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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

J・エドガー /強力な犯罪撲滅組織の作り方。 


 無題1
 J・エドガー
 (2011年 アメリカ映画)
 80/100点





<ややネタバレしています。>


クリント・イースドウッド監督作ですが、珍しくアカデミー賞候補とはならず、評価は分かれているそうです。

FBI創成の物語ということで、サスペンス色が濃い映画かと思いきや、FBI長官のジョン・エドガー・フーバーの人物像に焦点があてられています。

ちなみに、彼は公の場では「フーバー」と呼ばれ、親しい人には「エドガー」と呼ばれていたことから、この映画のタイトルは、「彼の私生活を描くよ」という意味を表しているのだとか。
 
ディカプリオの老けメイクも賛否みたいですね。
私には、さすがディカプリオだと思わせる見事な「若さ」と「老い」の演じ分けだったように見えました。

ただし、特殊メイクは眼球にまで施せないのか、なんとなく老けてるディカプリでも、瞳がキラキラしてるように見えました。そこが若干不自然だったか。

エドガーの長年の部下であり、公私共に親しかったトルソンの方は、終始プルプル震えているお芝居で、老人コントに見えそうな、ぎりぎりのラインでしたな。

 無題5

 無題4
 (若かりし頃のエドガーと、晩年のエドガーが交錯して描かれます)


さて。

本作は、「若い頃」のエドガーと「老いた頃」のエドガーを交錯させて、物語が展開します。

物語は、1960年代の老エドガーが自分の伝記を広報室の男に口述タイピングさせるところから始まります。
これに沿って、過去のヤング・エドガーのシーンが始まるわけです。
実は、この点が本作のミソ!

ヤング・エドガーの時代は1919年から始まります。
共産主義勢力の過激なテロ活動に、めらめらと「アメリカン魂」をたぎらせるヤング・エドガー。
アメリカを守るためには、強大な力が必要だと確信しています。

ここで、本作で描かれているエドガーの人物像をまとめてみます。 

・実は気が弱く、超絶マザコンであった。
エドガーの父親は全く尊敬できない無力な男で、母親は逆に強烈なカリスマ性を持った女性でした。
ゆえに、ヤング・エドガーは母親を心から敬愛し、全く頭が上がりません。

ヤング・エドガーは緊張すると吃音が出るなどの気の弱い面がありました。
母親から「強くなれ」と言われるや、「うん、強くなるよ、おかーちゃん」と、常人をしのぐマザコンっぷりを見せます。

母親の指示で、吃音を直すために鏡に向かい、「お前はすらすらとしゃべれるんだ」と自己暗示をかけるようなシーンがあります。大成功をおさめる影には、こんな涙ぐましい努力があったのです。

そのため、彼には「成せば成る」という思いが強く、弱気になった他人に対し、思いやるよりも先に「しっかりしろ」と厳しさが先立っていました。和民の社長と同じパターン。ブラック企業の長にありがちなタイプです。
 
・差別主義者であった。
母親も、黒人メイドに対して大変厳しい人物でした。
エドガーも差別主義者として知られており、黒人解放運動家のキング牧師を失墜させようと、晩年はあの手この手で妨害作戦を行っています。

・刑事捜査方法の革新家であった。
エドガーの優秀さは抜群です。
国会図書館の本を検索しやすくしたことを、秘書のヘレンに自慢げに話しながら、全国民の指紋を採り、犯罪者をすぐに洗いだせるシステムの夢を語ります。

まさに、刑事捜査のイノベーションの急先鋒です。

また。
誘拐犯の使用した木製はしごの切断面を分析し、どの工場で作られたものかを探り当てる場面は、推理映画の雰囲気でわくわくしました。

無題
(実際に起きた事件を次々に解決していきます)


・同性愛者であった。 
史実でも、部下であるクライド・トルソンとの関係が噂されていたようです。
本作では、はっきりとトルソンとの同性愛の関係を描いています。

しかし、大喧嘩の後に突然のキスで仲直り、なんてシーンは全く気持ちが分からないのでキョトンとしましたけど。
老エドガーになってからもトルソンとの関係が続いており、オデコにチューとかしていて、全く気持ちが分からないのでキョトンとしましたけども。

終盤にトルソンにあてた手紙を読み上げるシーンでも、「君の唇がうんぬんかんぬん」と…。
キョットンとしました け ど。

全体的に、この点が重視されて描かれていたように思います。
もう少し、FBIでの活躍や暗躍を観たかったかなーと思うのですが。

それにしても、トルソンといい秘書のヘレンといい、若かりし頃からずっとエドガーを支えてきた二人の存在は、エドガーにとって母親に次ぐ伴侶のような存在だったのでしょう。

みな、最後の最後までエドガーを支えた姿は、感動的でさえありました。

さて。

エドガーは、FBIという組織に並々ならぬ愛情があったのですが…
強すぎる権力は、次第にエドガーを暴走に駆り立てます。

「君は、何が真実か自分でも分からなくなっている」
トルソンからの痛烈な批判を受ける場面があります。口述タイピングで作ったエドガーの伝記を読んだトルソンが、エドガーの「自己中心性」を批判する場面です。

ここは、ちょっと「ユージュアルサスペクツ」っぽい描写があって驚きました。
実は! みたいな。

その後、ある作戦の失敗もあり、エドガーは失意のあまり執務室で涙を流します。
晩節を汚したエドガーですが、彼の功績が偉大であったことは、確かです。

イーストウッドらしい重厚で格調高い映像満載です。
オススメできる傑作だと思います。


↓こちらの感想もどうぞ。
J・エドガー/正義の、裏の顔/ 映画感想 * FRAGILE

↓こちらも詳しい感想です。
J・エドガー・・・・・評価額1700円/ノラネコの呑んで観るシネマ


 

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Posted on 2012/11/13 Tue. 23:54 [edit]

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コメント

 

こんにちは。
まだ観てないんです。なので、ちらっちらっと記事を読ませて頂きました。
 クリント・イーストウッド監督作 → 好き
 ディカプリオ → 好き
なのに、どうしてまだ観ていないのか。
結構、スキャンダラスな「フーパー」を扱っているという点も相まって
かなり、身構えてじっくり観なくちゃいけない作品だろうと思ってたからです。
観終わりましたら、またお邪魔させて頂きます!

URL | momorex #- | 2012/11/15 16:28 | edit

Re: タイトルなし 

momoさんこんにちは。
コメントありがとうございます!
世間では酷評も多いようですが、
私は楽しめました。
確かに、ちょっと、老人のゲイなところが、
やや理解不能かなあといったところはありますが、
科学捜査を初めて取り入れる過程なんかは、
わくわくしましたよ。
ディカプリオもいぶし銀な演技をしており、感心します。
ぜひぜひ!

URL | タイチ #- | 2012/11/16 00:08 | edit

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J・エドガー・・・・・評価額1700円

権力の裏側で、男が守ろうとした“正義”の根にあったのは何か。 実に48年間に渡ってFBI長官としてアメリカの司法の世界に君臨し、クーリッジからニクソンまで8人の大統領に仕えた

ノラネコの呑んで観るシネマ | 2012/11/14 22:18

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