素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

万引き家族 / 「凄い」という感想しか思いつかない。 


 320.jpg
 万引き家族
 (2018年 日本映画)  
 100/100点



このブログで、100点満点って初めてじゃないですかね…
じゃあ、オールタイムベストなのかって言われたら困るけれど。
今の感激の余韻で言えば、まさに「ベスト」
それだけ、物凄い映画でした。
驚いたのなんの。
言葉が見当たらない…。

こないだ観た『スリー・ビルボード』も凄いと思ったけれど、ゆうに越えちゃった。

カンヌ映画祭 パルムドール受賞作。文句なし。そりゃ、獲れるでしょう。並外れてるもの。審査員長のケイト・ブランシェットが「圧倒された」と言っていましたが、本当にその言葉通り、ドシリと来ました。

家族の風景を切り取ってきた是枝裕之監督の真骨頂であり、集大成です。
あらすじは、「リリー・フランキー父ちゃんと、安藤サクラ母ちゃんは、万引きや窃盗、樹木希林ばあちゃんの年金をあてにして暮らしている。ある日、虐待を受けている女の子を拾い、一緒に生活することに。貧しくともにぎやかに、楽しく暮らす家族だったが、この家族にはある秘密が隠されていた…」という物語。


万引き1


ネタバレなしで書きます。できるだけ。


とにかく、芝居!

全員が凄い。 全 員 が 凄 い。

リリー・フランキーは、俳優じゃないのに、なぜこんなに芝居ができるのか!?
しかも、素人俳優にありがちな、「素人臭さが味わい」みたいなノリじゃない。本気で巧い。優しい声色とドスの利いた声色の使い分け! 蛭子能収とは違う。蛭子能収とは違う!

樹木希林は、もはや巧くて当たり前なんだけど、ある場面での芝居が強烈に凄い。大ネタバレだから反転しますが、「海岸で見せる表情だけで観客に死を予感させるとは!」
また、是枝作品における彼女の最大の役割は、「闇」を垣間見せる所です。本作でもしかり。一瞬だけ、どす黒い顔を見せた時の迫力たるや。

万引き2


松岡茉優は、ここまで体を張る女優だとは知らなんだ。だから、びっくり。これで一気に彼女のファンが増えたことでしょう。
女優界の皇后や女帝が場を張ってる中、ちっともオーラで負けていない彼女の恐るべしポテンシャル。

子役たちも当然巧い。子役の演出でいえば、是枝監督の右に出るものなし。
ただし、男の子がイケメン過ぎて、ちょっとリアル感が欠けたかな? けど、それくらい清涼さもないと、先のツラい展開に耐えられないかもしれないので、バランス的にいいのかもしれません。

万引き4


そして。

ボ ス は 安 藤 サ ク ラ で し た。
なに…これ…? 
女王ケイト・ブランシェット様も、さぞ驚愕したことでしょう。以下、ケイト談。
「彼女のお芝居、特に泣くシーンの芝居がとにかく凄くて、もし今回の審査員の私たちがこれから撮る映画の中で、あの泣き方をしたら、安藤サクラの真似をしたと思ってください」

そう。パルムドール受賞の最大の功労者は、安藤サクラだと思います。そう。あのシーンは、とんでもなく心をゆらされました。特別な瞬間が訪れているという感覚。瞬きをするのがもったいなく、食い入るように観ていたものです。息もできない。

もしかしたら。

つたない映画観賞歴ではありますが、個人的に、史上最強レベルの芝居といってもいい。

万引き3


もう、奇跡のようなキャストの家族ドラマです。
みんなのセリフの掛け合いが面白くって、素敵過ぎて嬉しくって。
そういえば…
昔の家族ドラマって、こんな感じじゃなかったっけ? セリフ臭くない言葉の掛け合い。型のない、アドリブのような自然体。
最近のドラマの、セリフをセリフのように言って終わるだけとは、全く違う。

正直言って、続編があるなら、ぜひ観たいです。この家族をもう一度観たいです。
週1でドラマ化されませんかね? 
毎週この家族が観られたら、素晴らしい事だね。どこかの局がやらないかなあ…。あ、大ネタバレなので、また反転しますが、「その時は、樹木希林ばあちゃんは蘇ってね

ということで。

物語については、言及しません。
そちらも凄かった。ぜひご覧になって確認してください。
中盤までに散らばっていた伏線が、終盤で明らかになる「秘密」につながっています。

「秘密」が明かされていくことで、次第に歪んでいく「日々の日常」…
この家族に感情移入していたから、とても哀しいものでした。

はあ…、いま思い出しても、せつない…
ただ、バッドエンドとかハッピーエンドとか、簡単には決め付けられないラストではあります。

ただ。
女の子を虐待していた夫婦のことを、心から軽蔑します。
その現状にも関わらず、ある刑事が漏らす薄っぺらな言葉にもまた、心底腹が立ったものです。


万引き6


さて。

最後に。

「万引き」をする家族の映画なんて許していいのかと、ツイッター上などで非難の声があるみたいですが、正気ですか?

本作は少なくとも、「万引き」賞賛映画ではありません。
貧しいんだから「万引き」くらい許してあげなよ、という映画でもありません。
映画の主人公は倫理違反をしてはいけない、という縛りで映画を観ないでほしい。
『風立ちぬ』の時の批判にも感じたものです。「人殺しの道具を作った人間が主人公だなんて」という的外れ。

両作品とも、主人公の原罪は、結果として落とし前をともなっているというのに…

そもそも。
主人公の行動は、「肯定」を前提としてはいませんから。
「そういう人間」を描いているだけですから。


ということで。
全世界に対し、ネガティブイメージどころか、「日本映画」「日本俳優」の評価を、一気に100段くらい底上げした本作。

私には、全く文句が思いつきません。
本当に、凄い映画でした。



てか…、予告編だけでも泣けてくる。リリー・フランキーの疾走が、もう強烈だね…

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったら、クリック1票お願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
<スポンサードリンク>


Posted on 2018/06/23 Sat. 22:39 [edit]

TB: 0    CM: 0

23