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ミスター・ガラス【感想・レビュー】シャマラン流 大風呂敷の畳み方。 


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 ミスター・ガラス
 (2019年 アメリカ映画)  
 79/100点



誰が『アンブレイカブル』の続編を望んだだろうか。というか、予想しただろうか。

もうそれだけで、どんでん返しです。『GONIN2』くらい、続編が意外なのです。前作『スプリット』のラストにブルース・ウィリスが出てきた時、衝撃と同時に巻き起こった感情は二つ。

一つは、ノスタルジー。19年前に公開された『アンブレイカブル』が脳裏に蘇りました。そして、評判はあまり良くなかったけど、意外に傑作だったよなー、という反芻。

もう一つは、監督:M・ナイト・シャマランへの畏怖。本作の製作費は、シャマランの自腹だそうです。そりゃ、そうだ。ヘタすれば、シャマランの独りよがりになりかねない企画ですから。それを実現させちゃう、彼の執念と財力への驚愕。


  


で。

予告編があんまり面白くなさそうだったので、スルーしかけたんです。でも、ツイッターでの評判がすごく良いものだから、ついに触手が動いたのでした。

でで。

うーーーーーん。賛否両論でしょーね。私は、ノレきれませんでした。あまりにも、大風呂敷の畳み方が雑過ぎる。

意図は良く分かるんです。ツッこみ所も、ツッこむのが野暮なんだろうなというのも分かります。それでもノレなかったのは、やはりシャマラン節である「無駄な大風呂敷」に気をとられたから。きっと、ざっくり畳むんだろうなあ、と。

シャマランとは20年来付き合ってきましたから。もはや、その手は食わんよと。鑑賞途中で冷静になっちゃった。もう、誰も羽賀研二に騙されないのと同じです。

ミスターガラス2


本作は、「ヒーローは実在するのか、否か」という、根源論を描きます。

昔、押井守がルパン三世の映画を作ろうとした時、「ルパンは実在したのか」という根源論をやろうとして、羽交い絞めにされるくらいの勢いで阻止された話を思い出しました。でも、興味をそそらせるじゃありませんか。だから、こういうテーマは好きなんですけど。

本作に登場するヒーロー(超人)とは、3人。

ミスターガラス3
1.デヴィッド(ブルース・ウィリス)
『アンブレイカブル』の冒頭で起きた列車事故で、ただ一人無傷で生き残った男です。それをキッカケに、彼は自分の存在が特別であることを意識します。本作では、彼はセキュリティ商品の店を経営しつつ、夜な夜な「悪者」退治に出かけます。

だけど、彼の動きは何だかモッサリしてるんです。おまけにターゲットも炎上狙いのユチューバーだったり、すんごく地味。さらに、どうしたかと思うほど暗い。ぜひ『アベンジャーズ』に加入して、トニーとパーカーのアホみたいな陽気さを見習って。


5ミスターガラス
2.ケビン・ウェンデル・クラム( ジェームズ・マカヴォイ)
多重人格です。24の人格のうち、ビーストと呼ばれる人格は、怪力の魔獣です。

マカヴォイが無数の人格を演じ分ける凄み。表情と口調、体の動きでコロコロと人格を変えていく演技は、前作『スプリット』より進化しています。この感じ、何かに似てるなあと思ったんですけど、そーだそーだ、ちょっと「2億4千万のものまねメドレー選手権」

彼は強力なフラッシュライトで強制的に人格を変えられ、病院内での抵抗を封じられます。彼には、目を閉じる、という巧妙な技を教えてあげたいな。


4ミスターガラス
3.イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)
『アンブレイカブル』でデヴィットに目を付けた男。コミックマニアである彼は、ヒーローの存在を信じてやみません。骨の病気を抱え、ちょっとした刺激でも骨折してしまう悲劇の男でもあります。彼は驚異的な頭脳を持ち、デヴィッドとケビンとともに精神病棟からの脱出を図ります。

彼が『アベンジャーズ』に入ったら、きっとニック・フューリー(サミュエル)との異母兄弟設定が発動することでしょう。


以上の3人が、ヒーローの実在を証明すべく、戦いを繰り広げますが…。ヒーロー(超人)っていう仰々しい表現が、本作自体の雰囲気や描写と、まるで合っていなくって。


<以下、壮絶にネタバレします>


特に! 物語のほとんどが精神病棟の敷地内で完結する、という省エネ展開には驚いた!! ある意味、斬新でした。イライジャが、「オーサカタワー」で決着を付けると壮大な宣言しておいて、結局「病院の庭」だけで戦うってさ!! アラスカでオーロラを見る企画なのに、ほとんどキャンピングカーでの料理コントで撮れ高を済ませた『水曜どうでしょう』か。 

そもそもデヴィッドとケビンの戦いも、パワー対パワーだから、ヒーローとしての能力被ってんですよ。だから戦い方が一本調子で、地味そのもの。なのに全世界注目のオーサカタワーに行こうとするだなんて、宴会芸でR-1に乗り込むようなもんだから。

イライジャが隠していた秘密も、衝撃のようで…、で、何? っていう…。なんという偶然か!? とイライジャは誇らしげでしたけど、いやそんなの単にシャマランの匙加減だから。

…そんな風に意地悪な見方をしてしまうくらい、ノレなかったのでした。

ラストシーンにしても。
ヒーローが闘う映像がSNSで拡散されたって、いやそれって…、ただ『ミスター・ガラス』っていう映画の映像が流れただけのことでしょ。そんな映像がヒーローの存在証明にはならないでしょう。それよりさ、コソコソと病院を抜け出してさ、オーディション番組に出てさ、バーベル上げて見せたら良かっただけでは…?

と、思ってしまったわけ!!

6ミスターガラス


もちろん!

本作でのヒーロー(超人)というのは、「マイノリティー(社会的少数派)」のメタファー。だから、真のテーマは「多様性を受け入れること」であることは分かります。

けれど、コミックヒーローが実在する!? という仰々しいテーマと、映画全体に流れるシンとした雰囲気がミスマッチで、違和感を感じてしまったのでした。

けど、所々で『アンブレイカブル』の映像が流れたのは、感慨深かった。改めて、『アンブレイカブル』は良い映画だったなーと思います。

というわけで。

やはり映画自体よりも、こんな私的な映画の作り方ができるシャラマンが凄い。何だかんだ言っても、改めて彼の功績が輝いて見えるのでした。


 


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Posted on 2019/02/02 Sat. 22:47 [edit]

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