素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

アーティスト /ラストに、拍手喝さいの仕掛けがあった! 


無題1
 アーティスト
 (2011年 フランス映画)
 90/100点



第84回アカデミー賞で、『ヒューゴの不思議な発明』を凌ぎ、本作が作品賞を獲得した時、「どーせ、年寄りアカデミー会員の懐古主義だろー。時代に逆行した白黒の無声映画なんて、いまどきナンセンスだよなあ」と思ってましたよ。

ゆえに劇場で鑑賞するわけもなく、DVDがレンタルされてから、ちょっと遅ればせながら、まあ一応観とくかという気持ちで蓋を開けてみたところ…

ごめんなさい。めっちゃくちゃ面白かった。

ラストは感激しました。素晴らしいです。大傑作だ、これ!
しかも、上映時間が77分と短く、時間に悩むブロガーにもやさしいなんて!

すごい映画です、ほんとに。劇場で見とくんだった。
ラストのたっぷりとしたタップシーンに、もーほんとにおなかタップタプだー!(あまりの面白さに錯乱中)
 
序盤はとにかく出演陣がキラキラしていて、終始笑顔に満ちています。
主人公のジョージとヒロインのペピー、その他新聞記者や映画のスタッフや観客、町の人々が、とにかく元気で楽しそうに描かれています。

目は口ほどにものを言うと言いますけれど、まさに、声が聞こえてこないだけに、キャラクターたちの豊かな表情に魅せられるのでした。
特にジョージとペピーの笑顔の爆発力といったら、どんなネガティブシンキングをも吹き飛ばす威力です!

 無題3
 (ジョージ役のジャン・デュジャルダンは、フランスの俳優兼コメディアンです)

 無題2
 (ペピー役のベレニス・ベジョもまた、フランスの俳優兼コメディエンヌ)
 (実は、本作の監督ミシェル・アザナヴィシウスの奥さんでもあります)
 

ここで面白いのは、本作が単なる無声映画ではないということ。

ジョージは無声映画のスターです。しかし、世の中には段々と「トーキー」という音の出る映画が誕生し始めていました。

「そんなもの、はやらないさ」と全く相手にしないジョージでしたが、ある楽屋での場面にて、彼や我々観客の耳に、椅子をひく音や小道具の倒れた音、犬がキャンキャンと鳴く声が突如聞こえてくるのです。
しかし、ジョージの声だけはやはり聞こえない…。
これに焦るジョージでしたが、気づいたら夢だったという場面。

つまり、「無声映画に仕立てておいて、突然音を出す」のです。
最近の白黒映画で、一部分だけ色を塗っている場面とかありますよね。あれの「音」バージョン。

そうなってくると、たぶん大体の人はラストシーンがどんなものになるか想像できるのではないでしょうか。
この瞬間、「やられたー」と思いました。これ、絶対ラストが面白いぞと。

ジョージの予想に反して、世間では「トーキー」が一世を風靡します。
ジョージは次第に落ちぶれていき、反対に女優のたまごだったペピーがスター街道を進みます。
実は互いに恋に落ちていた二人ですが、ジョージはプライドもあってペピーから離れていきます。自暴自棄になり、ついに行き着く先は…。

ま、ストーリーは王道中の王道。予想通りに進んでいきますが、それでも面白いのは出演陣の演技力と、期待せずにはいられないラストシーンへの羨望のたまものでしょう。

「無声映画」懐古主義に陥らず、「やっぱり音があったほうがいいよね」という、我々観客の心理をちゃんと分かった上での展開が素晴らしい。

ラストシーンはほんとに鳥肌ものです。
途中から、やさぐれてムッツリ顔の続いていたジョージとペピーが、再び輝くのです。これは、一緒に踊りだしたくなるぐらいの楽しさ!

主人公ジョージのそばにいる「犬」も、ちゃんと芝居をしているから驚きです。
アギーという名のこのお犬様は、しっかり犬版アカデミー賞・金の首輪賞を受賞!
主人を助けるために走るアギー。
主人の自殺を止めようと必死に吠えるアギー。
主人とペギーの気まずい空気を吹き飛ばすために、「天丼」というお笑い芸で一肌脱いだアギー。
ソフトバンクのお父さんを凌駕する名演だ!(そこが基準か!?)

77分という短い上映時間の中に、人生の悲喜こもごもを詰め込んだ宝箱のような映画でした。
人を感動させるのにCGも3Dもいらない、などと月並みなことは言いたくありませんが、本来の映画の魅力を改めて実感。いやあ、恐れ入りました。

 無題5
 (この後、感涙もののラストシーンへ!)


追伸:ベタな演出だけど、「BAN!(バン!)」にびびった。完全に術中だ!


  

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Posted on 2012/10/21 Sun. 21:41 [edit]

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