素人目線の映画感想ブログ

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オーシャンズ12 /素晴らしき哉、ドロボー! 


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 オーシャンズ12
 (2004年 アメリカ映画)  85/100点


『オーシャンズ11』の感想はこちら。
『オーシャンズ13』の感想はこちら。

さて、前回に続いて、続編です。
いきなりですけど…、この作品って、結構過小評価されているような気がします。
実は…、私もあまり印象が薄かった映画なんですけど、今回見直してみて、あれ…? 結構傑作なんじゃない…? と思ったものです。

過小評価される原因は、物語の展開の「難解さ」にあるのだと思います。前作は、何となく画面を眺めていても、「何をしている」のかが分かりましたけど、本作はちょっとわかりづらい。「グダグダ」しているだけのように思われがちです。おまけに、普通「続編」となると、何かと「派手」になりますが、本作はかえって静かになっており、「大人のしっとり具合の方」が増している気がします。その辺り、受け入れにくい人がいるのではないでしょうか。

けれど。

よ~く見てみると、結構緻密に考えられた展開なんですよね。今回、真面目に見ました。すると…、だいぶ面白かった。物静かな物語のように見え、その実、「世界観」は前作よりぐーんと広がっているのですよ。描かれるのは、「The 泥棒世界」 まるで『Hunter× Hunter』のように奥深い職人世界を描いた本作。その上、ソダーバーグの反骨精神満載な(?)、ハイセンスな演出は、前作からさらにパワーアップ。

この映画、流れが理解できると、結構、好きになれます!

ということで、分かりやすくなるように、時系列順に書いていこうかと。
<だもんで、完全ネタバレです>

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①オープニング
物語は、ラスティ(ブラット・ピット)の過去のパートで幕を開けます。彼は、欧州警察の捜査官・イザベル(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)と同棲していました。彼女はラスティが犯罪者とも知らず、彼の犯した盗難事件を捜査中。そして、有力な証拠を掴んだことをラスティに話します。ラスティ、頭を抱えた後、風呂場の窓からトンズラです。この瞬間、ストップモーションがかかって、ムーディーなオープニングテーマがかかります。抜群のセンス! カッコイイ! 本作では、前作よりも監督ソダーバーグ節が見られます。思う存分、自由に演出しているような気がして嬉しくなります。
ちなみに、後に判明しますけど、イザベルは伝説の大泥棒の娘です。また、ラスティとの出会いも普通じゃありません。警察に追われて逃げているラスティに一目ぼれ。血は争えません。彼女は、「そういう人」に惹かれるタチなのです。

②『オーシャン11』で描かれたように、ダニー(ジョージ・クルーニー)たちが、ベネディクト(アンディ・ガルシア)のカジノの金庫から大金を奪います。

③三年後、ナイト・フォックスと呼ばれるヨーロッパの大泥棒トゥルアー(ヴァンサン・カッセル)が、ベネディクトに、ダニーたちの居場所を教えてしまいます。その理由は、彼の師匠であるルマークが、ダニーを「ナンバー1の泥棒」だと認めたためです。自尊心を傷つけられたトゥルアーは、自分がNo1だと証明するため、ダニーにちょっかいを出しているのです。つまり、ベジータ現象。

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トゥルアーの心境。


その後、ダニーたちそれぞれの元にベネディクトが現れ、「かーねかーえせー」「りーしつーけてー」と迫ります。本作は、「盗んだお金を返済するお話」です。この情けない感じこそ、本シリーズの魅力のような気もします。しかし、恐怖のベネディクト様と言いながら、お金を返せば済むんだ…、と思わなくもないです。『GONIN』の奴らの顛末と比べれば、随分と甘い処遇です。ただし、誰も手にかけないおかげで、ベネディクトは続編『13』ではなんと、オーシャンズに仲間入りを果たすのでした。めでたし!

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④最初の木曜日 あと13日
これ、テロップが分かりづらいですよ。ベネディクトへの返済期限ですね。ダニーたちの命の期限でもあります。先程のテロップでカウントダウンされていくのですが、「最初の木曜日」…とか入って、わかりづらい。「返済期限まで、あと13日」でいいと思いいますよ。
さて。
ここでは、ベネディクトに脅された面々が、盗んだ金の内、使い込んだお金と利子分「総額9700万ドル」を返済するための相談をします。表社会の借金じゃありませんから、自己破産で逃げるわけにもいきません。表の稼業ではすぐに稼げる金額ではないため、ハイリターンの泥棒仕事を求め、ラスティの手配によってアムステルダムに向かいます。アムステルダムには、ラスティの元・恋人イザベルがいます。前作では、ダニーが仕事に女を絡めましたが、本作では、ラスティがそれを仕掛けているわけです。


⑤最初の土曜日 あと11日
ダニー、ラスティ、ライナスが、裏社会の仕事仲介者である「カズヨ」…じゃなくて、「マツイ」のもとへ。より大金を稼げる仕事をゲットしなければ、期日までにベネディクトにお金を返せませんから、クールのようで、内心必死です。ここでは、泥棒世界の隠語なるものを使った会話が展開。まだこの世界の新米であるライナスは、さっぱり意味がわからず、適当に喋ったらめちゃくちゃ悪口になってしまってマツイは不機嫌に。それにしても、ライナスにちっとも教えようとしないダニー兄貴にラスティ先輩。性悪なベテラン漫才師が、後輩芸人をイジメてるみたい。

⑥最初の日曜日 あと10日
⑦最初の火曜日 あと8日
⑧最初の水曜日 あと7日

このパートでは、ダニーたちが、アムステルダムで得た仕事をこなします。うまくいっても大した額にならない仕事の上、唯一の侵入経路である2階の窓が8センチ低いために、作戦実行が暗礁に乗り上げます。が、ここでは、1964年にマックス・シューマンという名泥棒が実践した「家持ち上げ作戦(シューマンスペシャル)」をラスティが提案。それによって見事侵入に成功しますが、金庫の中は空っぽ。なんと、ナイト・フォックスに先を越されていたのです。この直後の場面では、この盗難事件の捜査にあたるイザベルの凄腕も披露されます。犯行現場の観察だけで、「シューマンスペシャル」を見抜きます。と同時に、ラスティやナイト・フォックスの仕業とまで理解します。おまけに、泥棒社会に通じているマツイを連行し、一瞬で自白させます。

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イザベルはラスティに会いに来ます。この場面では、イザベルが一枚上手で痛快です。二人の会話の最中に、こっそりラスティの携帯を押収しているのがニクい。それに気づいたラスティの「してやられた!」という表情が、抜群です。「秘密のノート」を妻に押収された旦那ほどの渋顔です。

⑧次の木曜日 あと6日
ダニーたちが駅にいます。どこかへ向かうような様子で…。(真相は、後述します)
ここでちょっと分かりづらいのは、仲間の中国人イエンがバックに入れられ、あらぬ場所に運ばれる…! というエピソードが挿入されますが、メインのお話には一切関係ありません。オマケのようなシーンですので、混乱しないように。

⑨次の金曜日 あと5日
ダニーたちは、トゥルアーの屋敷から、仕返しとして絵画を盗みます。その後、ダニーとトゥルアーは面会し、トゥルアーがダニーたちの邪魔をする理由を聞くのです。前述しましましたが、トゥルアーの師匠・ルマークが、ダニーを泥棒No.1と認めたからです。ここで、いよいよ正式に勝負をすることになります。ダニーたちが勝てば、ベネディクトへ返済するお金をトゥルアーに払わせることができます。勝負は、ローマの美術館に運ばれる「王家の卵」というお宝を、どちらが早く盗み出すか、というもの。

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⑩次の土曜日 あと4日
イザベルが、ダニーたちの次のターゲットに気づきます。
後に明かされますが、実はこの日の時点で、トゥルアーは展示されていた「卵」を盗み出しています。レプリカとも知らずに…。

⑪次の日曜日 あと3日
ダニーたちの「卵」窃盗作戦会議。
作戦会議後、ラスティが「10時45分 全員逮捕」とつぶやいて、ダニーが「そうだな」と応じます。このセリフ! 皮肉で言っているのかと思ったら! この時点では視聴者に隠している、あるダニーたちの策略を、単にそのまま話していただけ、ということなのです。巧いな~。

この日、イザベルは上司に拒否されていた「捜査1077」の書類を、偽造します。
また、トゥルアーがイザベルに接触。自宅の絵画を盗まれた際に、隠しカメラで撮っていた面々の写真を渡します。ダニーとラスティ、イエン以外の人相も、これで警察にバレたことになるのです。

⑫次の月曜日 あと2日
さて、いよいよ美術館に展示された「王家の卵」窃盗作戦が展開。この場面、BGMがカッコイイ!


名曲! 7/29/04 The Day Of



とはいえ、警察に人相が割れていたダニーたちは、すぐに逮捕されることになります。作戦が失敗した! …と思わせて~。そもそも、この窃盗作戦はフェイク。トゥルアーを騙すための作戦です。彼らは、はなから「逮捕」されるつもりだったのです。理由は後述で。

⑬次の火曜日 あと1日
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いよいよ最後の日です。ダニーたちが逮捕されたため、残りのメンツが頑張ります。ここでは、テスが一躍大活躍。…というか、前代未聞の作戦に出ます。ライナスのアイディアで、テスを「大女優ジュリア・ロバーツ」として偽り、美術館に潜入しようと言うのです。バカバカしいと思う人もいるでしょうけど、個人的には好きです、こういう発想。おまけに、たまたまブルース・ウィリスに遭遇!? ジュリア・ロバーツと仲良しというウィリスが、しきりにテスに話しかけ、ドタバタ・グダグダが展開します。本来、どうでもいい場面なんです。これもオマケみたいなコーナーなんです。いわば、『カリオストロの城』で、ルパンがびょーーーんと飛ぶシーンのように。あえて、荒唐無稽なシーンを挟んで湧かします。生意気にも業界人を装うライナスに対し、ウィリスが怪訝な顔をしますが、見ているこちらも、なんか恥ずかしいです。

さて。これらによって、オーシャンズ12全員が逮捕されます。

この後、FBIに扮したライナスのお母さんが彼らを助け出します。
それにしても、このお母さん、FBIに化けるとはもの凄い力です。えらい人数も駆りだしてます。きっとダニーたちも舌を巻くほどの、裏社会の大物なんでしょう。本シリーズにおける泥棒世界の深みが感じられて、この場面も好きです。

オーシャンズ126

さて。

この後、トゥルアーの元に訪れたダニーが、全てのネタバレを行います。
実は、「⑧次の木曜日 あと6日」の時、どこかに向かうために駅のホームにいたダニーたちですが、本当は、秘密裏に電車で運ばれる「王家の卵」とレプリカをすり替えるためでした。なんと、「⑨次の金曜日 あと5日」で、トゥルアーとダニーが初めて会ったその時にはもうすでに、ダニーたちは「王家の卵」を盗んでいたのです! だもんで、その後にトゥルアーが盗んだものはレプリカ。ダニーたちは、そのことを、自分たちを監視しているであろうトゥルアーに知られないよう、ずっと期日まで芝居していたのです。テスの作戦をライナスたちが話し合っている場面では、「卵」が入っているバックにカメラが寄ります。二度見返すと、そういう面で面白いです。ひょっとしたら、ブルース・ウィリスも、ダニーの仲間なのかもしれませんよ。

この裏作戦には、トゥルアーを凌ぐ「王家の卵」の情報が必要です。ダニーはトゥルアーの師匠であり、イザベルの父親であるルマークから、娘のイザベルを連れてくるという条件で、その情報を手に入れました。それは、「⑧次の木曜日 あと6日」の早い時間帯でのこと。この時点で、ダニーはほぼトゥルアーに勝ったも同然。それでいて、トゥルアーから勝負に勝った際の好条件を引き出し、ずっと失敗続きのようなフリをしていたんだから、ヒドい …いや、ニクいもんです。前作と比べ、最もパワーアップしたのは、視聴者までをも巻き込むダマし技だったということ! 

それを知ったトゥルアーは、脱力した顔つきでダニーとテスを見送ります。ダニーたちは、見事トゥルアーのプライドを叩きのめし、大金をせしめ、ベネディクトの魔の手から逃れたのでした。

イザベルは、ラスティにけしかけられたように捜査書類を偽造したため、警察にいられなくなります。仕方ない…という感じでラスティに付いていくことになりました。しかし、内心は嬉しそうです。本来、陰(犯罪社会)で生きる方が向いている性分なのです。
オープニングは、ラスティの情けない姿のストップモーションで。エンディングは、イザベルの晴れやかな笑顔のストップモーションで締められます。すこぶる、素敵です。

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はい。

ということで、以上です。あらすじみたいな文章になってしまった…。
けれど、話の流れがよく分かると、とても本作は面白いと気づきます。

ふう…。次はラスト、『オーシャンズ13』です。また次回に。


『オーシャンズ11』の感想はこちら。
『オーシャンズ13』の感想はこちら。


  

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Posted on 2017/07/23 Sun. 17:40 [edit]

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