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テイク・シェルター【感想・レビュー】驚異の回復魔法、「チャステイン」! 


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 テイク・シェルター
 (2011年 アメリカ映画)
 80/100点



大変面白かったです。ラストがバッドエンドっぽいようなのに、さわやかで感動的だったりして。とても不思議な後味を残す映画です。

ホラーチックなパニックムービーだと思い込んでいましたけど、これはれっきとした家族の絆の物語。様々なプレッシャーに打ち勝とうとしながらも、根っからのネガティブ根性でへこたれそうになった「お父さん」を、海よりも深い家族の愛が救済する物語。

じっくりとした人間描写が続くので、おっかなビックリを期待すると肩透かしかもしれません。

あらすじは、「工事現場で働くカーティスは、ある日から『悪夢』にうなされ始める。禍々しい暗雲が現れ、黄色い雨が降り、無数の鳥が逃げ惑う夢だ。何度も同じような悪夢を見るうちに、カーティスは、これが現実に起きるのではないかと疑い始める。家族を守るため、高額なシェルターを作ることを決意するが、家族や職場の人間からは冷ややかな視線を受ける。果たして、この世の終焉は起きるのか、すべては妄想なのか…?」
というお話。


<すみません、完全ネタバレです。>


カーティスは非常に家族想いの男です。夫婦仲が悪い会社の同僚には、「フツーが一番だぞ」と言われるほど、平々凡々に幸せな家庭を築いている実直な男です。娘が一人いますが、生まれつき耳が聞こえず、家族で手話を習っています。

そして、奥様であるサマンサを演じるのは、『ゼロ・ダーク・サーティ』では屈強な女性分析官を演じたジェスカ・チャステイン

無題1 
(本作での演技の評価も高い、ジェスカ・チャステイン)

物語はシンプルかと思いきや、なかなか複雑な様相を見せます。カーティスのお母さんは、彼がわずか10歳の時、精神を患ってカーティスを置き去りにしています。そのことから、カーティスは自分も同じように精神を患ったのではないかと不安に駆られるのです。サマンサに向って、「俺は家族を置き去りになんかしない」と、自分に言い聞かせるように涙ぐむ姿は、大変胸を打ちます。

しかし、『エルム街の悪夢』さながらのリアルな悪夢は、次第にカーティスの心を追い詰めていきます。この世の終わりが来る、と彼は確信するのです。

娘の手術代が必要なさなかに、高額のローンまで組んで非難用のシェルター作りに没頭するカーティスの様子は、見ていて背筋が凍ります。どうせなら、車やゴルフクラブに費やしてもらった方が、まだサマンサも救われるというもの。

『悪夢』に憑りつかれ、1人シェルター作りに没頭し続ける夫の姿は、まさに妻にとっての『悪夢』だったに違いありません。基本的に、家族崩壊の物語は苦手です。冷たい汗が滲みます。

さらに。
シェルター作りのために、勤め先の重機を勝手に拝借したことが会社にばれ、首になってしまうという最悪の事態に。

失意を抱えたカーティスが家に帰ってくる場面は、本作最大の修羅場。不安に耐えながら、粛々と家事をしているサマンサに向って、うなだれきったカーティスは、「首になった」と告白…

顔をゆがませ、サマンサがカーティスの頬をぶち叩くシーンは、まさに極寒の恐怖。

無題2
(恐怖! 仕事を失ったと、突然妻に告白する夫の館)

『家族』という重たい責務を負いながら、事態がみるみる悪い方へ転がっていくカーティスの気持ちは、同じ『家族持ち』には痛いほど分かる感情です。

しかし!
ここで語らうべきは、サマンサです。当初は訝しげに夫を見ていたサマンサですが、カーティスのシェルター作りの真のワケをどっしりと受け止め、幾度も幾度もカーティスを抱き止めます。

ジェスカ・チャステインは、『ツリー・オブ・ライフ』の時にも見せた『愛情にあふれた家庭的な女性』を見事に演じています。彼女は、後半から神々しいほどのエンジェルオーラを発揮し、疲れきったカーティスを癒すのでした。

もはや「チャステイン」か「ベホマズン」かというくらい。究極の回復魔法かよ!

無題4

ラスト。(ネタバレします!)


本当に、怪しげな嵐が街に訪れます。深夜に鳴り響くサイレンの音が、それまで静かなペースだった映画の空気を一気にざわめかせ、恐怖心を駆け昇らせます。カーティスにとっては、ひょっとしたら「よっしゃきたー!」の心境ですかね…。

「おらおらおらおら、笑ってたやつ、ざーみろや! オレあるもんね、シェルターあるもんね。ないやつぁー死ね!! 全力で死ね!!!」(注・劇中にこんなセリフはありません)

この世の終焉は、一瞬でも、彼の願望になっていたかもしれません…か?

無題

真の暗闇に、ほのかなランプの光の中、酸素吸入用のマスクを家族3人で被り、シェルター内でひそかに一夜を過ごします。目を覚ましたサマンサは、カーティスを起こします。
「嵐は過ぎ去ったわ。シェルターの扉を開けて」
しかし、カーティスは拒否します。
「もし…まだ外が嵐だったら…」
サマンサは、切々と彼を説得します。
それでも頑なに拒否するカーティス。

カーティスの心理は複雑です。
『悪夢』に見た嵐が本当であれば、外は『地獄』
しかし、それがただの杞憂であれば、自分は精神を患っていたことになるのです。

その恐怖で、自分では開けられないと、扉の鍵をサマンサに渡そうとします。
この場面は、BGMの盛り上げ方もうまく、感動的です。
なにより、サマンサに驚かされます。
癒しの術のみならず、彼女には、カーティスに不安心理を克服させる一つの機転が働くのでした。

「カーティス自身の手で、扉を開けねばならない」と。

次の瞬間、暗闇の緊張状態から一瞬で解放される美しい青空と静寂は、素晴らしい名シーンです。

そして。

施設での心の治療を決意したカーティスとその家族の目の前に、再び禍々しい暗雲が現れます。

今度こそ本当に来たと思わせる恐ろしい暗雲は、この世を滅ぼすかもしれません。しかし、その雲を見つめるサマンサの表情に、ほんのわずか『安堵』が見て取れるのは、ただの思い込みでしょうか。

そしてカーティスは、これまでの情けない姿から翻り、『自信』に満ち溢れた頼もしい「お父さん」の表情をするのです。

通常ならバッドエンドだと思うところですが、私は家族の真の再生を感じ、「良かったじゃんか!」と感動したのでした。

あ、でも、カーティスは決して、「やーい、みんな死んじゃえー」とは思っていないと思いますよ、あしからず。


↓こちらのブログでの感想が詳しいです。
・『テイク・シェルター(原題:Take Shelter)』/A Cinematic Museum

・『テイク・シェルター』(2011) - Take Shelter -/momoな毎日


  


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Posted on 2013/03/22 Fri. 23:48 [edit]

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コメント

こんにちはー 

タイチさん、大丈夫ですか?インフルエンザだったんですね。
寝込んでおられる間に世間はすっかり春、桜が咲き出してしまった感じですね。

この作品、マイケル・シャノン目当てで観たのですが、
観る人によって、目の付け所が、またラストの取り方さえ違うのを
タイチさんの記事で知ることが出来ました。
パニック映画ともサイコものとも取れるこの映画は単純に面白かったですね。
それにしてもこの春は黄砂・PM2.5避けに私もシェルター欲しいです。
出来ればカプセルタイプで出歩けるのがいいなー

  記事中に私の記事を紹介頂いてありがとうございます。
  よろしければTBなどを打ってくださいませ。

ではお大事に。また遊びに来させてもらいます!

URL | momorex #- | 2013/03/23 12:31 | edit

Re: こんにちはー 

コメントありがとうございます。
何かまだぼぉっとしてまして…治りきっておりません(-_-;)
それにしても、ブログが滞るのって、すごく焦りますね。
何すかね、これ…『は、早く更新しなきゃ』という強迫観念。

momoさんのブログには、有名じゃないけど興味深いなあという作品が多くて
助かっております。

こちらは福岡でして、PM2.5に加えて黄砂も激しく、たまに鹿児島出張行くと、
火山灰が降ってまして、
たまには素晴らしい空気の世界に行ってみたいと切望するこの頃です。

コメント、本当にありがとうございました。
あ、それとTBしたつもりでしたが、うまくいってなかったですかね?
まだ「ブログ」の機能がうまく使えておりませんで…。



URL | タイチ #- | 2013/03/25 09:43 | edit

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