素人目線の映画感想ブログ

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アルゴ それは、最悪の中の最高の作戦。 


 無題
 アルゴ
 (2012年 アメリカ映画)90/100点


見てきました、見てきましたよ、期待のベン・アフレック3作目「アルゴ」を。
もう緊張感が半端なかったのです。
実際にあった出来事の映画化ですから、結末の全てを知った上での観賞でした。それでもワクワク、ドキドキ、ヒヤヒヤ、アセアセ、ダクダクが止まらないのは、よほどの演出力のたまものです。ベン・アフレック、見事に天は二物を与えたもうたか。

もし、結末を全く知らずに鑑賞したら、多分心臓が口から飛び出ることでしょう。
果たして作戦は成功するのかどうか。いつ誰が死ぬのか死なないのか。
もし、まだ結末を知らずにこのレビューを読んでいる方がいらっしゃったなら、どうか結末を知らないままにご鑑賞ください。
とてつもない緊張感を味わえることでしょう。
 
というわけで、まだ結末を知らないという非常にラッキーな方のために、今回はあえて結末のネタバレはなしで書いていこうと思っております。

あらすじは、「1979年、イラン革命のさなか、極悪な元国王を保護するアメリカを憎むイラン国民達は、テヘランのアメリカ領事館を襲撃。難を逃れた6人の大使館員達は、一時カナダ大使の私邸へ逃げ込むが、見つかるのは時間の問題。見つかれば処刑必至。CIAの人質救出のプロであるトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、大使館員たちを映画の撮影スタッフに紛争させ、国外へ逃がすという前代未聞の作戦を企てるが…」というもの。


実話です。ここが重要です。こんな作戦、フィクションだったら恥ずかしくて思い付くものではありません。
事実だからこそ重みがあり、おかしみがあり、画面に釘付けになるのです。

こんなやんちゃな作戦、本来なら「そんなジョーク飛ばしてる場合か!」と怒られそうなものです。
当初CIAは、人質救出のプロであるトニーに様々な救出作戦のアイディアを聞かせます。しかし、トニーはその全てを完全に否定してしまうのです。

「外国教師のふりをしたら?」  → 「外国教師なんぞ、そもそもいないっす」
「土壌調査員のふりをしたら?」 → 「雪が積もった冬場にありえねー」
「自転車で国境まで逃げたら?」 → 「どんだけ時間かかるんすか」


そんな感じでトニーに一蹴されます。
「だったらさー。そんなに言うならなー。お前だって何かアイディ出してみろよなー。評論家になってんじゃねーぞ!」とばかりの空気の中、しらっとした顔でイザ出したトニーの答えが下記の通り。

「映画のスタッフって線で」

って、こりゃ「ばかやろー!」ってなりますよ、普通だったら。

当のトニーもこれが完璧な作戦とは思っていません。
本来、成功させることなど不可能なほど深刻な状況の中、完璧な作戦など存在せず、その中で一番「マシ」な作戦に過ぎないと吐露しています。

さて、映画はここからガラッと空気も場面も変わって「ハリウッド」へ。
アカデミー賞にも輝いたことのある特殊メイクのジョン・チェンバース(「サルの惑星」等を担当)や、大物プロデューサーのレスター・シーゲルの協力のもと、アメリカ国民をもだます壮大な嘘っぱち大作戦が繰り広げられるのです。
ボツになっていた、中東を舞台にしたSF映画「アルゴ」の脚本を使い、絵コンテを作成。実際にキャスティングをし、制作発表や脚本の読み合わせまでも行って、凝りに凝った壮大な嘘でうまくマスコミに映画製作を報道させます。
この徹底ぶりが、終盤の大脱出に活きてくるからワクワクします。
まさに「敵をだますなら、まず味方から」というわけです。

大物プロデューサー・レスターがユニークです。
もう高齢ですけど、口汚くて「アルゴ ファック ユワセルフ」と侮蔑語を連発するあたり、強烈なおじいちゃんです。
このセリフが、これまた映画の終盤あたりですごくかっこ良く響くので、見事な伏線になっているのでした。

  無題
  (いざ、ハリウッドで大勝負!)


さて、作戦立案のトニーはイランに飛び立ちます。
言いだしっぺ自ら、実行にも参加するわけです。
「自転車作戦にしとけば、オレは巻き込まれていないのに…」とか言わないところがすごいです。
「もう、帰っちゃおうかな…」とならないところも尊敬に値します。
当たり前って? でも実話だからこそ、信じられない勇気に脱帽なわけです。

カナダ大使の私邸で初めて人質6人と対面し、作戦を話した時、みんなは唖然とします。もっとマシな作戦はないの? と。
これほどまでに話す人みんなに「微妙な反応」をされたら、(…あれぇ? もしかしてオレがズレてる?)って、普通は不安になっても良さそうなもんですけど。
やはりトニーはすまし顔で言うのでした。

「これで完璧です。大丈夫」と。

映画は再び緊張状態に戻ります。
さすがのトニーでも、この作戦はあくまで「他よりマシ」なだけであり完璧ではない、と内心は分かっているので緊張の面持ちです。
バレたら殺されるわけですから。

さまざまな窮地やギリギリの場面があって、さすがに脚色も入っているでしょうけど、手に汗握る場面の連続です。
前述したとおり、今回は細かいシーンの感想については省きます。とにかく情報を何も知らずに見てほしいです。
そうすれば、今まで感じたことのないほどの緊張感が味わえると思いますので。
なので、本日の感想はさらりと終わろうと思います。

  無題1
  (顔バレすれば、即捕獲。ギリギリの逃亡生活です)

 
しかし、これは偏見かも分かりませんが、冒頭の大使館襲撃のシーンでも、民兵の大使館員狩りのシーンでも、トニーたちが嘘のロケハンに行った際のイラン市民との小競り合いのシーンでも、中東の人々には一触即発の怖さを感じます。冷静な話し合いの余地がなく、あっさりと人を撃ちそうな不穏な空気を常に漂わせているように思うのです。

…それだけ、積み上げられてきた「怒り」は大きいということなのでしょうか。

それでは一体、誰が彼らをここまで怒らせたのかというと…

小競り合いを引き起こした者は言います。
「私の息子は、アメリカ製の銃で撃ち殺されたんだ」と。
米国は、イラン国民を虐げた元国王を支援していました。
この緊張感のある映画を作り上げたのはアメリカですが、この映画で描かれているイランとの緊張状態もまた、アメリカ自身が作り出したものなのです。 
そう考えると、まるでマッチポンプみたいなお話ではありますね…。


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↓こちらもネタバレありませんよ。みなさん偉いなあ。
アルゴ・・・・・評価額1700円/ノラネコの呑んで観るシネマ




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Posted on 2012/10/29 Mon. 10:02 [edit]

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