素人目線の映画感想ブログ

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バーニング/冷静と嫉妬と殺意の間。 


 バーニング
 バーニング
 (2018年 韓国映画)  
 80/100点



第71回カンヌ国際映画祭において、『万引き家族』と同じく高い評価を得た、韓国映画です。

原作は村上春樹の短編です。春樹の映画と聞くと、角川春樹の映画くらい悪い予感しかしないけど、本作は意外に巧くいっています。

ところで。

本作を観た最大の理由が、スティーヴン・ユァンが出てたから。最近ハマりにハマった海外ドラマ『ウォーキング・デッド』で、グレンという好青年を演じています。グレンはめちゃくちゃ「いい奴」で、超人気キャラ。当初、下っ端な役柄だったグレンがどんどん「強い男」に成長するのが面白いのなんの。

そして本作でも、妙に余裕と貫禄を漂わせた男を演じています。

随分おっきくなってー、と親戚ぶって観てしまうのでした。

さて。

あらすじは、「かつて同級生だったイ・ジョンス とヘミが再会。すぐに二人は男女の仲になる。海外に出かけていたヘミを空港まで迎えに行くイ・ジョンスだったが、彼女は旅先で知り合ったベンという謎の男と一緒だった。」という、世にも恐ろしい三角関係の始まりです。

バーニング2


春樹らしさは所々にあります。女の方が積極的で、男は苦労することなく「関係をもつ」くだりとかね。原作は未読ですけど、やっぱり過程の汗を書かないな、春樹は(凡人な男と違って、そこがゴールと考えていないんだろうけど)。

そして。

女がミステリアスで、猫のような気まぐれぶり。男が迎えに来ることを知っていて、別の男を引き合わせるという魔性。多分…わかっててやってると思うなあ。だとしたら、まあタイヘン面倒くさい。弘中アナとか、絶対このタイプよ(決めつけ)。

ところが。

実際、妬かせようとする計算があったかは分かりませんが、そんなヘミに対し、イ・ジョンスは平静を装って謎の男にヘミを送らせるという、大失態。あーイタい。そして、身に覚えがある。

そんなんだから。

二人の心の距離は一向に縮まることなく、物語は進んでいきます。
そして。
本作は、男女の三角関係の話というより、次第にミステリーの様相を醸していきます。

けど、やたらアート色が強いです。その部分がいらなかったような…。ヘミが上半身ハダカで踊りだすなんてのは、アートっぽいでしょという、あざとさを感じなくもない。やたらテンポがゆったりしているので、中盤なかなか退屈です。

ミステリーにもっと集中して描いた方が、良かったように思います。


<<完全にネタバレします。>>

バーニング4


で。

金持ちである謎の男:ベンが、女性を狙う連続殺人鬼だったというお話でした。彼は殺人のことを、「ビニールハウスを焼く」と表現します。そして、イ・ジョンスに、「もうすぐ焼きますよ。すごく身近で」と話したあと、ヘミがいなくなります。

隠語を使ったイ・ジョンスへの「殺人予告」を考えると、ベンは、イ・ジョンスに一杯食わせたかったのかもしれません。そう考えると、もしかしたら、ヘミはイ・ジョンスへの想いをベンに語っていたのかもしれませんね。それで、支配欲が強い(であろう)ベンは、イ・ジョンスを妬んだのか。

ただし。

ヘミが気まぐれで消えた可能性も捨てきれません。元来、ヘミはそういう人です。それに現実考えると、空港に別の男を連れてきた時点で、イ・ジョンスの恋路は終わってたと思うのよ。身も蓋もないけど。脈があったら、そんなことしないって。

つまり。

ヘミが殺されたというのは、イ・ジョンスの妄想の可能性もあります。
妄想と言うか、願望。
彼は実のところ、ヘミの気持ちが分からず疑心暗鬼でした。だからその反動で、「小さい頃にヘミが落ちた井戸」を、必死に探していたわけです。その井戸の存在が、唯一のヘミとの絆の証だったから。

それだけ、イ・ョンスの心理状態も不安定だったというわけ。

バーニング3


ヘミを信じたい。自分を置いて、プイっといなくなったわけじゃない。またどこかの、ほの暗い井戸の底に落ちて、オレに助けを求めているんじゃないだろうか。 

そうして、「ベンが殺したに違いない」という結論に行きついたのでは…? 第一、「猫」なんか証拠不十分です。あれがヘミの「猫」だなんてのは、イ・ジョンスの思い込みの可能性は十分にあります。

そもそも。

その程度の証拠で迷いなく凶行に及ぶイ・ジョンスは、完全に病んでいるとしか思えません。

はなから、彼はベンが嫌いだったんです。自分と違い、裕福で、友人も多く、明らかな勝ち組の男、ベンが大嫌い。

冷静なフリをしながら、出会った直後からすでに、彼らの間にはバチバチの火花が散っていた。そして、ヘミはそれを楽しんでいた…、のかもしれません。

そう考えると.。
誰もかれも信じられない奴らばかりという、『羅生門』みたいな印象になるのでした。


  


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Posted on 2019/10/11 Fri. 11:41 [edit]

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