素人目線の映画感想ブログ
映画文法は気にせず、素人感覚で、楽しく映画の感想を書いていきます!
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション /トムの新境地。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
(2015年 アメリカ映画)
80/100点
トム・クルーズが目指していたのは、ここだったのか!?
この強烈な既視感。
両手をふさがれた状態での格闘や、舞台装置を巧みに利用したシーン、コミカルな人間味、スタントを使わない危険なアクション。
間違いない。
こりゃ、完璧にジャッキー・チェンだ。
本作の出資に中国企業が絡んでいるという事実と、何か関係があるのでしょうか。
中国による、ハリウッドスター、総ジャッキー・チェン化計画でも持ち上がっているのでしょうか。
トム・クルーズは、その路線で本当にいいと思っているのでしょうか。
観る側としては、面白いからいいけどね!
あらすじは、「目の前で女性エージェントを殺されてしまったイーサン・ハント(トム・クルーズ)が、仇打ちとばかりに謎のシンジケートを執拗に追う…」という、いつもの感じの物語。

<すみません。調子に乗って結構ネタバレしています。>
本作の宣伝の胆であった「輸送機しがみつきスタント」が、冒頭からお目見えすることに驚きました。
これは、しょっぱなのサービスシーン(いわゆる、掴み)に過ぎなかったことからも、本作のアクションのてんこ盛り具合が伺えます。
輸送機の離陸直前に、
あるいは、「ジャッキーを越えたい」という野望なのかと思うと、世間の期待と、ことさらに遠ざかっている方向性に、若干の不安を抱かせさえするのです。
しかし。
このスタントシーンをCMで散々目にしていたのに、徐々に地上が遠ざかっていくカットが秀逸な上、劇場の大画面と爆音も相まって、恐怖心を煽られました。
輸送機のドアを開けてほしいのに、仲間が間違ったハッチを開けてしまい、「そっちじゃない!」とツッコむトムのコミカルさもまた、微笑ましいのでした。
それから。
本作では、トムが目指したもう一つの新境地があります。
それは、主人公が超人的なスーパーヒーローではなく、「人間味のある一介のスパイである」という描写です。
この設定は好きです。どんな無茶なミッションでも自信満々にこなす主人公より、マジ勘弁…、という顔をしてくれた方が、緊張感が増幅するのです。
そう、本作一番の強烈なミッション、水中金庫への潜入の時。
そのミッション開始直前のトム・クルーズの表情が、まさに、それ。
あまりに斬新な顔をしているもので、思わず目を疑いました。
蟻地獄のように大量の水が流れ込む穴倉をチラ見しながら、トムが、完全につらそうな顔をしていたのです。
27時間テレビのマラソンランナーの大久保佳代子かと思う程、「出来る事なら帰りたい」という顔をしてみせたのです。
ネガティブな顔で仕事に取り組むトム・クルーズの顔が拝めるとは、驚きでした。
天井知らずで突っ走る人ほど、よく鬱になったりすることがあります。
前作くらいから、時々とても心配な顔をするトムですが、宗教とかにハマらないといいけどな。

嫁とも離れ離れだし…
毎度毎度、危険に際限ないし…
会社(IMF)はトカゲのしっぽ扱いだし…
エージェントの離職率高いし(特に女性陣)…。
いつまでオレってこんなことやってんだ…。
つってもなー。
やっぱ、オレしかいないからなー。
オレがやらなきゃ始まらないんだよなー。
あー、もー、しょーがない!

で、やっぱり、やる時にはやるトムなのでした。
そのギャップ効果がビビビと効きまくります。
彼の大ピンチには、女性陣を筆頭として、気のいい仲間たちが夢中で救いの手を差し伸べてくれます。
何たる
ファンへの神対応でも知られるトム・クルーズは、順調にジェッキー・チェン化計画を進めていくのでした。(たぶん)
本作では、いつものように主人公含むエージェントチームが世界各国を飛び回ります。
矢継ぎ早に活動地域が変わっていく展開に、「テンポが良い」と感じるか、「軽い」と感じるかは人それぞれ。
しかし、全く異なる文化の国で、アメリカ人が我が物顔で暴れ回っているのを見ると、「世界はアメリカのもんじゃ」という奢りが見え隠れするようで、少し気味悪くもあります。
ついでに言うと、その国のイメージBGMが流れるのも、なんか陳腐です。きっと日本が舞台になったら、尺八鳴らすようなセンスに違いありません。
それから、オペラ劇場でのシーン。ノワールな雰囲気が重厚なのですが、ここでもやはり、ジャッキー映画っぽいシーンが始まったりするので、ちょっとバランスが悪いかな…? (敵の体格がこっちより全然上!? …ってのも、ジャッキー映画っぽいなー)
また、敵キャラ(二番手)に魅力を感じませんでした。
前作では、殺し屋・モロー(レア・セドゥ)が魅力的だったのに、今回はよくあるジャイアンでしたね。

しかし、そんな難点は、アクション場面の迫力で吹き飛びます。死の直前まで身体を張った主人公にめんじて許してしまいます。
一国の首相を拉致するという、荒唐無稽なミッションでさえ納得させられてしまうのです。
特に印象的だったアクションは、実際にトムが運転したBMWでのカーチェイス。
カサブランカの狭い路地を、きゅるきゅると縦横無尽に走り抜ける気持ちよさ。
挙句には、BMWが何回転も転がって大破します。
これには、平成ノブシコブシの吉村もビックリ。
こ れ は い い ん だ ね ?

あと、活躍の場面が大幅に増えたベンジー(サイモン・ペッグ)が楽しいです。
前作に引き続き、トムに無理なミッションを課し、一人平然としています。
トムは、「お前がやってみろよ…」と怒ることもなく、ピンチのベンジーを必死になって助けようとする美しさよ。
仲間が、大事。
思えば、今回の敵の捕獲にトムが執念深いのも、仲間を殺されたことが発端でした。
仲間に手を出した奴は許さない…。これが、今回の彼の原動力の全て―
と、思っていたんですけどね。
ラスボスのやっつけ方が…、その…。
やーい、同じ目に合わせてやったもんねーっていう感じだったような…。
今回の原動力って…、自分が序盤で昏倒させられてしまった仕返しだったのかもなー…なんて。
ミッション:インポッシブル3の感想はこちら。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルの感想はこちら。
ミッション:インポッシブル/フォールアウトの感想はこちら。
―それと、最後に。
敵のボス:レーンは、何度も失態を繰り返すイルサを泳がしている、という作戦だったそうですけど。
釈然としないんですよね…。
ひょっとして…。

いやいや、私は君をかっているのだよ。何一つ疑いなんぞ持ってはおらん。大体男っ気ばかりの手下どもには若干うんざりしとるのさ。君のように可憐ですばしっこくて女泥棒みたいな部下ってなんかいーなーって。

トムに逃げられてしまいましたわ。

あ…そー、あ、そー。それは失態だったね、なかなかのものだね。巻き添えで結構手下が死んだね。さすがトムは女の君には傷一つ付けなかった…みたいだけど…。いや、しかしね、私は君をかっているんだよ。このくらいのミスでは私は簡単に怒ったりはしないよ。そうともよ。私は減点主義の器量の狭い男ではないのだよ。人は褒めて伸ばさねばね。やってみせ、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじっていうしね。

すみません、オーストラリア要人の暗殺失敗しましたの。

オーケーオーケー! ちょっとさすがの私もピリッとしたけど、いやいや、一瞬、ほんの一瞬。私は、そんな瞬間湯沸かし器のような自己コントロール不全の男ではないのだよ。問題ないよ、ノープロブレムにモーマンタイだよ。Cプランまで練っていたからね、結果オーライだし、大丈夫さ、グッジョブ! 何度も言っておるが、私は君をかっているんだよ。君はやれば出来る子だと信じているのだよ。

あの…このデータ空っぽなんですけど…。

てめーなー! コンチキショー! …いやいや、君に言っているのではないよ。その隣のうすらトンカチなデカブツに言ったのだよ。空っぽかー、うんうん、さすがにちょっと堪えたけれど、私はそんな行き当たりばったりの人間ではないのだよ。次の手を常に考えているから大丈夫なのさ。そーさ、そーさ、君は世界に一つだけの花なのさ。
(フフフフ…。ばかめ。お前はイギリス政府の犬だってことはとっくにお見通しなのだ。私の手の内で転がっておることも知らないで、無邪気に仕えたフリなどしよって。かわいーもんだのー。かーいーのー。あとでトムとともに始末してやるから、今に見ておれよ、今に…。)

ボス…MI6の長官に辞めたいって言ったのに拒否られちゃった…。

かーわーいーそーおー! ひどい奴がいるもんだね。それはひどいよ。MI6ってのは…。あ、きみ、そうだよね、イギリスの諜報部員だったんだよね。サラリとすごい告白だけれども。いや、知ってたけれどね。いやいや、そんな謝らなくてもいいよ、いいよ。私は、そんな追い打ちをかけるような卑屈な男ではないのだよ。言いたくない事もあるだろうさ、そうさ、そうさ。もーこうなったらさ、私のとこで一生面倒みるよ、いやいやいいんだよ、遠慮しなくていいんだよ、だって言ってるだろう、私はきみをかっているんだから。ほら、そこの君、なんつー名前だったかね、まーいーや。うすらでかいゴリライモ君、イルサのためにあったかいスープでもあげてくれたまえ。
ゴリライモ「転がされてるの、あんたでしょーが。」
ミッション:インポッシブル3の感想はこちら。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルの感想はこちら。
ミッション:インポッシブル/フォールアウトの感想はこちら。
↓オススメ記事です。
・『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』/すきなものだけでいいです
・53歳のトム様バンザイ映画『MI5 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』/カゲヒナタのレビュー
・ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション/トムは死にたいんだと思っていた/映画感想 * FRAGILE
18
« バケモノの子【感想・レビュー】「冒険活劇」を見たかったのに! | ジュラシック・パーク【感想・レビュー】ハモンドさんの恐竜フレンドパーク。 »
コメント
Comment
list
コメントの投稿
Comment
form
トラックバック
トラックバックURL
→https://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/263-c98f7cd2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
Trackback
list
| h o m e |