素人目線の映画感想ブログ

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ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語/本当にジェンダー問題に向き合っているか。 

 ストーリーオブマイライフ
 ストーリー・オブ・マイライフ
 (2020年 アメリカ映画) 
  80/100点


長女:メグ、次女:ジョー、三女:ベス、四女:エミリーの4姉妹を描いた『若草物語』に、現代のテーマ「ジェンダー問題」を組み込んだ本作は、世間からおおむね絶賛です。

「女性が幸せになるには、金持ちの男と結婚するしかなかった」1860年代を背景に、現代にも通じる、女性の経済的自立と結婚の問題を描きます。

が。

世間の評価とは裏腹に。
正直、本作がそのテーマをうまく語っているとは思えませんでした。散々褒められている映画だし、今回は、好き放題に偏った感想です。

ストーリーオブマイライ61


<<最後までネタバレします>>


いわゆる「恋愛至上主義」の語り口が気になりました。「男なんていらねーわ」と突き放していた『アナと雪の女王』や『テルマ&ルイーズ』なんかとは、まるで逆。

姉妹の家の隣に住む、金持ちイケメン:ローリーの存在からして、不安です。

ローリーは自身が社交界に興味がないもんだから、ことあるごとに姉妹と社交界との間に割り入り、「愛もないのに結婚するのか」と問いただします。そうして、メグとエミリーは、「そうね真実の愛が大事だものね」とゆさぶられ、金持ちとではなく、「愛」でもって結婚相手を決めるのでした。

が。
そこがもう怪しい。どれほど「愛」を感じたって、数年経てば冷めることもあるし、逆に年月を共にするうちに深まったりもします。つまり、不安定な感情なんだから、「愛があれば無問題」というファンタジーを追い求めるのは、それこそ依存です。

ストーリーオブマイライフ5

たぶん。
メグはこの先も貧乏生活に嫌気がさすだろうし、血迷ったローリーと結婚したエミリーも、いつかまた「自分はジョーの次」というトラウマに襲われかねません。ローリーだって怪しいもの。ジョーに向かって「エミリーへの愛と、君への愛は別のものだ」とか都合のいいこと言ってるようじゃ、いつかジョーに手をだしかねない(ちょっと言い過ぎだけど)。

だから。
安易に一件落着のように見せかける本作が、「女性の自立や、自由や尊厳」を本当に描く気があるとは思えないのでした。そんな簡単なら、みんなうまくいっているさ。

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もし彼女らにこの先困難がないならば、彼女らの美貌、才能、環境(金持ちの後ろ盾)…、大病を患ったベス以外は、実に恵まれているからこそ。

さらに言うと。
彼女らを取り巻く男たちが、あまりに優男で理解に溢れている人たちばかり。こんな境遇で社会問題を言われて、説得力があるんだろうか。同じく女性差別をテーマにした『テルマ&ルイーズ』を見習ってほしい。ブラピでさえ、ひっでー男だったんだから。

最もよくわからないのは、ジョーの結婚です。ラストのジョーの結婚を、なぜ虚実のようにぼやかしたのか。原作の結末をいじるのはマズいけど主題とブレるから曖昧にしたんだろうけど、その程度の覚悟なら、そもそも若草物語でジェンダー問題を扱うべきではなかったのでは? 

若草物語の原作者であり、ジョーのモデルであるルイーザ・メイ・オルコットは生涯独身だったそうです。そう、彼女こそ真のジェンダーフリー! 原作ファンに罵倒される覚悟で、ジョーとルイーザを完全同化させた方が、主題が腑に落ちたと思うのです。

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…と、好き放題に書きましたが。

4姉妹それぞれの個性を絡めた描写は、秀逸です。

映像は途方もなく美しいです。

過去と現在を頻繁に入れ替える構成は、混乱します。だけど、ベスの7年前と最期の対比には効果的で、涙しました。


最後に。
魅力的な4姉妹をご紹介。

長女・メグ(エマ・ワトソン)
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『ハリーポッター』のハーマイオニーがもうお母さんですか…。時の流れが染み入ります。メグは保守的な反面、社交界に憧れもあり、貧乏生活に不満です。彼女が散財した請求書を見つめる旦那の心情が辛い。そんな旦那に優しく声をかけるメグは素敵です。現実なら、あんたが甲斐性ないのが悪いんでしょーがと開き直られるのがオチ。

一つ言うと、幼い顔なんで長女に見えません。当初のキャスティングはエマ・ストーン。姉貴顔としてはそっちかな。

次女:ジョー(シアーシャ・ローナン)
ストーリーオブマイライフ4
ジョーはようするに「ピーターパン症候群」 大人になりたくない彼女は、いつまでも変わらない少女時代でありたい。これは、本作のグレタ監督が主演した『フランシス・ハ』の主人公と同じ心持ちです。だから、大人になる変化や自由を失う恐怖からローリーの告白を断り(細田守の『時をかける少女』でもあった、男には絶対に理解できない断り方)、後から猛烈に後悔。そのあと、寂しさのあまり、ニューヨークの男友達と急接近しますが、したり顔でズケズケ批評してくる男とは、君は合わないと思うがなあ。

三女:ベス(エリザ・スカンレン)
ストーリーオブマイライフ3
彼女だけ「欲」がないんですよね…。唯一「男性」が絡まず、家族がいればそれでいいという慎ましい彼女が、伝染病で亡くなるのが皮肉でしかありません。彼女は姉妹たちを見て、「あんたらはワガママ言えて、いーわね…」などとは思わないくらい、いい子だったベス。最後の浜辺での達観した顔つきが、『万引き家族』の樹木希林かってくらい、すごかった。

四女: エミリー(フローレンス・ピュー)
ストーリーオブマイライフ2
びっくりした。こないだ観た『ミッドサマー』の主役の人! これがまた、末っ子にはまるで見えない貫禄です。不満があると下唇がぷっくりする顔つきが絶妙。だけど、気に入らないからと、ジョーの大切な原稿を燃やすとか正気ですか。ここから血で血を洗う物語が始まってもいいレベルだと思うけど。

ワガママに見える彼女ですが、実は家族の為に金持ちと結婚しようとする健気さもあります。しかし、前述の通り、ローリーが余計なことしたために、断念。結果、ジョーの意中のローリーと結婚するんだから、因果は巡るよどこまでも。


その他、ローラ・ダーンやメリル・ストリープといった配役も豪華で、芝居が楽しいです。

姉妹の人生を観る映画としてなら、傑作。

 


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Posted on 2021/02/03 Wed. 12:15 [edit]

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コメント

はじめまして 

子供の頃 好きだった物語がどんな風になっているのかと記事を読ませていただきました。

以前に映像化されたものは、ウィノナ・ライダーがジョーのイメージにぴったりだと思いましたが こちらのキャストは当時より庶民的な雰囲気の姉妹なんですね。


愛を選んだメグもセレブな生活に憧れる気持ちは消えないのでは?とか
エミリーが「結局 自分は補欠当選で選ばれた妻…」という気持ちになるのでは?
という主さまの未来予想を映画にするのも面白そうだな〜と思いました。



URL | raffine #ZPokdGkI | 2021/02/16 01:37 | edit

raffine さま 

コメントありがとうございます。嬉しいです。

ひねくれた感想のようで申し訳ないです。
でも、結婚って所詮スタートですから、この先どうなることやら…という意地悪な気持ちが首をもたげちまいました。

ゆえに、本作はジェンダー問題になんらの回答も出してないと思うのですよ。

ウィノナ・ライダー版を近く観ようと思っています! 

URL | タイチ #- | 2021/02/16 17:32 | edit

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