09:34 | edit

日本神話を見落としてはいないか? 

「日立金属、冶金研究所ついに境界潤滑の原理を解明」
 機械設計屋ならわかるとおもうが、軸受などの設計に際し、従来の面圧を踏襲して40年もの年月が流れている、トライボロジー分野に画期的な理論「炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)」という画期的な理論を日立金属が発表した。鉄鋼材料と潤滑油の相互作用で出来た表面に付着しているナノレベルの炭素結晶の構造が滑り具合を決定しているとのこと。
 この理論に基づいて開発されている自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICの売り上げがさらに加速することが予想される。

URL | 特殊鋼流通 #- | 2016/10/22 21:33 | edit

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