素人目線の映画感想ブログ

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裏切りのサーカス【感想・レビュー】予習して、のぞむべし。 


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 裏切りのサーカス
 (2011年 イギリス・フランス映画)
 85/100点



傑作『ぼくのエリ 200歳の少女』で、血圧が下がりそうなほどヒヤリとさせたトーマス・アルフレッドソン監督作品です。こちらも、なかなか低血圧な雰囲気ですが…、これが、恐ろしく込み入ったスパイ映画でして。

ハイセンスな映像美や緊迫した演出、情感あふれる物語など、それなりに楽しめるものの、心から楽しめたのは、内容をある程度理解した上での2回目の鑑賞でした。

「げー、2回見ないといけないなんて、めんどくせーな」と思われる方もいらっしゃるでしょう。私自身、2回鑑賞が必要なんて冗談じゃないと思う方ですが、本作は大変気にかかったので2回目にチャレンジしてみると…。

ふむふむ、ほうほう、なるほどなるほど。わかる、わかるぞー!(読める、読めるぞー みたいな)

勉強も予習していくと授業がよく分かると言われますが、まさにその通り! 2回目の鑑賞で、本作の魅力を十分に堪能することができました。

では、なぜ1回の鑑賞では楽しさを把握できないのかといいますと。

1.物語が多層だ!
ようは、イギリスの諜報組織(サーカス)内部の裏切り者を探す物語です。

それとは別に、それぞれのスパイたちの抱える…たとえば夫婦の問題やら、恋話やら、もくろみやら、様々な内情も併せて語られるので、一つ一つを把握していくのが大変なのです。

2.人物が多いので、名前が覚えにくい!
主人公と「サーカス」の幹部4人、「サーカス」の元ボス、実働部隊の男たち、主人公の部下たち、ロシア側の男たち…と実に登場人物が多いし、通称で呼ばれたり本名で呼ばれたりするので、名前がよく把握できません(泣)。

主人公さえ、スマイリーだジョージだと、場面によって呼ばれ方が変わります。いっそ字幕か吹き替えは、「斉藤さん」や「鈴木さん」に変えてほしいな!

3.現在シーンか回想シーンか分かりづらい!
過去の回想が度々挿入されます。現在死んでいるはずの「サーカス」の元ボスが出てきたら、それは回想シーンです。しかし時折、…あれ? これ回想? …あ、現在か。…ということが度々ありました。現在でも回想でも、登場人物の風貌が全く変わらないもので。


以上のことが十分に把握できれば、この映画はとても素晴らしく楽しめます。異例の2度目鑑賞に至らせたのは、本作にたっぷり込められた魅力ゆえなのです。

私はまず、映像と音楽のセンスの良さにしびれました。
オープニングクレジットの出し方とオープニングテーマがかっこいい。
サーカスの会議室の壁紙かっこいい。
遠方から対象のマンションを監視する『裏窓』的な描写がかっこいい。
飛行機の前方で会話する男たちの絵がかっこいい。
「ラ・メール」という曲と、最後のカットに至るまでの流れが凄くかっこいい。

…随所に目を見張る映像美と名曲があります。

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 (原題は「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」秀逸なオープニングクレジット!)


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 (圧巻の映像センスだけでも、なかなか楽しい)


本作は、スパイの世界の非情さを、『ミッション・インポッシブル』や『007』といった劇画調ではなく、極めて現実の目線で描いています。というのも、原作者ジョン・ル・カレはもともと諜報員だったというので、経験に基づく物語というわけです。

サーカス(イギリスのスパイ組織)幹部の4人が、とにかく誰もかれも怪しく、みんな胸にイチモツ抱えている様子です。主人公さえも怪しく思わせるほど、みな、思わせぶりな顔つきをするのです。達者な役者たちの妙です。

実際、組織内に裏切り者(もぐら)がいると確信していたサーカスの元ボスは、一番信頼していた主人公さえも、調査対象に置いていました。

度々挿入されるサーカスのクリスマスパーティーシーン(回想)は、スパイたちの思惑や、抱えているものが、じわりと滲み出している重要なシーンです。全くもって、一時も画面から目が離せないとはこのこと。油断していたら、重要な「ほのめかし」を見落としてしまいかねません。

決して派手な動きはありません。スパイ活動は、リアルにこだわっているため、地味ですが、じっとりと嫌な汗をかかせるようなもの。例えば、内部調査のために「サーカス」内部の機密書類を盗み出す技は、いかにこっそり鞄に入れるか、という万引きレベルのことですが、緊張感に溢れています。

終盤に近づくにつれ、キャラクター同士の人間関係も判明し始めます。スパイ同士の悲恋など、哀しい物語が秘められていることに気づくのです。

秀逸なのは、ラストシーンですね。
それまでポーカーフェイスな空気感だった映画が、ラストばかりは、「ラ・メール」というシャンソンの名曲とともに盛り上がります。スパイの悲哀を綴りながらも、拍手まで聞こえてくる大団円で締めくくられます。なんと爽やかな!


(まだもうちっと文章が続くので、聞きながらでもどうぞ)


1回目鑑賞の序盤なんて、「うへー、無理だわ、これ」と辟易していたものです。2回目鑑賞の終盤では、鳥肌立ち、ラストシーンなんか繰り返して見てしまうほどハマりました。

大人向けの激シブなスパイ映画です。きっと背筋が伸びる思いがするでしょう。ぜひ、2度の鑑賞をオススメします。

さてさて。

それでも、時間のない方々に「2回目鑑賞」は酷です。できるだけ1回の鑑賞で楽しめるように、せめて人物と名前の把握だけは「予習」してはいかがでしょうか。

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ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)
本作の主人公。「サーカス」のボスであったコントロールの右腕的存在。コントロールの失脚とともに、自身も「サーカス」から追い出されますが、その後「サーカス」内部にいる裏切り者「もぐら」を探し出すべく、秘密裏に調査を開始します。

ちなみに妻はアンといいますが、うまくいっておらず、アンは家を出ています。アンの浮気相手は、下記でご紹介するビル・ヘイドンです。

しかし…、ゲイリー・オールドマンも、知的な初老の紳士を演じるようになりましたなー。余談ですが、昔は結構ファンでした。悪どい役がハマリ役で、かっこよかったものです。

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(すいません。本編関係ないですが、時の流れにノスタルジーを感じ…。ちなみに左が『レオン』、右が『蜘蛛女』でのゲイリー・オールドマン。わかー)


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コントロール(ジョン・ハート)
「サーカス」のボスですが、「もぐら」捜索作戦で敵の罠にひっかかり、オープニングで巻き起こったブタペストでの大失敗のため、失脚します。失脚後、すぐに病院で死亡。(老衰か?)

ゆえに、その後に彼が出てくる場面は、「回想シーン」となります。堅物なイメージで、「サーカス」幹部陣から煙たがれています。彼の主張する「もぐら」の存在を、誰も認めてくれません。

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パーシー・アレリン(トビー・ジョーンズ)
出たな! 妖怪子泣きじじい! …じゃなくて、「サーカス」幹部の一人です。コントロール失脚の後、後釜としてボスの座に付きます。非常に野心家な男ですが、力量はそこまでの男ではありません。

ソ連側のスパイ・ポリヤコフと接触することで、ソ連側の情報を収集できるという、「ウィッチクラフト作戦」を展開しています。


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ビル・ヘイドン(コリン・ファース)
「サーカス」幹部の一人。女たらしの彼は、スマイリーの妻・アンと不倫関係にありますが、果たしてその意図は…? また、ブタペストで背中を撃たれたジム・プリドーとも、のっぴきならない深い仲のようです。


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ロイ・ブランド(キーラン・ハインズ)
4人の幹部の中では、一番目立たない感じかな? パーシー・アレリンとつるんでます。


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トビー・エスタヘイス(デヴィッド・デンシック)
この方も「サーカス」幹部の一人です。コントロールに拾ってもらった恩を忘れ、アレリン派についたコウモリ的な人物です。なんとなく幼児性に溢れる性格のような気がします。


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ジム・プリドー(マーク・ストロング)
コントロールの命により、ブタペストへ「もぐら」の情報を取りに向いましたが、それは罠でした。映画の冒頭で背中を撃たれ、死亡したかのように見えましたが、実は生きています。ソ連側の拷問の末、なぜか生かして帰されます。

帰国後は、過去を忘れ、小学校の教師に付き、一人の少年と心を通わせることに。前述したように、ビル・ヘイドンとはかなり深い仲のようで…。


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リッキー・ター(トム・ハーディ)
「サーカス」の実働部隊・首狩り人。要は、殺し等の汚い仕事を引き受ける男です。

トム・ハーディは、『ダークナイト・ライジング』では、筋骨隆々のベインを演じるなどしていますが、本作では甘いマスクの二枚目です。ターゲットに近い女性を恋に落とし、そこから情報を得るという手段を用います。

今回は、ターゲットの妻・イリーナと本気の恋に落ちてしまいます。しかし、イリーナの持つ情報を「サーカス」に伝えるやいなや、すぐにソ連側に拘束されてしまったことで、「サーカス」内に「もぐら」がいると確信。スマイリー達と行動をともにし始めます。


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イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)
西側に亡命すべく、リッキー・ターに情報を与えようとしましたが、ソ連に連れ去られてしまいます。もともとは、ソ連通商団のある男の妻。何とも幸の薄い女性。最後まで悲しい。


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ピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)
「サーカス」実働部隊の一人。リッキー・ターの直属の上司です。スマイリーとともに、「もぐら」探しに奮闘します。ゲイで男性と同棲しています。作戦実行後、身辺整理のために恋人に悲痛の別れを告げ、泣き崩れます。


<ソ連側>
カーラ

ソ連諜報部・KGBの大物スパイ。謎のベールに包まれています。スマイリーをよく知る男。「サーカス」に「もぐら」を忍ばせている張本人。


ポリヤコフ
ロンドンのソ連大使館の文化担当官ですが、実は「ウィッチクラフト作戦」の要。アレリンと接触し、ソ連側の情報を流しているソ連のスパイ。しかし、実態は果たして…?

彼が元軍人であることを突き止め、怪しいと踏んだ「サーカス」のコニーは、何故かすぐさま解雇を告げられてしまいます。


さらに、知っておくべき予習ポイントは、ここまでも何度か出てきた「ウィッチクラフト作戦」はーい、ここ試験出るよーの最重要ポイント!

つまりだね、ソ連のスパイであるポリヤコフと「サーカス」の幹部であるアレリンが通じ合っており、アレリンはここからソ連のおいしい情報を手に入れているわけなのです。これが「ウィッチクラフト作戦」
しかし、コントロールは生前、この作戦で得た情報を「怪しい」と踏んで信じていませんでした。アレリンたちは、それが気に食わない。

果たして、「ウィッチクラフト作戦」の真相とは…? これは、「サーカス」内の裏切り者「もぐら」の問題と、密接につながっているのです。

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さて。
偉そうに登場人物をまとめてみたりはしたものの、実は私もまだ100%把握してはおりません。あとは、いろいろなブログを探索したり、原作に手を出したりしようかなと思っている所です。

しかし、本当に見応えのある作品です。もう一回、あの素晴らしいエンディングシーンを見よっかな。


↓いろいろなブログで、いろいろな解説をご覧ください。
『裏切りのサーカス』(2011)/momoな毎日

裏切りのサーカス・・・・・評価額1700円/ノラネコの呑んで観るシネマ


  


最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
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Posted on 2013/01/20 Sun. 23:38 [edit]

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コメント

私も大好きです!この映画 

コメントのひとうひとつが、「うんうん!」という感じで読みました。私も同様の魅力に痺れてしまいました。調子のって書いたサイトもあります。いちどご訪問いただけると嬉しいです。(文字だらけでとても読み通せないともっぱらの評判ですが・・・T_T)
<よくわかる『裏切りのサーカス』全解説>で検索!

URL | Toshiaki Itoh #- | 2013/05/13 18:13 | edit

Toshiaki Itoh様 

コメントありがとうございます。
早速のぞかせて頂きました。
すげー、文章量ですな!
気合いがすごいです。
私も、出来るだけ長い文章で…といつも考えていまして、
時間の調達に苦戦しております。

じわじわと読ませていただきますね。
ありがとうございました。

URL | タイチ #- | 2013/05/13 22:26 | edit

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