素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

マリッジストーリー/本当に、二人の「愛」は続くのか? 

 マリッジ
 マリッジストーリー
 (2019年 アメリカ映画) 
  89/100点


ネットフリックス配信映画です。あまりに評判が良いもので、思わず入会して鑑賞しました。

すごく丁寧な作風です。映像がきれいで、出演者の演技は素晴らしい。『アイリッシュマン』も良かったし、このクオリティが続くなら、確かにネット配信映画も「立派な映画だ」と認めざるを得ません(期間限定で劇場公開もされています)。

物語は、「離婚」をテーマに描かれます。

結婚の酸いも甘いも描き切る、大好物のリアル路線…と思いきや、意外に設定が派手なので、実はちょっと共感から外れた印象もあります。同じ系統の映画『ブルーバレンタイン』はフツーな家庭環境で、引くほどリアルでしたけどね(傑作ですけど)。

妻(スカーレット・ヨハンソン)は女優。
夫(アダム・ドライバー)は、舞台監督。

本作の離婚劇は、妻が女優業(監督業)に復帰したいという気持ちから始まります。

…おお、なんだろう、この既視感。同じ物語をどこがで見聞きしたような…

そう。まさに、さんまと大竹しのぶじゃないか。そう考えると、ロン毛のアダム・ドライバーが、『男女7人』の頃の明石家さんまに見えちゃって。そうなんですよ。本作はさんま・しのぶの顛末にそっくり。(また、変な感想になってきたな…)

マリッ5

<結末以外、ネタバレしています。>


話を戻してまして。

本作の二人は、演劇人として才能豊かなんです。しかし子供ができ、妻には「母親」としての責務が立ちふさがります。仕事で成功を続ける夫を横目に、妻は女優業を我慢し続けてきました。しかし、豊かな才能と情熱ゆえ、復帰を望みます。その妻の願望を夫が一笑してしまったから、さあ大変。「私にだって、私の道がある!!」と切れた妻は、離婚を決意するのでした。

特に日本では、夫は家事を妻に押し付けがちと言われますが、どこの国も一緒なんですね。妻側の弁護士が語る「完璧な母親(マリア)」「何もしない父親(神)」の話が、現代的な夫婦のジェンダー問題を言い表しています。

で。

本作の面白さは、できるだけ平和に離婚したい二人の気持ちとは裏腹に、互いの弁護士が「悪口合戦」を仕掛けるくだりです。親権含め、有利な条件を取るためには、相手の悪いところを指摘しないといけないからです。

「何勝手なことしてんだ」と、当初は戸惑う二人ですが。

結局、二人とも本音を押し黙っていただけでした。終盤、ついにカラが破れた怒涛の喧嘩は、屈指の名場面です。スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが凄いです。長回しで室内をウロウロしながら言い争っている様子が、冷や汗が出るくらいリアルです。

「話が通じない」イライラで、二人とも発狂寸前なのでした。

「なんで分からないんだ!」「勝手な奴だ!」「君が悪い!」「あなただって!」
…夫婦って言っても、所詮は「他人」 そもそも「分かり合えない」ことが普通。それを「寂しいことだ」と思い込むのは、相手を尊重していない傲慢さだと思います。

特に本作では、二人とも自分に自信があります。婚姻関係なんて、所詮「譲り合い」かもしくは、「一方的な譲歩」でしか成立しないのに、自分の意見の押し付け合いを続けたら、破綻するのは当たり前。

そもそもこの二人は、…結婚に向いていなかったのでは?

マリッジ


そう考えると、むくむくとひとつの違和感が膨れ上がりました。
注:ここからは、妄想含めた個人的感想です。

本作の感想には、「二人には、まだ愛が残っているんだ!」というものが多く見受けられます。製作者の意図も、そうかもしれません。が、私はそうは思いません。二人の間には、情はあっても愛はないと思いますよ。

あの喧嘩の場面では、単に二人の本音が出ているだけです。「〇ね」とまで言ってしまい泣き崩れた夫ですが、半分本音ですよ。少なからず、そう思ったことがあるんです。本音だから、泣いてるんです。

その暴言に妻が優しく対応するのも不自然なんです。普通なら大修羅場に発展します。「は? 何言ってんの? は? は? 意味わかんない。あんたこそ〇ねば!?」 …そんな感じにならないのは、ようは、ある程度「冷めてる」からなんですよ。

そう。
結局のところ、夫が浮気したことを知った瞬間、妻の方は終わったんです。何だかんだ言ってましたが、最大の要因はそこなんだと思います。

だって。

そう考えないと、二人が離婚する理由がさっぱり分かりません。「性格の不一致」だとか、「すれ違い」だとか、「新しいことに挑戦したい」だとか、「タピオカ店と揉めた」だとか、離婚にはいろいろ理由があるけれど、「冷めただけ」の言い訳にしか聞こえません。

やっぱり本作は哀しい離婚の話なんです。ラストの「手紙」が感動的だというけれど、それこそ「冷めた後ろめたさ」をごまかすためのポーズかもしれない。だから、巷の感想でよく見かける、「離婚の映画だけど結婚したくなる」という評価には、ちょっとノレない。

そんな素敵な話に落ち着かせようなんて、都合が良すぎないか…?

マリッ2


…と、そこまで斜めに観てしまったのは、子供の描写がおざなりだからです。少なからず、「離婚」は子供の気持ちに影をもたらします。本作では、それがほとんど描かれません。弁護士との打ち合わせの場面で、「子供は親の顔色をうかがっているぞ」と話されますが、伝わりづらい。

是枝監督の『海よりもまだ深く』では、子供の顔つきが沈んでいて心配だったものです。話は違うけど、『そして父になる』でも、子供の心情がちゃんと描かれていました。そういう描写がないのは、ハッキリ言ってダメ。それが、傑作であるはずの本作を、綺麗事のように見てしまった理由です。

子供の描写が足りないことに関し、親も「親」である前に「人間」だという意見もあるでしょうけど、それは違う。子を持つと、「人間」である前に「親」なんです。その覚悟がなければ、現代社会での子育てのシステムでは、「子」を持つのは難しい。それこそ『海よりもまだ深く』の樹木希林いわく、「幸せってのはね…、何かを諦めないと手に出来ないもんなのよ」は、真理だと思う。

とかなんとか。

好き放題なことを書きましたけど、それほど興味津々だったということ。食い入って観せるほど傑作なのは、確かです。それこそいろんな感じ方があるから、「素敵な話」だと思う人の気持ちも分かります。

多分本作の二人は、これからも交流し、助け合って生きていくのだと思います。もしかしたら、結婚している頃より、いい関係になるかもしれません。

だって。
↓この二人のように、めちゃくちゃ面白い元・夫婦だっているんだもの。


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Posted on 2020/01/01 Wed. 19:33 [edit]

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