素人目線の映画感想ブログ

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キング・オブ・コメディ/壮絶な自虐ネタに潜む「闇」 

キングオブコメディ
 キング・オブ・コメディ
 (1982年 アメリカ映画)
 94/100点



<結末までネタバレしています。>


『ジョーカー』の元ネタと言われる本作は、『ジョーカー』に出てくるテレビショーの司会者だったロバート・デニーロが、主演です。

これ…、もう、まさに『ジョーカー』そのもので驚きました。そして、傑作です。凄く面白かった。

共通点は、主人公が「コメディアン志望」で、「妄想気質」である点。とはいえ、主人公の人物像は『ジョーカー』のアーサーが常に「陰」なら、デニーロが演じる本作のルパートは、「陽」といった感じ。ルパートは、自分が「お笑い王」だと信じ込んでいます。その口ぶりは、まるで「新お笑いBIG3」だと言い張る永野ほど薄気味悪く、奇怪。

キングオブコメディ2


で。

本作の面白さは、ちょっと意地が悪いかもしれません。例えば、本当はジャニーズに入りたかったという爆笑問題・田中裕二のエピソードを聞いて、バカにしたくなるのと同じ。「笑いの才能がない」のに、自分は笑いの王だと信じ込んでいるルパートの「間抜けさ(気持ち悪さ)」を、面白がろうという感じです。

けれど。

そんな意地の悪い気持ちは、終盤のルパートの「ネタ」を聞いたときに、凍り付きました。彼がテレビショーで披露したスタンダップコメディの「ネタ」の中に、「親による虐待」「いじめ体験」が、ふんだんに散りばめられていたからです。壮絶な自虐ネタ。いや、ヒロシどころじゃなくって。

ルパートです…、高校の時、クラスメイトがボクを殴ることが単位になったとです… いや、笑えないから。

が、本作の中では、これがバカ受け。

まさに、チャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ」の極致。

キングオブコメディ3


ニコニコしながら自虐ネタを披露し、そこで巻き起こるけたたましい笑い。思わず寒気がするほど、不気味だったものです。本作の事態を巻き起こした彼の異常な行動原理のすべてが、その「ネタ」の中に集約されている!!

『ジョーカー』のアーサーと同じく、本作の主人公にも途方もない「闇」があったのです。

ただ。

正直、本作がそこで終わってたら、もっと大傑作だったように思います。恐ろしく、印象的なラストシーンになったはずです。その後、ルパートが売れっ子になっていく結末は、(妄想の可能性があるとしても)蛇足だと思ったなあ。

キングオブコメディ4


それにしても。

「お笑い」は、実力以上に「運」に左右される過酷な世界だと思います。自信があるのに誰からも相手にされないルパートの暗い心持ちが、少しは分かる気がします。

最近、オードリーのオールナイトニッポンにハマっているのですが…。「ズレ漫才」を確立してからもなお、彼らはNHKの「爆笑オンエアバトル」で7連敗もしていたわけだから、先輩の前田健に「『みんな死んじゃえ』って顔してる」と言われたように、当時の若林の心境たるや、まさにルパートのそれに近かったかもしれません。

キングオブコメディ5


しかし、オードリーは自分たちを信じ続け、今やトップレベルのお笑い芸人です。ルパートだって、不遇に耐え続けていたならば、いつか日の目を見た可能性はあったかもしれません。『アメトーク』の「イケてない中学生芸人」枠でなら、博多大吉よりブレイクしたかもしれません。

それなのに、不満が爆発し、無視を続けるテレビショーの司会者:ジェリーを誘拐してしまう暴挙に出たルパート。笑いの審査が気に入らないからといっても、あまりに残念な行動です。

せめて、トロサーモンの久保田のように、暴言をツイートするくらいにしとけば良かったのにね(良くない)。


  


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Posted on 2019/11/10 Sun. 22:25 [edit]

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