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モンスターズ/地球外生命体 「低予算」はアピールポイントか。 


 無題2
 モンスターズ/地球外生命体
 (2010年 イギリス映画)75/100点


130万円の製作費で作られた、ということが話題になっているSFパニック映画です。一説には、実際のトータル製作費は5千万円くらいはかかっているとも言われているようですが。
それでも、同じ低予算のSFパニック映画「第9地区」に比べても、はるかに低予算ですね。
しかし、映画制作における低予算ってのは、「原価コストを抑えてチケット代が500円!」ってなるわけでもないので、実は製作者側の問題であって、観客にはあまり関係のないことです。
無論、低予算でここまで作れるなら、たくさんの製作費を預けたらもっとすげーもん作れんじゃね? と映画界に知らしめるプレゼンとして、新しい才能発掘の登竜門として、大きな意義があるとは思います。
げんに監督のギャレス・エドワーズは、本作でその辣腕に高い評価を得て、新ハリウッド版「ゴジラ」の監督に抜擢されていますので大きなリターンを得たわけです。

「ブレアヴィッチプロジェクト」や「パラノーマルアクティヴィティ」などに代表される低予算映画のウリは、「斬新なアイディア勝負!」です。本作にも、もちろんその点が期待されます。姿をあまり見せずにじわじわと迫りくるモンスターへの恐怖感、それに伴って少しずつ心を通わせ合う主人公とヒロインの心象変化、そして、物語に隠された裏の意図など、まさに「低予算」の限られた中で、精一杯面白く見せる工夫や努力が随所に見られました。
 
ひとつ言わなければならないのは、この映画はタイトルから推測されるようなアクション満載のモンスターパニックアドベンチャーではない、ということ。
タイトルが客寄せのために(特に邦題)、わざと誤解させるように付けられているのは少し残念だし、誤解から反感を招かないかちょっと心配です。
本作に、派手なシーンはほとんどありません。
これは、ひと組の男女の淡々としたロードムービーでもあり、人間ドラマです。
モンスターは、この中のエッセンスの一つに過ぎないと言ってもいいくらいです。


あらすじは、
太陽系のある惑星において、探査機が地球外生命体のサンプルを入手。地球に持ち帰る際、不慮の事故でサンプルがメキシコ上空で飛散。直後に、メキシコでは大型の怪物が繁殖を始める。メキシコの半分が隔離される中、取材に来ていたカメラマンのコールダーは、雇い主である新聞社の社長の命により、メキシコに滞在している社長令嬢のサマンサをアメリカまで無事に送るよう指示されるが…」というもの。
 
余談ですが、私、本作を見て邦画『大怪獣東京に現る』を思い出しました。
一切怪獣は姿を見せず、テレビからのみ情報が伝えられ、次第に自分の住んでいる地域に怪獣が近づいてくる恐怖感を描いた映画です。 
本作も、モンスターの姿はあまりはっきりと見えません。
モンスターに追われるとか、モンスターが何かを壊すとか、そんなことよりも、コールダーとサマンサがメキシコから脱出する際に人間同士が引き起こす障害や、モンスターの存在に対する社会のリアクションをリアルに描くことに主軸が置かれています。
まさに「低予算」だからこそ、絞り出せた発想かもしれません。
日常が壊れた時に、人間が、社会が、どう動くのかを見事にシミュレートして描きます。

アメリカに向かう船の乗船券の購入に、5千ドルもの金額を要求されたり、その乗船券紛失のために致し方なく陸路を選んでも、さらに足元を見られたり、モンスター以外の障壁に散々です。 
一切値引きに応じないチケット屋のおやじの様子は、はっきりいってモンスターより怖い。
さらには、コールダーが不用意に乗船券を失くしたあたりが、本作で一番怖かったです。
大事な大事な、命綱のような乗船券ですよ。
…よくコールダーは、サマンサに言えたもんです。

「ごめーん、昨日の晩さ、遊んだ女に盗まれちまったよー」

絶交ですわ。

普通なら、「だったらまずお前がモンスターのエサになれよ、絶対…」と恨み節を食らわせたくなることでしょう。
なのにサマンサときたら、責め立てることなく、コールダーとともに陸路のためのチケットの入手に向かいます。
広い。海のように心の広いサマンサ。
彼女は社長令嬢という境遇でありながら、ワガママで贅沢ということは一切なく、純粋で優しく、気丈な心を持ち合わせているのです。
おそらく父親が反面教師なのでしょう。コールダーに命令する父親の雰囲気は、非常に傲慢で自己中心的でしたから。 

  無題1
  (金がないなら陸路でどうぞ。めちゃくちゃ危ないけど)


モンスターではなく、米軍の闇雲な空襲で犠牲になったメキシコ人たちの怒りや、国境を高い塀で囲っているという、トランプな自己中心的で排他的なアメリカの描き方など、ピリッと辛めに効いた風刺が秀逸でした。

ただ、やはり「低予算」の弱点もあります。画面が明るいと派手な怪物出現シーンは作れないだろうな、と予測できるため、主人公たちがおどおどしながら昼間に移動していても、今は怪物は現れないだろう、と見透かしてしまえる点がちょっと残念。
またそれ以外に、モンスターが実際に人を襲うシーンを直接的に描いていないため、たくさんの死者が倒れているのを目の当たりにするシーンでも、人がモンスターに殺された感が薄く、実感がなかったように思います。
また。 
コールダーとサマンサのラストは、ハリウッド映画の悪いパターンのようにロマンスが強過ぎだと思います。中盤頃からやたらサマンサを口説こうとしていたコールダーを、サラリと拒否するサマンサが良かったんだけどなー。所詮、泥酔してしまって、遊んだ女に乗船券を盗まれるよーなヤツだぜ。サマンサ、どーしちまったんだ? チッ。 

それにしても、外国映画の描くエイリアンの姿って「第9地区」ではエビ、本作ではホタルイカ、と海洋生物ばかりですね。
海と宇宙ってのは、やはり環境的につながるんですかね。

  無題3
  (果たして壁の向こうにあるのは平和な世界か…?)

 
「低予算」がやたら目につく本作ですが、果たして「高額予算」を手に入れた監督は、新ハリウッド版「ゴジラ」をいかに料理してみせるのでしょうか。
派手さばかりが先行し、結局米軍が強かっただけの旧ハリウッド版「ゴジラ」を、きっと遥かに超えてくれると思います。


↓こちらでこの映画を知りました。結構掘り出し物を教えてくださいます。
『モンスターズ/地球外生命体』(2010) - Monsters -/momoな毎日


  

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Posted on 2012/11/10 Sat. 23:19 [edit]

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コメント

 

んー低予算にはかなり懐疑的な気持ちになりますね。
というのも、スタッフロールで記されている人間の数が軽く200人程度いるように見えるんですよね。

って事は、一人1万のギャラ(給与)で1か月拘束したって、200万オーバーだし。
まぁそもそもそんなわけないし。

ブレアウィッチですら、6万ドルで、この映画に関してはかなりVFXの使用、
グリーンバックを使った合成も含めてやっているようにしか見えないんですよね。

売り文句に超低予算はあまりに矛盾してるとしか思えないですね。

URL |  #- | 2016/05/07 03:32 | edit

コメントありがとうございます。 

確かに、計算上矛盾があるみたいですね。
そもそも。
超低予算ってのが、「売り」になるのが不思議ですよね。
逆に、超高額予算ってのも「売り」になろうはずもなく、
映画の中身は、予算って結局関係ないんだと思います。

URL | タイチ #- | 2016/05/07 18:41 | edit

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