素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

透明人間/この世は「見えない」ものだらけ。 

 透明人間
 透明人間
 (2020年 アメリカ映画) 
  91/100点



<結末含め、ネタバレしています>


2000年公開の『インビジブル』みたいな映画かなあと、不安に思った人もいるでしょうけど。(残念なことに、本作と『インビジブル』のキャッチコピーはほぼ一緒…)
系統は全く違います。
思えば『インビジブル』は最新のCGを使って、人間が透明化するセンセーショナルな映像革命を見せる映画であり、それ以上でも以下でありませんでした。

本作は、ホラーでもあり、ミステリーでもあり、サイコサスペンスでもあります。物語がとても面白いです。そして、低予算映画です。透明人間は「見えない」ことが怖いのだから、画面に何もなくても成立します。その点を巧く使った低予算映画のアイディアは実に感心。なんてことない空間を映しているだけで緊張感が走るんだもの。主人公の立場だったら、…いるんじゃない? そこにいるんでしょ? とムシューダのCMのように声をかけたくなること間違いなし。

簡単なあらすじは、「有能な光学研究者の夫からDVを受けていたセシリアは、ある晩彼の元から逃げ出す。友人宅にかくまってもらっていたが、次第に不可解な現象が始まる…」という物語。

透明人間


そこにないはずの物が置いてあったり、夫の携帯電話が家の中から鳴ったり…、地味だけどゾッとさせるアイディアが満載です。そんな怪現象が徐々にエスカレートしていき、ついにドバーーっと透明人間が姿を現した時の衝撃たるや。そのあたりの計算が、ほんとうに見事な映画です。(予告編で見せてしまってるけど…)

そうそう。
ある場面で、全く予兆もなく刃物が空中に浮かんでいた絵面が衝撃でした。黒澤清の映画にある「急に人が消えるカット」の逆で、一瞬頭が混乱する気味の悪さだったものです。
ついでに言うと。
透明人間になるスーツも実に気色悪かった。スーツに埋め込まれた無数のカメラが、まるでカエルの卵のよう。こんなの、ほぼアベンジャーズの敵よ。

透明人4


で。
本作最大の面白みは、透明人間の存在がセシリアにしか分からないところ。他の人たちからは、セシリアの妄想・妄言のように疑われるわけです。誰からも信じてもらえない、おまけに、透明人間がしでかした暴力を、自分のせいにされてしまう始末。孤独な闘いに、彼女の精神は壊れかけていきます。

セシリア役のエリザベス・モスが見事に演じています。目のイッてる具合が尋常なくて…、あれ? ひょっとすると本当に妄想…? と鑑賞者を戸惑わせます。か弱いヒロインと思わせて、終盤で逆襲するくだりは爽快に描かれません。鑑賞者にとっての恐怖の対象を逆転させていて、ぐっと引き込まれました。

透明人2


ところで。
本作での「見えない」という設定は、メタファーでもあります。ヒロインは日常的に夫からDVを受けていましたが、夫は対外的には有能な科学者で、紳士的です。外部の者には、本当の夫婦関係は「見えません」 本作の物語は、なにも透明人間でなくても成立する、現代の夫婦や男女間の問題でもあります。

しかし。
本作では、結局、夫の真意が「見えません」 もしかすると、やはりセシリアの思い込みであった可能性も残して終わります。ありとあらゆるものが、はっきり「見えずに」終わるというのが、実にニクい落としどころ。

そして一番皮肉だったのは。
何でもお見通しのようだった天才科学者の夫も、ついに妻に芽生えた殺意が「見えなかった」


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Posted on 2020/08/11 Tue. 17:14 [edit]

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