素人目線の映画感想ブログ

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花束みたいな恋をした/『500日のサマー』を越えた…か? 

 花束
 花束みたいな恋をした
 (2021年 日本映画)
 84/100点



<<ネタバレがあります>>


日本版『500日のサマー』と言えるほど、フツーーの恋愛を描いています。誰かが不治の病にならないし、事故らないし、壮絶ないじめも性暴力もありません。

邦画ではあったようで、なかったようなタイプ。普遍的な出会いから別れを綴っていくからこそ、「恋愛あるある」を共感して観ていく映画です。だから、個人の恋愛観に影響されて、人によって感想がバラバラになるでしょう。

花束3

何が素敵かって。
二人の急接近のきっかけが、「押井守」って!! 「押井守」を共通認識できるって、ほぼ奇跡じゃん! ズキュンとくる二人の気持ちが、わかるわ~。これだけで、この映画の脚本は折り紙付きです。悪漢から助けるとか、美男美女同士の一目ぼれとか、そんな上流国民にしか起きないキッカケじゃないんです。

ただ。
冷静に考えてみると、あの年齢で「押井守」推しの女子に出会うなんて、ある…? それについて詳しい会話がなかったのが残念でした。そこから『ビューティフル・ドリーマー』の考察をずっと語り合う映画だったら、もう殿堂入りだった(誰も観ない)

とはいえ。
一気にそこで掴まれたもんだから、若い子の恋愛映画なんてなあ…と訝しげだったのに、居酒屋でスレ違いが発生しそうになった時、ハラハラしちゃってはやく追っかけて連絡先聞けや―――! ってもう術中よ。

映画も漫画も小説も音楽も、「ほとんどの趣味が合う」という理由でお付き合いが始まるだけに、2015年~2020年のサブカルワードが、『レディ・プレイヤー1』かってくらいポンポン出てきます。

さらに、役者陣がリアリティ溢れるセリフを自然体に言い回すから、彼氏:麦くん(菅田将暉)彼女:絹ちゃん(有村架純)と観客との親和性が高まり、思いきり感情移入すること間違いなし。

で。
そこから「別れ」を描いちゃう。いわゆる『500日のサマー』、『ブルーバレンタイン』、『マリッジ・ストーリー』のような、カップルの倦怠から「別れ」を描く映画なんで、安心して観たもんです(なんで?)。

花束7

その発端は、麦くんの就職でした。特技のイラストでは食べていけないと察した彼は、生活のために多忙な営業職に勤め始めます。当初は、駅から30分の家路がかえって二人の距離を縮めてました。今や残業からの帰宅時間がただ伸びて、生活時間や趣味のズレがどんどん広がっていくばかり。

絹ちゃんは、それが気に入らない。そもそも「共通の趣味」から始まった関係だから、麦くんが漫画も小説も読まなくなって、「自己啓発本」とか読んだり、イラストをやめたりしたのが気に入らない。

んー。
男目線から言っちゃうと、麦くんの気持ちはよく分かる。絹ちゃんの母親が言っていたように、「生活は責任」なのは、確か。二人の生活を維持するために、麦くんは一生懸命だったんです。

喰える仕事を持ち、責任あるポジションも任されるようになる…、これって実は得難いことなんです。「普通になるって大変」というセリフが出てきましたがその通りなんです。麦くんは、「普通」になるチャンスを手に入れたんです。だから応援してあげてよ! ただ、まあ…確かに、「優しくない職場だぜ(注1)」

麦くんが心の中で愚痴っていたように、絹ちゃんは「学園祭を繰り返したいラム(注2)」のように学生気分。楽しいことだけして生活したい、と声高に叫べるのは若いうちだけ。「生活は責任」という切実さが彼女になかなか生まれないのは、両親が広告代理店という、裕福な家庭に育ったからかもしれません。

↓絹ちゃん、野比氏みたいな男だったら、お先まっくらよ。
のび太

だ け ど。

麦くんが、ひとり先を考え過ぎちゃったこともまずかったのかなあ。絹ちゃんの気持ちを考えず、一人で勝手に「結婚」を意識して、「篠原HOSを搭載したレイバー(注3)」のように、暴走してしまった。

それこそ、『500日のサマー』っぽくて。
実は、二人の溝は「趣味」でも「時間」でもなく、単に「恋の熱量」だったのかもしれません。麦くんだけが先に熱量が飽和して、「恋」が「愛」に変わる寸前だった気がするんです。絹ちゃんは、まだちょっとそこまで達してない。そんな内に、当たり前のように「結婚してさ」「子供作ってさ」「それで二人が空気みたいになれたら」って…、ちょっとあまりにムードがない。

花束5

すごく意地悪な見方だけど。
ひょっとしたら、絹ちゃんは、イベント会社の社長に口説かれた時点で、「他にも出会いあんじゃん?」「しかも社長とか?」っていう余裕があったかもしれません。だから、彼女は別れを確定したって見方もできます。

身も蓋もないけど。
もし、彼らが三十路だったら結婚してますよ、間違いなく。

喧嘩から、いったん冷静になって普通に会話しだす過程なんて、脚本も演技も最高だけど、二人の相性も抜群だと分かります。もったいねえ。あとから後悔したって、「だから遅すぎたと言ってるんだ!」って後藤隊長に怒られるよ(注4)。

絹ちゃん、オダギリジョーがいい人なわけないじゃん! あんなの所詮…「人形みたいなやつだ(注5)」

とかなんとか。すべて個人的な印象です。いろいろな考え方ができるのは、それだけ優れた映画だからこそ。

花束4

ただ。
疑問に思うのは、本作の結末です。
『500日のサマー』は、「もういいわい!! バーーーカ」って終わり方で、完全に縁が切れるんですけど、本作はちょっと未練がましくないか?

「あのラスト」は、見事な伏線回収でいったん驚きました。だけど、麦くん、あれをニヤニヤしてるようじゃ、今の彼女に失礼だよ? 爽やかなラストのように見えて、実はとっても後ろ向きな気がします。

一方、その頃。
絹ちゃんがグーグルに「削除請求」してるところで終わってたら、本作は『500日のサマー』を越えたかもね。あー、やっぱりひねくれた感想になっちゃった。

そんな『500日のサマー』の感想。

花束6

注1:押井守監督『攻殻機動隊』より。
注2:押井守監督『ビューティフル・ドリーマー』より。
注3:押井守監督『劇場版パトレイバー』より。
注4:押井守監督『劇場版パトレイバー2』より。
注5:押井守監督『攻殻機動隊』より。


上記が、絹ちゃんにわかるって? ほんとだったら、麦くんにとって本当に惜しい人だけど、さっぱり忘れましょう。「あいつは行っちまったのさ。それこそ均一なるマトリクスの裂け目の向こうへ…」注6:押井守監督『イノセンス』より。


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Posted on 2021/02/18 Thu. 21:47 [edit]

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