素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

のぼうの城 この作戦って、ある意味ナルシシズム。 


 無題
 のぼうの城
 (2012年 日本映画)70/100点


私、実は歴史に疎く、歴史もののドラマ(大河とか)を敬遠しがちです。
なので、ただでさえ素人目線の私が、歴史大作である本作の感想を書くということで、ところどころ不適切な、あるいは勘違いした箇所もあるかと思いますが、その点は、なにとぞ平に、平にご容赦をたまわりたく存じる次第でござる!(…ほら)

まずはあらすじから…
天下統一を目指す豊臣秀吉は、北条氏の小田原城を攻め落とそうとしていた。秀吉に抵抗するため、北条氏は関東各地の城主に篭城するよう通達。その一つである忍城(おしじょう)の城主・氏長は、通達に従うように見せ掛け、裏では豊臣への降伏を内通していた。秀吉の命により忍城を攻めるのは石田三成。忍城はすぐに落城するはずだったが、三成側の傲慢な振る舞いに忍城の総大将・長親(ながちか)(野村萬斎)は我慢ならず、戦うことを決意する。しかし、三成軍勢2万に対し、忍城は兵隊に百姓を加えてもわずか2千。圧倒的不利の中、さらに水攻めにも襲われた長親のとった最後の秘策とは…?」というお話。


注:下記では、主人公・長親をナガチカ。忍城をオシ城と標記します。

まず、この映画を見て真っ先に感じたことは、それを言っちゃあおしまいだって部分なんで言いにくいんですけど…時代が違うのだから今の倫理観の尺度でものを言ってはいけないと十重承知しているんですけど…それでも気になったので言ってしまうのですが…
 
「主人公・ナガチカがあっさり降伏していたら、どれだけの命が救われたことか」ということ。

いや、ま、そうだ。戦国ものの時代劇で、「戦争はいけないよ」「人が死んでるよ」なんて、まったく野暮で馬鹿げた意見なのはよくわかる。わかるが、ナガチカをスーパー気さくでいい人みたいに描いているので、ひねくれ者としては思わず考え込んでしまったのです。
 
いや、わかる。ナガチカの気持ちは確かにわかる。
ナガチカは、百姓といえども身分の分け隔てをしないことを信条とした男ですから、三成側の「力の強いものが偉い」という傲慢ちきな態度に、えらく腹がたったのはよくわかる。

わかるが、そのために失われた命のなんと多いことか。  

とにかくその違和感が拭い難かったのですが、「そんなこと言ってちゃ映画が成り立たない」と自分に言い聞かせ、自分を納得させて鑑賞に集中しました。
できれば、ナガチカが抵抗するかしないかで変わる、メリットとデメリットを、もっと分かりやすく描写してもらえていたら良かった。(あったのかもしれませんが…)
無論、戦ったからこそ「(反転で)最後に有利な条件で降伏できた」ことは、よく分かります。

ただ、本作はそんなモヤモヤっとした描写が実に多いのです。

まずびっくりしたのは、家臣達の驚くべき「強さ」。
宣伝では、とかくナガチカの奇策で勝利をおさめるという印象でしたので、まさかその家臣たちがロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン並みに「強い」とは思いもしませんでした。というか絶対意識してるでしょ、ロード・オブ・ザ・リング。
ということで、突然ファンタジックで現実味のない戦いが始まります。
柴崎(グッサン)なんて、一人で何人相手にしているのか…。はっきり言って2万人対4人くらいって感じで、イチ個人が大活躍。
もうちょっと「強さ」の伏線がほしかったかなあ…。いきなりすっげーつええんで、オラびっくりしたぞー。
 
次にびっくりしたのは、オシ城の姫様の大根芝居。
誰、とは言いませんけど残念でした。
腹から声が出てないんだよなあ。それで気丈な姫様だって言われても白々しくっていけない。「もののけ姫」のサンの声くらいのガッカリ感でした。
所詮テレビ局主導の映画なのかなあと思われてしまうので、もうちょっと考えたキャスティングができるといいですね。
この姫様も「強い」キャラ設定なんですけど、それが全く活かされていないのがもったいなかったです。
家臣の坂巻(成宮寛貴)の姫への片想いという描写も、まったくもって中途半端で物語に何の意味もありませんでした。

そして、続いて驚いたのは石田三成の大将としての能力の低さと人の良さ。
これがあったからこその逆転劇ともいえるので、ナガチカの奇策の功績を削いでしまっていると感じました。
史実なので仕方ないのかもしれませんが、三成は秀吉に後からどれだけの叱責と失望を買ったことか。
ところで、戦場に秀吉が来るとアナウンスされてましたけど、結局最後まで姿を現しませんでしたね。そこも宙ぶらりんな描写で中途半端でした。

そのほか。
・水責めのための二十数キロにもおよぶ堤防作りが、いとも簡単な描写だったのは「?」
・大量の川の水が迫っている割に、遠慮して城内に逃げ込もうとしない百姓たちのゆったりした描写にイライラしました。もう水はそこまで来ているんだぜ…。
・最期の姫様の処遇も、史実通りでしょうけど、もうちょっと説明が必要なのでは?
 
それと、これはひねくれた感想ですけど、ナガチカの奇策ってある意味「オレって人気あんだよねー」とナガチカ本人も思ってるってことですよね。考えようによっては、やらしい部分でもあるのかなあ。ま、実際その通りなんだから、何が問題なんだってことだけれど。

とにもかくにも物語自体は面白いけど、演出やら設定やらに不足感があって仕方なかったのです。

もちろん見どころがないわけではなく、やはりナガチカを演じる野村萬斎のうまさは抜群で、そこが最大の魅力です。
セリフ回しや所作の美しさ、おどけ方の嫌味のなさと、まさにナガチカを見事に演じ切っています。
「いやじゃいやじゃ、降伏はいやじゃ」とまさにガキのように駄々をこね、「どうせ降伏だろ」とたかをくくっている傲慢な軍使・長束正家に「戦いまする」と宣言するところは気持ちいいし、戦いに断固反対の百姓たちが、ナガチカが決めたことと知るやクルリと態度を変えて、「しょーがねーなー」とにこやかになるところも清々しい。

意外なところでは、三成役の上地雄輔がなかなか迫力をもって演じていたところ。うまかった。上地とは途中まで気づかなかったくらいです。

水責めの描写は実に迫力があります。
アクション大作を得意とした樋口真嗣監督の本領発揮というところです。

ナガチカの、敵をも味方にしかねない奇策も、やはりワクワクさせてくれます。
 
が!
やはり、その裏でたくさんの戦死者が出ているわけで…
うーん、ごめんなさい。その点がどうしても爽やかな気持ちになりきれない問題点です。史実通りなのかもしれませんが…せめて三成側が一方的に攻めてくるという設定の方が良かった気がします。どうしても、ナガチカのせいで人がたくさん死んだと思ってしまうのです。(違う! と思う方はぜひ教えてほしいのです。)

何度も言いますが、物語は面白いだけに、惜しいなあという印象なのでした。
というわけで、本日の感想はこれまで。これにて、ごめんつかまつるで候!
 

↓こちらの方が詳しい感想ですよ。ぜひ。
映画「のぼうの城」感想/タナウツネット雑記ブログ

↓こちらは褒めておられます。いろんな意見をどうぞ。
のぼうの城 : これぞ、日本の娯楽映画/こんな映画観たよ!-あらすじと感想-


   

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Posted on 2012/11/07 Wed. 21:22 [edit]

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