素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

アイリッシュマン/スコセッシもデニーロも、まだまだやれる! 

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 アイリッシュマン
 (2019年 アメリカ映画) 
  90/100点


この懐かしい感じ…。『グッドフェローズ』や『カジノ』といった1990年代の傑作マフィア映画が復活したような懐かしさ。もちろん、本作も傑作です。3時間半の長い上映時間でしたけど、見応え十分でした。

そして何といっても、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、アル・パチーノの共演が見ものです。デ・ニーロとパチーノは、何げに、本作がもっとも濃い共演をした映画なんじゃないかと思います。そう考えると、もっと早く作ってほしかった。

さらには。
俳優陣のCG加工による若返りが凄い。それによってデニーロは、一介の運送業だった壮年期裏の仕事でのし上がった中年期施設に入っている晩年を演じ分けます。果たして、本当の現在のデニーロってどの風貌なんだろう?

2アイリッシュマン


デ・ニーロが久しぶりに輝いている気がして、観てて嬉しかったものです。なんか最近は「好々爺」が多かったから。さすが名パートナーである監督のマーテン・スコセッシが、デ・ニーロのかつての狂犬な空気を引き出しています。

『運び屋』のイーストウッッドのように、老いたからこその達観した渋味もいいけれど。本作のように若返りを施した御大が、下っ端仕事から進めていくってのは、懐かしさと新鮮さが混ざり合った不思議な感覚です。これ、すごい技術だね。
例えるなら…
ビートたけしが自伝ドラマで、浅草時代から自分で演じていくみたいな。(?)

で。

物語は、「運送業者だったデニーロが、ひょうんなことから裏社会を仕切るジョー・ペシと出会って、裏の仕事(ペンキ塗りと表現されますが、いわゆる『ヒットマン』)をこなしていく…」というお話。


デニーロ御大
〇フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)
アイルランド系アメリカ人。前述の通り、運送会社の運転手からマフィアのヒットマンとなりました。本作は、晩年のフランクが取材に答えている、という形で物語が進みます。ゆえに、真相かどうかはあなた次第。マフィアとケネディ暗殺の関係が出てきて引き込まれますが、あくまでフランクの言葉を信じるなら、というスタンスです。

何といってもねえ。
やっぱり「デ・ニーロ・スマイル」がいい! 何て味わいのある笑顔でしょう。久しぶりに観たけど、引き込まれます。そして、本当にテルの「ものまね」そのまんまだなーと改めて。…いやデニーロの方が寄せてんじゃないか。

デニーロ
(このスマイルが拝めます)


パチーノ
〇ジミー・ホッファ( アル・パチーノ)
米トラック運転手組合委員長。昔のアメリカ人ならだれでも知っている実在の有名人だそうです。圧倒的カリスマ性で、当時はビートルズよりも人気があったと説明されます。1975年に彼が行方不明になった事件の真相を、本作は描きます。アル・パチーノは恰幅が良くな…つーか、太ったなあ。日本だったら、時代劇の悪いお代官様をやらされてそうな雰囲気です。


2ジョーペシ
〇ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)
マフィアのボス。優しい風貌ながら、目つきの鋭さは尋常じゃない。さすがにジョー・ペシは、昔の面影がなかったですね。彼もスコセッシの映画によく出てましたけど、もっと分かりやすいところで言えば、『ホームアローン』の泥棒さん! 『リーサル・ウエポンシリーズ』でもそうだったけど、コミカルなイメージです。

↓こんな。
ジョーペシ


という往年の名優たちが出てくるもんだから、それだけで画面が引き締まります。『アウトレイジ』もそうだったけど、脇のマフィアの顔ぶれもすごく本物っぽくて、細部まで素晴らしいキャスティングです。

で。

物語は、マフィア同士の抗争がド派手に展開するものではなく、結構こじんまりとした人間ドラマです。いわば、老人たちの友情と仲違い、それと挫折…。でも、そこがいいんです。幼稚なほど頑固なジミーを何とかなだめようとするフランクなんて、大層見ものです。

恩のあるジミーを助けたい…というフランクの願いとは裏腹に、事態は深刻になっていきます。ついには、避けたかったであろう事態に巻き込まれます。といっても…、もはや腹の底から裏社会の人間になっていたフランクは、躊躇しません。それが印象的で、やけに物悲しかったものです。

老体同士の仲違いって、見ていて本当に美しくない。なんか、大島渚と野坂昭如を思い出すなあ…(古いけど)。

32アイリッシュマン


思えばフランクにしてみれば、子だくさんの家族を養うための裏稼業でした。娘をコケにした男の手を潰してしまうほど、家族想いだったはずなのに。甲斐もなく、娘たちに疎まれてしまうフランクの人生が皮肉です。これを見ると、同じような境遇を描いていた『運び屋』のラストは、ずいぶん甘かったなあと思ったり。

そう言えば。
ラッセルの奥さんは、ずいぶんワガママなセレブでした。ラッセルの言う事なんかバカにしたように聞かず、タバコをスパスパ吸って、よほどワルそうでした。それに文句が言えないラッセルもまた、ジミー同様、家族に対しうしろめたさを持っていたのかもしれません。

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マフィアの男も、家族の男も、若いころに威張ってたって、年を食って弱くなるとこんなもん…と、高齢のスコセッシが高齢の男たちを描いた物語。

とはいえ!
スコセッシもデニーロも、まだまだ映画やれそうなんで、嬉しくもなる映画です。しかも、傑作だしね。


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Posted on 2020/01/16 Thu. 17:33 [edit]

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