異端の鳥/この世の地獄。

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(2021年)90点! <前半:結末以外、ネタバレあり>ド久しぶりの更新です。だもんで、気合を入れて上映時間3時間の本作を鑑賞。ところが、長尺のうえ残酷映像のオンパレードに、ごっそり体力を削られてグッタリしちゃった…。とはいえ、単発エピソードの羅列のような構成のため、意外に長さを感じません。なにより、刺激の強い描写が多いうえ、白黒の映像も美しく、釘づけにさせるパワーがあります。第二次世界大戦下の、とある...

ベター・コール・ソウル(吹き替え版)/史上最高のドラマを越えた、最高のドラマ。

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  (2016年~22年 アメリカドラマ) 100点! 一か月、このドラマにハマりこんでました。最高の最高、大傑作でした。ドラマ史上最高と言われた『ブレイキング・バッド』のキャラクター:悪徳弁護士ソウル・グッドマンを主人公にしたスピンオフのドラマです。正直、一切期待していませんでした。実のところ、Season1の1話を観て、「こんなもんか…」と3年くらい視聴をやめていたくらいです。何となく再開したのが一か月前。今...

コーダ あいのうた/障害者と健常者のフラットな世界。

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  (2022年 アメリカ映画) 95点 アカデミー賞の最優秀作品賞を獲得しました。物語が王道です。誰が観ても泣きます。やはり、アカデミー賞はエンタメ要素も重視されますね。期待してたけど、『ドライブ・マイ・カー』の受賞は無理だ。なんたって映画館で、「3時間も使ってワケが分からんわ!」と喚いてた人がいたくらいだもん…本作は、泣きのツボをきっちり抑えてきます。巧いですよ。ある意味、悪評の「ドラ泣き」と同...

あゝ荒野 前篇・後篇/闘うことは、憎むこと。

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  (2017年 日本映画) 85点 役者が凄いです…菅田将暉が、魂を削るような芝居を見せます。心配になるくらいです。映画・ドラマに出まくってて、さらにオールナイトニッポンまでこなすんだから、体調崩さないか。最近では、月9ドラマと同時並行で、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出ています。演じる源義経が新しい人物像で、狂気をはらんだ顔つきが印象的です。本作でも、なかなかやっべー奴を演じています。それを上回...

ストレンジャーザンパラダイス/心地よい、トボケの境地。

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  (1986年 アメリカ映画) 84点 いわずもがな、ジム・ジャームッシュの代表作です。最近、邦画の青春映画をよく観ていたので、青春映画の傑作と言われる本作を、久しぶりに鑑賞しました。登場人物は少なく、舞台もほぼ室内か車中。低予算っぽいんだけど、ワンシーンワンカットで、合間に長めの暗転を入れる斬新な構成が、粘土に押し付けるように印象を残します。これだけで、「只者じゃない感」が凄い映画です。とはい...

朝が来る/朝が来たのか、謎。

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  (2020年 日本映画) 85点 河瀬直美監督の映画は初めてです。これまでは、難解な芸術映画としてカンヌで人気があり、日本ではあんまり…というイメージでした。今回の映画は、どちらかというと商業映画寄りだそうで、評判もいいと聞いて、鑑賞。確かに、これは面白い。監督の演出力の高さを、ひしひしと感じました。「6年前、不妊により養子で赤ん坊を迎え入れた夫婦のもとに、今になって子供を返してほしいと連絡があ...

街の上で/いつまでも、あると思うな青い頃。

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 (2021年 日本映画) 82点 主人公の青君が、名前の通り青いんです。勝手な理屈を語ったり、元カノに未練がましい電話をしたり、へんな質問でピリつかせたり…まー、青いね。しかし、どういうわけか共感してあわわわわ~となります。お前は、過去のトラウマを引き出す一級の催眠療法士か。おまけに。青君の喋り方や人との接し方が、あまりにもたどたどしくて、共感性羞恥心でさらに大変。ハッキリ言って、画面から目を反ら...

プロミシングヤングウーマン/彼女は、「分かったふり」が許せない。

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  (2021年 アメリカ映画) 80点 現代の深刻な性犯罪を真っ向から取り上げている映画です。近年、ジェンダー問題を描く映画が多く、大きな価値観の変化を感じます。とはいえ。急激な変化は浸透しにくいものです。特に女性軽視発言など、犯罪未満の「習慣」は簡単には変わりません。特に人生経験が長いほど、「どこが問題なの?」と理解されません。「習慣」を変える為に必要なことは、「継続」です。だから、しつこいほ...

グラン・トリノ/イーストウッドはアップデートしていく。

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  (2009年 アメリカ映画) 97点! イーストウッドの新作『クライ・マッチョ』を観て、改めて彼の老境の神々しさに感動しましてね…。十数年前に話題作となった本作をもう1回見直すことにしたんです。当時30代前半の時は、あまり印象に残らなかった映画なのに、今観たらめちゃくちゃ良い。年齢とともに映画の感性は、本当に変わります。今のイーストウッドはもはや神様の領域に入っており(?)、誰かに襲われても、たた...

浅草キッド/劇団ひとりが、本当の「映画監督」になった。

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  (2021年 日本映画) 93点! この予告編がめちゃくちゃ素晴らしいです。挿入される桑田佳祐のテーマソングが軽快で、柳楽優弥の「芸人だよ、バカヤロー」もすこぶる印象的。思わず、ネットフリックスに入ってしまったくらいです。で、やっぱり大傑作でした。監督を務めた劇団ひとりって凄いね。まず、OPの掴みがしっかりしています。ちゃんと「映画」だーと感じさせます。ひとり監督の前作『青天の霹靂』の冒頭でも、...

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