素人目線の映画感想ブログ

映画文法は気にせず、素人感覚で、楽しく映画の感想を書いていきます!

自転車泥棒/悲劇はやっぱり遠くから見ると、喜劇。 

自転車泥棒
 (1948年 イタリア映画) 
  80/100点


古い映画専門ブログになってきたな…

言わずもがな、名画中の名画です。といっても、とにかく暗い! で辛い! 人生が辛苦であることを、これでもかと描きます。

プロットが極めてシンプルなのはいいんですが、「家に自転車がない」…って井上陽水の歌じゃないんだから。

自転車泥棒4


<<完全ネタバレです。>>


主人公:アントニオは失業中でしたが、ようやく市役所のポスター張りの仕事を得ます。けれど、それには「自転車」が必須。質に入れた自転車を取り戻すべく、家のシーツを奥さんと売りに行きます…って、のっけから、もう不安。

アントニオには6歳の子供もいます。家庭を抱えての失業ほど恐ろしいものはありません。簡単に「緊急事態宣言」だ「ロックダウン」だと言っている人は、その恐怖を知らない。ハッキリいって、コロナ以上に恐ろしいのが、「失業」という病です。

私には、アントニオのアブラ汗を掻くほどの焦りが痛いように分かります。分かるんだけど…、本作の最後のほうは、もう笑えてきてしまった。

まさに、悲劇は遠くから見ると「喜劇」 不謹慎かもしれないけど…笑えてくるんです。ホラー映画の恐怖がボーダーを越えると笑えるのと同じ理論。アントニオのやることなすことが、あまりにも裏目に出るもんだから、最後は笑えて…というか、笑うしかなくて。

最後の、自転車で疾走するオヤジを息子が見かける場面が、もーおかしくって(鬼)。

当時としては、もちろん大真面目なんでしょうけど。今の感覚でこれを観ると、コントに見えるかもしれません。それほど、あまりにもアントニオは「不器用」なんです。

批判覚悟で言いますけど、いいから、とっとと自転車盗めよ! と思ったものです。もちろん、普通は絶対に許されません。でも、家族の超絶危機ですよ。この時代の貧困は、本当の「死活」問題じゃないんですか。自転車どうしよう…とウジウジしてる場合じゃないよ! 

アントニオは、途中、行方不明になった息子を無事に見つけた時、家族が一番大事だと気づきます。それで、なけなしのお金で息子とレストランで幸せに食事し…って、そんな暇ねえだろ! 無駄遣いすんなよ! 息子はずっと不安そうで、よっぽど事態を把握しとるわ! 早く自転車何とかしろよ! 行動一切がずれてんだよー! とやきもきさせるアントニオなのでした。

自転車泥棒5

全く信じていなかった「占い師」を訪ねる、「神頼み」の心理はよく分かります。人間追い詰められるとね…。この辺りは本当にリアルです。けれど、その占い結果が、「(自転車は)すぐ見つかるか、一生見つからないか」…って、マジですか? 「犯人は10代から80代の男か女でしょう」くらいのもんだよ? 周りの信者たち聞いてた? なんでこんな占い師に、アントニオの奥さんは信奉しているのか…。

それは、無知ゆえ。
勉強しないといけないとは、こういう事だと思います。無知な者ほど困窮しやすく、さらに騙されやすくなります。そこに気づかないと、いつまでたっても不当に搾取される側に置かれます。今にも通じる教訓です。

とにかくアントニオは。
気持ちは分かるけど、「やり方」が雑なんです。教会で無闇に騒ぐし、先ほどの占い師のところでは列に横入りするし。だから、どんどん敵が増えるばかりなんです。

で。
いい加減なクセに、いざ自転車を盗もうとする場面では葛藤してるし。意味ないよそんな罪悪感。つまり、本当の「真面目」じゃないんですよ、彼は。真に状況を把握できていないだけ。…キツい感想になってますけど、子供がいるだけに、アントニオにはしっかりしてほしい…

自転車泥棒2

終盤は本当に辛らつです。
結局自転車が見つからない。盗むこともできない。アントニオと息子は背を向けて雑踏を歩いていきます。彼らは、家族はどうなるんだろう、これから一体どうやって自転車を手に入れ…、あれ? いや、「THE END」じゃねえし! 一切救いのないまま終わりかー。

唯一の希望は、息子の存在かもしれません。自転車を盗んだアントニオが見逃されたのは、息子のおかげだったし。彼はアントニオ以上にしっかり者です。それを考えると、「生意気言うな!」って息子をぶってたアントニオは、心から恥を知りなさい。

それにしたって…。
とにかく絶望的な映画でびっくりします。ニヒリストの宮崎駿ですら、「この世は生きるに値する」と希望を言っているのに、この映画はまるっきり希望を見せません。

もちろん。
戦後間もない敗戦国イタリアの社会状況が、それほど過酷だったということで。

自転車泥棒3


  


最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
一言でもコメントをもらえたら、やる気湧きます!


↓よかったら、クリックにて1票、お願いします!
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

<スポンサードリンク>


Posted on 2021/01/08 Fri. 00:40 [edit]

TB: 0    CM: 0

08